映画日記「不思議の国のシドニ」
今日の鑑賞は、「不思議の国のシドニ」。
私、映画を見るのに、基本下調べをしない……ということを前回少し語りました。https://note.com/joyous_ixora7237/n/n964c6a804b0d
その方が案外、後悔することが少ないのだと。
でも、たまにこういうことも起こる、という例が今回早速ありました(笑)。
後悔じゃないんですけれど。
イザベル・ユペール主演、ほお~、ということで入ったこの映画。
いきなり、「GAGA☆」あれ???
続いて東映の△マーク。
うっそ。劇場の番号間違えた? 私、別の映画見てる???
いえいえ、合ってました。
そうです、フランス映画だとばかり思っていたんです。
まさかの日本映画だとは。
監督・脚本はフランス人女性監督、エリーズ・ジラールさん。
初体験です。
舞台のほぼ全編が日本。
つまり、「不思議の国」とは日本のことで、
作家デビュー作の日本における復刊に際し、キャンペーン活動として、出版社の編集者から熱烈に来日を求められ、むしろしぶしぶやって来る女性「シドニ」の物語です。
主演の、小説家役のイザベルは当然、フランス語しか話しません。
相手役として、伊原剛志氏が日本人の編集者として登場しますが、彼もほぼすべてのシーンでフランス語。
他の日本人は当然、「日本語しか話せない」のが普通で(笑)、あとは英語が少し。
無口で朴訥で、何を考えているのかイザベルになかなか見えてこない編集者「溝口」(健二じゃなくて健三サン!)と行動を共にし、ゆっくり距離を縮める中で、ぽつぽつとお互いの身の上を語り合うように。
溝口はシドニの作品に魅了されており、「なぜ書かないのか」と尋ねるのです。
彼女は実は、夫を亡くした喪失から、自分でも気がつかない間に「書かない」作家になっていました。
関空?に降り立ってから、真っ直ぐ京都へ向かい、
シドニは溝口のサポートを受けながら、毎日、観光と取材やサイン会、というハードな時間を過ごします。
日本が、フランスから来たシドニにとって不思議な国、というだけでなく、本当に「日本にいるから」不思議な出来事が連続して起こります。
のっけから、足をバタバタさせて笑いたい楽しいシーンが続きますし、
何と言っても、イザベルの美しさったら。
もう、お化けレベルではないのでしょうか。
フランスの岸惠子、と呼んでもよろしくて?
このイザベル、多分、「たそがれ清兵衛」にご出演の頃の岸さんと同じぐらいのご年齢。
さすがに岸さん、お肌は晒さなかったわ~~! まあ、元々そういうがっつり脱ぎました、なシーンのご出演はほとんど記憶にないですけれど。
京都、奈良、美しい景色満載なんですが、日本の何を撮りたいか、というのも、日本人監督とは少し違うのかな?とも感じましたし、
伊原さんのキャスティングは、日本人ぽくない日本人、と、どこからどう見ても日本人、の間をゆらゆらする、素晴らしいキャスティングだと思いました。
資本はともかく、内容が日本映画、と言えるのかよくわかりません。
特に、「日本って不思議な国」を伝えるための誇張されたシーンは、やはり日本人としては若干の違和感を感じますしね。
ただ、海外の方に、常に死者が生活の中にある日本人の無意識の感覚を伝える、ということにおいて、無意識的ゆえに日本人にはできない表現で、わかりやすく伝えることに成功している、とも感じました。
私はフランス映画が好きなんですけど、今回、日本映画との親和性をあらためて感じました。
文化や、人の生き方は全く違うのでしょうが。
「溝口健二へのリスペクト」を感じたのも嬉しかったです。
最後に。
あんまり具体的なこと書くべきじゃないんですけれど、これだけは言っておきたい。
手。手がエロいです。やばいです。