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思いのままにただ綴るドラマ・アンメット愛29~漫画原作

「アンメット ある脳外科医の日記」第1話の感想を順に綴っています。
いよいよクレジットが流れてきました。
前回28では、スペシャル三瓶スマイル♡のあたりで流れてきた、キャストのクレジットを見ての感想でした。

漫画が原作

画面はどんどん、ストーリー全体に及ぶ核心部分ですが、都合上、クレジットについて先に書き留めます。

配役の次に出たのが、原作情報。
ここで私は初めて「ドラマ・アンメットは漫画が原作」を知ります。

漫画原作、って、微妙な感情があります。
漫画が原作ってこと自体はいいんですよ、全然。
だって、やっぱり漫画って、ほんと、いろいろと凄いんだから。アイディアとか。
創作する側が自由で、いろんな制約……「誰を配役するか」とか、「実写可能か」とか考えなくていい。ペン一つで何でも実現できるんですもの。

ドラマ化は、その、制約を飛び越えた自由な発想から生まれたものを、じゃあ、どう実写に落とし込んでいくか?と考える必要はあるのでしょうけれど、先ずは「原作が面白いから、映像化する」ってことに違いないと思うんですよね。
まあ、単純に面白いだけでなくて、「この魅力的なキャラクターを人が演じるのを見たい」とか「これなら実写でやれそう」とか含むにしろ。

ただ、原作が面白いからって、映像化した時に成功するとは限らないんだよなーという不安がいろいろと過るんです。難しい部分は必ず出て来るから、そこをどう乗り越えてくれるか……。
その思いは、さて原作漫画のファンがどう思うか、ということと切り分ける必要もありますが。

原作改変をどう考えるか、と言う問題などについても、いろいろ思うことはあるんですけれど、長くなるのでここでは控えます(私は大前提として改変肯定派?ん-、派ってあるんか??だけど(笑)肯定派です)。
結局は「良いものを作る」という気概と環境が大事だろうし、かと言ってそれだけでもないのかもしれない。うまく行く、行かないは、大勢のキャストスタッフで作る以上、出来上がるまでわからないというのが本当のところかなあ?と思います。

そんな中で。アンメットは、原作との実に幸福な出会いの際たる例になったんだなーと、とってもありがたく思っています。


脳障害の後遺症を正確に描く

カンテレの、「アンメット」HPにある、原作者・子鹿ゆずる先生、作画の大槻閑人先生の言は、第1話放送前のものだと思います。漫画作品に込めた思い、ドラマ化の期待が語られています。

原作・子鹿ゆずる コメント

言葉、記憶、技術……これらは脳の別々の部位が担当していることが解明されています。しかし「心」は何処にあるのか、その正体さえも曖昧なままです。原作では、私自身の経験を踏まえ脳障害の後遺症を正確に描くとともに、それと戦う人たちの心に焦点を当てました。
ドラマ化にあたり、製作スタッフの皆様ならびに杉咲花さんはじめ実力派俳優の方々により、原作を超越した見事なドラマに仕上げて頂けそうで大変感謝しています。
本ドラマが、一般視聴者の方々のみならず、当事者・ご家族の皆様、医療福祉関係者の皆様への応援になれば幸いです。

漫画・大槻閑人 コメント

この度のTVドラマ化、誠にありがとうございます!実は『アンメット』という作品、企画段階から「ドラマ化するといいなあ」と思い、その願いを込めながら自分なりに工夫してきました。僕自身は医療者ではないのでわからないことも多く、子鹿さんをはじめ、多くの医療・福祉関係者の皆様にご協力いただきました。この場をお借りして感謝申し上げます。物語を絵に、漫画にする作業を通じて、『アンメット』というバトンを良い形で受け渡せているとしたら、これほどうれしいことはありません。

カンテレ「アンメットある脳外科医の日記」HPより

今回、原作の検索をしていて、大本の講談社「モーニング」さんHPで、なんとまあ!原作が読めることを知りました。ありがたいこと!!
何話まで読めるのかしら?
また時間ある時に確認したいと思います。楽しみ~わくわく!


二次元ミヤビちゃんと三瓶先生

まあ、まずはこのビジュアルよ!

原作漫画「アンメットーある脳外科医の日記ー」第1巻表紙

うーん!すごい。
ミヤビちゃんそっくり。くりんくりんの瞳、ちょっと明るい髪色まで。
付箋だらけの日記。
三瓶先生、ほおら、首が前に出てる!ぽっけに両手!眉上の前髪!
若葉さんそもそもお首が長いので、雰囲気あるなあ。
わたしはまだ読めてないんですが、主演のお二人は、原作ファンも期待できたビジュアル完成っぷりじゃありませんかねえ??

漫画原作の通りのビジュアルに寄せることが必ずしも必要とか、成功の鍵だとはぜーんぜん、思っていません。
でも、そこからその世界観を創ろうと言うのは、ドラマ制作側のひとつの立派な戦法だという気はします。
仮に誰か役者が「俺は俺の主人公を創造するぜ」みたいな勝手な方向に行くとかってことになると、制作現場全体の統一感を損なう、破綻が生まれる、みたいなこともあるかもね?

そして。
原作者先生が仰っている「脳障害の後遺症を正確に描く」という、ここにもちゃんと、毎話焦点が当たっていました。
私に医療知識がないので、それが全部「正確だった」かは全くわかりませんが、医者の腕前を見せられる手術シーンを必要以上にドラマティックに描くことなく、何なら手術シーンを省いてでも、術後、患者が後遺症と格闘し、医者が懸命に寄り添う姿を描いていて、「腕のいい医者であればどんな病気も治せるんだね!」なんて幻影とは違った世界を見せてもらえたなあと、改めて思います。


主人公を改変

さて。
散々リンクしてきたカンテレさんのHPですが。中でももっとも興味深い記事がこちらでした。

【緊急対談】元脳外科医の原作者・子鹿ゆずるとプロデューサー・米田孝が語る『アンメット』ドラマ化への思い——。原作と視点を変え、ミヤビを主人公にした理由とは…?


カンテレ「アンメット ある脳外科医の日記」HPより

とあるんですけど。
元脳外科医の原作者先生と、米田Pの対談の形です。

漫画では、主人公は三瓶友治先生であるのに対して、
ドラマは、主人公が川内ミヤビ先生。
ですので、主人公、と言う大前提が違うという、大きな原作改変がある、というわけなんですね。

「アンメット」の放送が始まる2か月ほど前に、「セクシー田中さん」ドラマ化のその後に、脚本家氏、原作者先生それぞれの発信が大きく報じられた挙句、まさかの、原作者先生がお亡くなりなるという悲しすぎるできごとがありました。それで、世間ではずいぶんと、「原作改変」問題が独り歩きしたと言いましょうか……アンメットの放送前って、そういう時期なんですよね。
それで、ドラマの放送に際して、ドラマ制作側と、原作者との対談という形で、原作改変について丁寧に説明を尽くそう、双方の意思疎通を明らかにしておこう、という意図があるのかしら、と感じながら読みました。

ですが、その部分に限らず大変濃い内容がいろいろ語られています。

子鹿

実は、僕がこの作品を出版社のコンテストに応募したとき、ミヤビというキャラクターはまだ存在せず、主人公の脳外科医が記憶障害の看護師を助けるために帰国したという設定だったんです。それが、看護師ではなく同じ脳外科医にしようということで、今のミヤビが誕生しました。そして、僕の中ではミヤビこそが、この作品の中でいちばんの人格者。表立ってはいないけれど、自然と周囲の尊敬を集めるような人物に描いてきたつもりです。

子鹿ゆずるさん 抜粋

米田
原作と主人公を変えるという点を含め、先生にドラマ化を快諾していただいたときは本当にうれしかったです。最初は、朝起きると前日のことをすべて忘れてしまうミヤビが、どういう心情で1日をスタートし、患者さんとどう向き合い、どうやって過去を乗り越えていくのかを見たいという僕の率直な思いから、ミヤビを主人公にしたいとご提案しました。先生や担当編集者の方との打ち合わせの中で、ミヤビは自分が抱えた障害を恨むのではなく、受け入れたうえで患者さんと向き合う人なのだと理解を深めてからは、それこそがキャラクターづくりの根幹になる部分だと思い、先生から聞いたお話をもとに、杉咲さんとコミュニケーションを重ねてきました。その結果、「こういうとき、ミヤビはミヤビにしかできないことをすると思う」と、杉咲さんが自らミヤビの動きについてアイディアを出すこともありました。

米田孝プロデューサー 抜粋

子鹿
ミヤビの持つ明るさは、決して外に向けたものではないんです。障害があるけど明るく振る舞う、障害をものともしない明るさを持った人…とかではなく、強いて言うなら、物事の受け取り方が明るい人というイメージです。それが、彼女の強さだったり、患者さんとその家族の救いになったりするので、そういった、僕が原作で描ききれなかった部分をドラマで描いてもらえるとうれしいです。

子鹿ゆずるさん 抜粋

おおおおー!とうなるようなお話がてんこ盛りです。
元々はミヤビちゃん、医師設定じゃなかったんだ!

原作でどう描かれているか知らないのが残念ですが、ドラマのミヤビは間違いなく「物事の受け取り方が明るい」人ですよね。

原作を読んでいない身で、上記記事を読んで感じましたのは。
漫画原作は、アメリカ帰りの三瓶先生が、様々な症例と格闘する流れで。
ドラマは、その原作の中から、記憶障害を抱えたミヤビちゃんにまつわる部分を軸に話を繋いでいった、ということになるのかな?と感じました。

ですから、個人的には、主人公がかわるとは言っても、原作の中から、ミヤビちゃん関連のストーリーを抽出しての展開となり、大筋が変更になるってことではなかったのでは?と思います。視点を変える…見る角度を変えるって感じかな?と。

一般的に言って、ドラマは2次元そのままとは到底いかない。
だけど、きっとドラマ・アンメットは「何を変えないか、変えてはいけないか」という部分で、原作者の思いをしっかり汲み取り、表現できたのだな、と思っています。そしてきっと、チームでそれを共有できた。

想像ばかりのど素人の私には、実際のところは全くわからないですが、そういう現場はやはり、それなりの時間を必要とするに違いないだろうな、と思います。


脚本・篠﨑絵里子さん

続いて、脚本・篠﨑絵里子さん。
オリジナルより、原作物の脚色に良作イメージが多いです。私がたまたまそういうのを拝見しているだけかもですが。

ザ・テレビジョンのドラマアカデミー賞受賞時のインタビュー記事からです。

この作品は3年前に、米田孝プロデューサーから原作漫画(原作:子鹿ゆずる/漫画:大槻閑人)をドラマ化したいという相談を受けました。原作を読ませていただいて、この作品でしか描けないような明確なテーマに共感し、ぜひやりたいと思いました。それが2021年の11月ごろ。そこからドラマ化を許諾していただくために1話の詳細なプロットや全体の流れを作りました

ドラマ化が決まってからは、キャストの杉咲花さん、若葉竜也さんからも脚本への意見を頂いて、監督やプロデューサーと納得いくまで打ち合わせを重ねながら、1話ごとに決定稿にするまで何度も改訂しています。他の演者さんもアイデアをたくさん出してくれていますし、演出の監督さんたちも現場で最終的に「アンメット」の世界観を作って、台本をブラッシュアップしてくれました。みんなで作った台本なので、脚本賞を頂けると聞いた時はうれしいと同時に「いいのかな」と思ったのが正直な気持ちです。取り消しになっちゃうかな(笑)。

第120回ザテレビジョンドラマアカデミー賞脚本賞 受賞インタビュー:篠﨑絵里子

つまり。ずーーっとひたすら綴って来たこの1話の感想ですが。
この脚本をまず書かれて、それがあって、全ては走り出した、ということなのですね。パチパチパチ!ありがとうござます!!
じっくり時間を掛けてくださったんだなあ…✨

しかも。「私の脚本、一言一句変えないで」とか言わずに(笑)、原作の理念を守ることを大前提に、みんなで改稿、ブラッシュアップできた。そういう脚本家さんの柔軟な姿勢あってこその、アンメットだったと。

もちろん、作品創りにはいろんなパターンがあっていいと思います。きっと、正解は一つじゃない。
けれど、大きな目的を一つに「みんなで作っていく」現場が誕生するには、個々の主張やプライドが排されることもあるかもしれません。

特に脚本家は、世間では演出家以上に作品の評価の矢面に立つことが多い。もしかしたらその場その場で、思うところもあったのではないでしょうか。
ご苦労だけでなく、自分の意見を捨てる勇気とか忍耐とか、、
結果こんな作品を届けてもらえて。感謝感謝の私です。

やだもぉ、5000文字超えちゃった、、
次は30……へ。




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