顔のカビは心のカビ?

皮膚科にもう3~4ヶ月通っている。

顔がカビたのだ。生まれて初めて顔がカビてるねって言われた。

そもそも、始まりは3月の終わりだった。
花粉症である私は、いつもこの季節は肌荒れで苦しんでいたが、今年は何か違ったのだ。

いつもならすっと治る肌の赤みが一向に引かない。
けど、まぁ大丈夫だ、心配しすぎだと考えていたが、たまたま買い物に行き、お店のトイレの放たれる光と大きな鏡が私に真実を告げてくれた。

そこに映る顔は、鬼のような赤色の顔した自分だった。

すぐにこれはダメだと悟った私は、予約もせずに皮膚科に駆け込んだ。幸い、就業時間ギリギリだっため、人も少なく、暖かく受け入れてもらった。

待っている間に待合室で座りながらいろんなことを考える。

初めて皮膚科に来たけど、皮膚科は豆腐の中にいるような場所だった。実際、照明もオレンジ色の優しい温色だし、部屋の中もキレイで和らぐ空間だ。少量のボリュームで流れるテレビから、地元の最新ニュースやプロ野球の生中継などぼんやり眺めていると、ほんとに今ウクライナとロシアは戦争しているのが信じられない。それほど、平和な時間が広がっている。それにここにいる人達はみんなそれぞれの肌荒れを持っていると思うとちょっと不思議だ。

そして、初めての診察デビューで告げられた、顔のカビ。ここから顔のカビとの日々がスタートしたのである。


そして、4ヶ月ずっとここに来る度に悩んで、考えるを繰りかえしている。顔がカビれば、心もカビるのだろうか。(そもそも心のカビってなんだ)
先生が言うには、マスクすることによってカビが発生するとか言ってた。まぁ、マスクもあるけど多分他に原因があるなと、ぼんやり思った。

実際、3年くらいお肌のお手入れを怠っていた。どこかのネットサーフィンから得た情報で、肌断食がいいらしいというのを知ってから、全く何もしなかった。

そして、肌断食をしてることをいいことに、丁寧に肌のお手入れをしてる人を内心バカにし始めた。あんなに高い化粧水使ってもったいないなぁとか。

別に肌断食が偉いわけではないし、化粧水は使いたいモノを使うなんて当たり前だし、何をそんなに偉ぶっていたのだろうか。高いが悪い、安いがいいなんてわけでもないのに。

まあ、そんな歪んだ思想のもとに育つ肌は結局歪んだ肌である。結果、大いに荒れた。顔中に赤いニキビが大量発生し、顔中が赤一色。赤べこよりも赤い。

そんなわけで、今は肌断食をきれいさっぱりやめ、YouTubeなどネットから頂いた情報をもとにお手頃価格で手に入る化粧水や乳液と皮膚科から頂いたお薬を塗っている。

昔のキレイな肌を懐かしんだり、肌が綺麗な人を羨ましんだりそんな日々を過ごしている。そして、人生で初めてお肌のお手入れと向き合っていると、肌と心は繋がっているのかもと思い始めた。

私はメンタルが強い方だと思っていた。自分に自信があるってそう強く信じていた。

けど、本当は全く強くなく、自信なんてものは1ミリもなかった。それはもうびっくりするぐらいに。クレジットカードばんばん使いすぎて、え、こんなに使ってたの?って後からビックリするぐらいに。

肌のお手入れをするようになって、私は私に対して無関心すぎたということに気がついた。

何が好きで、何が嫌いで、何が得意で、何が苦手で、何が強くて、何が弱いのか。全く知らなかったのである。まさに無知の知である。自分はなんでもできる、出来ないことは努力が足りないだけだ。なんて根性論も入っていた。(根性論が悪いわけではないが、私と相性が悪いだけだ)

このことに気がついてから、私はお肌のお手入れの勉強と共に精神の勉強も始めた。精神と言っても、精神科医のYouTubeを見て、人間の心理を学ぶというものである。そしてYouTubeを見て、どうしてもっと早くに見なかったんだろうって後悔した。

私がその場しのぎで、自分の心の声を無視していたことに。そんなことより今が楽しかったらいい。心の悲鳴に気がつかずに、快楽を求めていたのだ。その結果、心も壊れて、肌も荒れたのだ。

たぶん怖かったんだと思う。自分が弱い人間って認めることが。だから心の声を無視し続けた。でも人は無敵じゃないし、壊れる生き物だ。そう気づいてからは、すっと自分の弱さを受け入れることができた。なんなら、もっと弱さを知りたくなった。不思議だ、あんなに知りたくなかったのに。

そして、今、私は私について知り始めている。
私はここが弱くて、ここが苦手で、ストレスに弱いとか。

これ何かに似ているなぁって思ったら、肌と一緒だった。

肌にも人によって色んな種類があって、乾燥肌とか脂肌とか様々にある。お肌のお手入れとともに、まず自分の肌質を知って、そこから自分の肌に合った化粧水とかを、揃える。

肌も心も自分のことを知る。
これが1番大切なことだった。

この答えに辿り着くまでに3年という月日を費やしてしまった。なんでもっと早く気がつかなかったんだよって後悔もするけど、この答えに気がつけたことが嬉しい。私は、ずっと考えれば答えが出るって信じきっていたけど実際はただ1人で頭でっかちになるだけ。

とりあえず肌をキレイにしたい、これだけで充分な理由だったんだ。確かに、肌を大切にしてない間は、自分のことを雑に扱っていたかもしれない。

人の心と肌は、繊細で壊れやすい。それに心と肌は繋がっていて、どっちかが壊れると両方壊れる。

でも繊細でもいいんだ。弱くても。
知ることは自分を守る力になるから。
だからいっぱい知って、私の心と肌を大切に育てて守っていこう。

敏感肌が、普通肌の人のスキンケアをマネしても肌を守ることはできない。だから、知ることで心と肌を守るんだ。

そう気がついてからは、お肌のお手入れが楽しくてしかたない。朝、夜とお肌に化粧水やら乳液やお薬を塗るだけなのに楽しくてしょうがない。

化粧水を手で温めるようにふっくらと塗るとなんだか心までふっくらふくふくしてるみたいだ。

肌がキレイになったらやりたいことリストを作ったり、次に使ってみたい化粧水をパックしながら探がしたり、そんな肌荒れ生活を過ごしている。

今週は、皮膚科に行くつもりだ。だいぶ良くなってきてはいるけど先生はなかなか、合格ラインを出してくれない。今回はなんて言われるのかな。わからないけど、心のカビとお肌のカビとお別れする日はきっともうすぐだと信じて、今日も薬を塗る。





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