深くて暗い闇を見たような気がした
亭主と暮らすようになって40年近くなります。
毎日、いっしょに過ごしているのに
長い間、亭主と会話がかみ合わなくて
苦しんでいました。
優しい人なんですけどね。
お前が何を言おうとしているのか
さっぱりわからないと
何度も何度も繰り返し言われ
言いたいことにたどり着く前に
言い訳めいた説明を
なるべ正確にしようとして
どんどんシドロモドロになっていくのです。
向こうにしても
私の言動を拒否するために話を最後まで聞かずに
わからないと言い始めるのではなく
理解しようとするあまりに
妙なことになっているような..…
亭主以外の誰とも
こんなに会話に不自由することはなく
一体これはどういうことなのかと
いつもがっかりしていました。
ある時、チャット仲間に
おまえの言葉は詩のようだと言われて痺れました。
そんな、惚れてまうがな~!
同時に、亭主との会話の困難について
ぽっかりとあいた深くて暗い闇を
見てしまったような気がしました。
私たちの会話を
一人息子はケンカだと感じるようで
幼いうちからいつも
ケンカはやめてと泣き怒りされ
諦めてしまうことも多くありました。
そもそも、私の耳が壊れ気味で
不足している聴力を
想像や創造で乗り切ろうとする傾向があることや
亭主は若い頃、法律の勉強をしていたこととか
そんなこんなで言葉遣いや会話の感覚が
ズレまくってるんじゃないか。
不思議なことに、
この会話が嚙みあわないという事実が
こんな人とはもう暮らせない!といった
感情に発展していかないのです。
会話自体は嚙みあわないのだけど
基本的な人間性であるとか
社会に対するスタンスなどに
不満や不安を持たないからなのかな。
信頼できる人であるという
ゆるぎない何かがあるのか.…
そうか?そうだったのか?
が、しかし
お喋りは結構しています。
お喋りと会話、どう違うんだか
上手く説明できないんだけど。
寒い!なんで寒いんだ? と亭主
冬だから、と私
嘘だ!いつから冬になったんだ!
今日から
今日君が寒いと言ったから今日は冬の始まり
嘘だ!昨日も寒かった!
んじゃ、昨日から冬
嘘だ!
んだら、ほれ、お茶でも飲んで
ぬぐだまってくり
あっつ!火傷しそうだ!
さては保険金狙いだな!
んな~保険金払うほどお金ないです
ちょっと冷ましてから飲めばいがべに....…
これは会話じゃない。漫才だ。
私が求めているのと違う、絶対、違う。
でも嫌じゃない。
要するに、私が何か伝えようとしなければ
問題にはならないということか?
そういうことだったのか?
それは問題ではないのか?
ぐるぐる..…闇だ...…