家庭に居場所がないトー横キッズの日常①【超ショートショートまとめ】
地面に寝転ぶという行為を、奥原しおんは初めてした。
頬がひんやりとして気持ちいい。
革靴を履いた無数の足が忙しなく通り過ぎる。
振動で空になった錠剤の包装シートが枯れ葉のような音を立てている。
ああ、なんだか落ち着く。
瞼が自然に下りて真っ暗になる。
救急車のサイレンが聞こえる。
〈奥原しおんのプロフィール〉
童話をモチーフにした装飾の部屋には屋根のついたベッドがあり、そこに肥えた裸の中年男性が眠っている。
腕の中には陶器のような肌を持つ少女が1人、耳を汗で濡らしながら中年男性の心音を聞いている。
少女が(大人も私と同じ音がするんだ)と安堵の溜息を吐く。
窓を冷たい風が叩いている。
援助交際でエッチしたおじさんが親戚だった。
おじさんは
「俺、大昔に親戚の集まりで君のオシメを取り換えてあげたことあるんだよ」
と、し終わった後に言った。
(は?親戚??)
パニックになっていると、おじさんが
「親にバラされたくなかったら……」
と口を近付けた。
「次は生でいいよね?」
「座ってる俺の顔面に、革靴で、こうだよ」
リュウガが、絡まれたというヤクザに見立てた「お~いお茶」の1Lペットボトルを動かし、リュウガ自身に見立てたヤクルトの容器を潰す。
そのペットボトルは次に、ミクが昨日相手にした客のいち物に見立てられた。
「顎外れるかと思ったわ」
親に援助交際をしているのがバレた。
「帰ってきなさい」と言われたのでトー横から家に行くと、
リビングのテーブルに両親が並んで座っていた。
緊張しながら向かい側に座ると、
お父さんは私の目をじっと見つめながら言った。
「インドに行ってみたら?児童買春が盛んだからやりやすいでしょ」
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