ブラック企業に勤める社畜の日常⑤【超ショートショートまとめ】
三浦俊の勤める企業が「社内通報システム」を導入した。
社員は匿名で各部署の問題点を上層部に報告できるようになったのである。
三浦俊を含めた社畜たちは疑心暗鬼になった。
誰かがサービス残業をチクるかもしれない。
そして、仕事を片づけられなくなるかもしれない。
〈三浦俊のプロフィール〉
【ブラック企業の解決方法】
▢経営陣ができる解決方法
厚生労働省のガイドラインを確認する
従業員の意見を汲み取れるシステムを作る
業務量の「見える化」をする
コンサルタントを雇う
▢従業員ができる解説方法
会社の枠を超えて結成される合同労働組合に参加する
ブラック企業の証拠を持って労働基準監督署に相談する
法的処置が行える「労働審判」を利用する
他の従業員と協力し会社と交渉する
退職する
参考:
「ホワイト企業の体裁を保つが、内部から崩壊するブラック企業」
病人は見栄っ張りだった。
体の不調に悩まされるほど「自分は健康そのものだ」と周囲にアピールした。
アバラ骨の浮いている胴回りをシャツで
食道に唾液を送り込むために痙攣する喉仏をネクタイで
脂汗の滲む青白い顔をファンデーションで隠した。
病人は責任を抱えたまま死んだ。
運悪く両目が同時に結膜炎を発症した。
瞼が腫れて開かなくなり、顎を上げても足元しか見えない。
景色はヘッドライトに照らされた夜道のようだ。
きっとストレスのせいだろう。
そして俺は眼科医院ではなく、ストレスの坩堝である職場に向かっている。
目が潤む。
え?血か……?
【ブラック企業の多い業界】
IT業界
飲食業界
不動産業界
サービス業界
保育・介護業界
小売業界(職員スーパー・コンビニ・アパレル)
運送業界
タクシー業界
建築業界
工場勤務などの製造業
医療系(医師・看護師)
マスコミ・メディア業界
アニメ業界
旅行業界
金融業界
塾業界
参考:
「ブラック企業に就職し摩耗し過労死する社畜」
自分で首輪にリードをつけた途端、犬は強烈な力で引っ張られた。
飼い主は他の飼い犬たちが牽引する犬ぞりで鞭を振っている。
犬は追いつこうと必死に走ったが、飼い主の求めるスピードには到達できない。
やがて足がもつれて転倒し引きずられた。
リードと首輪は首つり縄になった。
Xで「社畜」と検索した俺の親指は、スマホの画面上を滑り続けた。
「脱社畜のロードマップ」
今はいいわ……。
「8時間は労働時間の基準なのに経営者は最低8時間だと思っている」
今はいいわ……。
「限界社畜の究極時短メシ」
今はいいわ……。
「普通にもう無理」
いいね。
【社畜と思われるXアカウントの種類】
病みツイートをする「愚痴タイプ」
ネタツイートをする「自虐タイプ」
社会への不満をツイートをする「問題提起タイプ」
脱社畜の方法をツイートする「情報商材タイプ」
参考:社畜を自称するXアカウント10個ほど
「限界社畜」
壁を前にした人は選択に迫られる。
壁を乗り越えるか。
壁を破壊するか。
壁に絵を描くか。
壁を避けるか。
疲れ果てた人はどれでもなかった。
壁の前にかしずき地面に溜息を当てる。
まるで壁が四方を囲う牢獄のそれかのように。
自分自身を罪人に仕立て上げた。
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