ボルダリングジムのテープ
ボルダリングジムでのテープ表示をやめた。
ラインセットが台頭し登る前のオブザベを行うクライマーが減少したように感じる昨今、ラインセットメインジムでのテープの必要性を感じなくなった。もちろん同じカラーのセットが交差する場合に関しても後述してみる。
6年前にボルダリングジムを開業した最初のセット、大きなホールドといえば片手でヒョイと持てる程度の物が数個で後は拳サイズのホールドが300個程度の今思うとセッターに頭が上がらない取り揃えだった。そんなホールド量でラインセットをしてくれたのだから感謝しかない。セッターには今でもよくイジられる。
でもそんなスカスカなセットホールド全てにテラオカのオリーブテープを丁寧に貼るとあんなにスカスカだった壁がなんとも華やかになったのには今でも忘れない感動があった。
あれから時間が経ちあの当時のホールドのほとんどはカゴの中で当時のチョークを抱えながら眠っている。というこんなセンチメンタルな事を話したいわけではない。
あれからビッグホールドの時代になり、現在はウチのジムでもデカい鍋や鍋蓋ばかりのジムに変わった。その流れと同じくまず、スタートの4点とゴール以外のテープ貼り付けをやめ、その後ゴールテープもやめ、現在は遂にスタートテープもやめ自分で作ったアクリル製のスタートプレート(宣伝)を1枚もしくは2枚だけ装着するに至っている。これにはもちろんいい所と不便な所があるのだが、ここはあえて不便な所も屁理屈を交えて肯定的に言わせてもらいたい。
まず、セット時のテープ貼りからの解放。単純に1時間仕事セット後のぼろぼろのボディーに響く作業。ただ新セットへの高揚感からまだ頑張れる。ところがホールド外しのときはたまらん。擦り切れたボロボロのテープを剥がすたびに剥がれ落ちる壁のニス。壁上部テープへの絶望感。なぜこんなにも課題を作ってしまったのかと本末転倒な考えまで浮かんでくる始末、がなくなった。
次に、コストと在庫不足。「あれー?!赤のテープもーないじゃん!」「うわー数個じゃ送料もったいないなー」とかならなくなった。
次に、最初に書いた同じカラーセットが交差する問題についての話だがウチのように狭いジムは当たり前のように起こる減少で、それを分かりやすくするためのテープをやめた事で利用者同士の小さな会話が生まれるという現象。
クライミングジムは孤独ではなく壁を通して人と人を繋ぐ物であって欲しい。
壁は、かすがい。
ジムそれぞれの大切、重要にしている部分があって自分にとってはテープ貼りは重要では無くなった。
ただ全く使わなくなったわけではなく、スクールのちょっとした課題(ホールドカラー違い)などでは利用している。
ラインセットによって得たもの、なくなったもの。
20年前自分が愛したあの相模原のマブシジムは幸せが溢れていた。というセンチメンタルな話。