
ヤングケアラーMちゃんと、(大昔)地方附属小学校のJちゃん、母子家庭だと似るのか、そして勝手な考察
ヤングケアラーMちゃん
母子家庭
親御さんは夜の仕事、父はおらず現在県外。ちなみに反社のひと。
反社といいつつ、一年に数度子供の様子を伺いに帰っているという。たまにテレビ電話で話すときもあるとか。これにはびっくりして、私はすぐにSSWや担任、養護教諭に伝えた。かなり驚いておられた。
時々SSWと情報交換をするのだけれど、どういう経緯があるのか知らないけれど、数年前に警察や児相が入った事があったのだという。そしてその後、学校とは連絡が途絶え、Mちゃんが登校しても一切家のことを話さなかったという。
先生方やSSWによると、親御さんが家のことは誰にも言うなと言っているのだろうとのことだった。
今年度は担任も若く同じ子育て世代なので親御さんも話しやすいのだろう。電話もかけてくるし、夏休みに行われる、不安定なご家庭の定例のw教育相談も積極的に受けたそうだ。去年より、欠席も少なくなり、担任には子供をしっかりとみていきたいと話されたという。この進展にSSWも驚かれていて、去年とは打って変わった態度であるし、クラスに担任以外に支援員がいるので色々話しやすいのだろう、そうやって家庭の状況を話してくれる方が対策とりやすいので引き続き何じゃない会話や登校したときの支援をお願いしますとのことだった。
Mちゃんはいつも未就学児の兄弟のお世話をしている。お母さんが夜の仕事に行っている間ずっと。まだ赤ちゃんなのでちょっと目を離した隙に、顔から倒れ、歯ぐきから血が大量に出てかなり慌てたのだという。母親が戻ってきて歯医者さんが開くのを待ち受診。
夕方過ぎに母親が仕事に行った後、冷蔵庫から肉を出し焼いてたべたり、また別の日はベーコンや目玉焼きを作って、白ごはんをよそって食べているのだそうだ。
これを聞いてわが息子より生活力があると確信したwわが息子は自慢じゃないが目玉焼きすらつくったことがない、何なら肉も焼いたことが無い。
そしてMちゃん時々、同じアパートのいとこ(同じ学校)と過ごしている。母親同士が兄弟。
この豊かな日本で、母親が夜の仕事をし、残された子供達だけでアパートの一室で夜を過ごす、こんな光景を誰が想像できるだろうか。
まるで映画誰も知らないの世界だ。どうか母親だけは蒸発しないで欲しい。
20年近く小中で支援員をしてきて本当に自分は無力だと感じる。支援員の私でさえため息をつくのだから、教育実習に来た大学生は圧倒され、授業以外のことで手を取られるのを嫌がるだろう。そりゃ、誰も教員になりたいなんていわないぜw
このMちゃんの家庭には今も行政(子育て支援)が関わって定期的に訪問し、そして、SSWがMちゃんを迎えに行き、公用車に乗せて登校させているときもある。これを誰が贅沢というだろうか。
そしてなぜ母親が水商売をしなければならないか、簡単。稼げる昼間の仕事がないから。子供が低年齢の時は大体の母親はパート扱いが多い。それは経済力のある父親がいるのを前提に考えられた社会の仕組みそのもの。これはそう簡単に変えられない。昔、ヤフーコメで見たことがあるが、結婚した母親を全員公務員として雇用すれば変わる事が多いのではないかとの書き込みを見たことがあるが本当にそう思う。給料だけではない、福利厚生も大事。だって年休なんて一時間単位で取れる。私のような会計年度職員でも。
Mちゃんがやりたかったこと
彼女は少し前にバスケの体験に行っている。かなり厳しい指導もあったそうだ。だけどその話をする彼女の目は輝いていた。私なら乗り越えて見せるという確信めいた目――・・・。
でも彼女の親御さんは入部させなかった。4年になったらいいよ、という軽い言葉で。
母親からすると、道具を揃えたり、送迎だって往復ある。連れて行って1時間もしないうちに迎えに行くなんて荒行に近い。しかも夕方なんてラッシュに巻き込まれる。帰ってから夕食、3点セットの宿題、お風呂・・・宿題もやらないとかなり担任から言われる、厳しい担任だと宿題忘れが続くと家庭連絡を入れたりする。
そしてMちゃんは私に、お母さんはいつも小さい子にばかり目をかけて、私のことなんて何もしてくれない、やりたいことも出来ない、そう訴えてきた。
私も一人息子を育ててきているので母親の気持ち、子どもがやりたいスポーツのこともわかる。だけど、習い事ってお金もかかるし時間も取られる、どうしようもないんだよね、と口に出せずに胸の奥に閉まった。
夏休み明けてから、Mちゃんは欠席がガクッと減った。そこは本当に良かった。
(大昔)地方国立附属小に通っていた母子家庭の子Jちゃん
私はこのJちゃんのことを知らない。ご子息を附属小に通わせた同僚の先生から聞いた話。でも聞いていてMちゃんのお家と似てる、と思った。
政令指定都市でも田舎のアパート住まいのJちゃん。親御さんがなぜ附属を受験させようとしたのかも知らない。だけどJちゃんの住まいからバスに乗ると一直線上の道を進み、乗降してすぐに附属小があるそうだ。
わが県では私立小がないために、お金持ちのお子さん方が集まるのだという。たまに普通のご家庭があるそうだが、お金持ちだろうが普通の家庭だろうが親はヤバいくらい教育熱心だそうだ。特に幼稚園から内部進学してきたお子さんはそりゃもう親も凄いのだそう。
我が子をエリート中のエリート学校に―――・・・母子家庭でもそう思う親御さんもいるのだろう。そしてクラスメイトは地場企業の社長や大病院の理事長、大学関係者、勤務医、親御さんはそういう人が多いのだそうだ。普段は知り合えないそういう人達の子供達とわが子が知り合える、切磋琢磨出来る、しかも、学校という利害関係のない場所で―――そういうメリットを考えたのだろうか。
そしてそういう学校に通うわが子、どこにでもいる母子家庭のパート勤務の母親からすると、それは禁断の実を口にするw事と同じで、そこには今まで自分が経験したことのない世界が広がっていると想像すれば心躍るwに違いない。ひょっとしたら今まで底辺にいた自分が上の世界へ行けるチャンスと思ったのかもしれない。
お子さんは利発でひょっとしたら受かるかも知れないと思ったのか、たまたま職場に附属小に通わせている親御さんがいて色々聞いて受験を決断したのかも知れない。
同僚によると実際にこのお子さんは利発だったという。
もちろんお受験塾に通わせるお金なんてないし、頼れる親も近くにはいない、ネットで対策セットを買って勉強させただけのかもしれないけど、実際に受かっている。体操なども上手だったそうだ。
そこまでは良かったのだけれど
附属小に入学してから、こどもから〇〇君や××ちゃんはいくつも習い事をしている、そして母親自身は授業参観や学校行事で漏れ聞こえる母親たちの習い事や塾の話し―――もちろん、Jも通わせないといけない、そう思ったハズ。
それからJちゃんに習い事を3つも4つもさせた。習い事は家計を逼迫し、いくら就学援助を受けているとはいえかなり厳しかったハズだ。
今はどうなのか知らないけど、当時は給食がなく児童全員母親の手作り弁当。この弁当が色とりどりでお店に出せるんじゃないかというレベルらしい。ちなみに中学に上がると、お弁当を見るだけで内部生か外部生かが分かるのだという。スゲー世界www
就学援助は給食費も出るので就学援助世帯が附属小に通わせるとかなりのデメリットになる。お金はでないから。しかも交通費だって要る。もちろん交通費だって出ない。
そして一番は塾。低学年から塾に通っているお子さん方が多いのだという。でもJちゃんの母親は通わせることはなかったそうだ。習い事や学校にかかる費用出すので精一杯。
そのうちJちゃんは学年が上がる事に落ちこぼれていき、ついに中学に上がるかどうかを決めるテストにも落ち地元中に通う事になったそうだ。
そんなテストがあるんだ初めて知った、というと同僚はこう教えてくれた。
うちの子は附属は無理だから私立中又は地元に通わせようと決めて、親から上には上がりませんって決断するんだよね、いわゆる出来ない子から中学に上がらないって決めて抜けていくんだよ、と。
へー、先生から家庭に肩たたきがあるのかと思ったというと、
そんな失礼な事はしないよ、学年が上がる度に難しくなるし、ほら附属って研究校でしょ、だから公立とは授業が違うし。でも学力つけとかないと中学に上がれない、だから習い事以外にもみんな塾に低学年から通わせているんだよ、とのことだった。
なんかそれって、5、6年になると誰が上がれて誰が上がれないのか、みんな疑心暗鬼になるよね、なんか辛ーいというと、
それをわかって保護者さんはみんな受験してるからね、ということだった。
まー、私には耐えられない世界だわってwww言うと、
それを塾にも通っていない、学習だって普段からお母さんみてないから子供はついていけなくなるんだよ、とのことだった。
Jちゃんの兄弟
Jちゃんには数人の兄弟がいる。母親が長子にばかり習い事や送迎などに手を掛けるから、下の子達はとんでもなく凄かったという。
身なりは汚いまま、保育園に持っていく道具は揃わない、保育園の行事に揃える物も揃わない、手がかかってないから何事にも園の先生から指導が入ったのだという。
それでもJちゃんの母親は、入れ替わりで小学校に入学する二番目のお子さんを附属に受験させたのだそうだ。もちろん、落ちた。そして長子であるJちゃんもテストに落ち中学には上がれなかった。
この母子家庭の一部始終を聞いて、私ら支援員もそうだけど見てて手がかかってない、寄り添って宿題も一緒にしていないって、子どもたちを見てて何となくわかるよね、経済的に厳しいところも、親御さん自身が厳しいところも増えているし・・・附属小の先生達もそう思ったんだろうなと妙に納得してしまった。
MちゃんとJちゃんの話を聞いて・・・この両極端のご家庭を一緒くたに見るのはいけないのだけれど・・・
母子家庭のところってみんながみんなじゃないけど、本当に整っていない家庭が多い。親が同居していると少しは違うけど、それでも祖父母に甘える親もいるので何とも言えない。
身分不相応と思ったことにはあまり手を出さない方がいいと本当に思う。ただMちゃんのご家庭はもう少し何らかの支援があればもっと良い方向にいきそうだけれど。
Jちゃんのお家はおそらくだけれど、保育園からオブラートに包む感じで附属は止めた方が良いと話があったのではないかと思う。というのも、保育園は相当前からどこの小学校に行くのか、地元公立でも学校説明会が開かれている。特に支援が必要なご家庭では様々なアドバイスがあっていたり、必要な場合は行政につないだりしている。就学時前健診は附属を受験するご家庭はどこで受けているんだろう・・・あ、いや、地元小か。落ちたら地元だから。でもどうなんだろう・・・
MちゃんとJちゃんの親御さんはどちらも、ここぞという所でサポートが足りていないような気もする。兄弟が他にいると中々難しいよね。そしてどちらもPTA活動には参加していない。
Jちゃんの親御さんは一人一役はしているのかもしれないけれど、自分のこと子供のことで精一杯で学校に協力するという姿勢が無い。こりゃ落とされるわ。附属小のこと知らない私でもありゃりゃと思ってしまう。
そしてJちゃんの親御さんは、受験時、伝手を頼って情報を集めたりしなかったのだろうか。少しでも情報が入ると、あーうちには無理ってわかるんだけれど。お受験塾に行くのが一番なんだろうけれど、そんなお金も出せないなら最初から受験させないほうが良かったんじゃね、というのは余計なお世話か。
私の勝手な憶測、なぜJちゃんの親御さんはJちゃんに国立附属小を受験させたのか
エリートの学校、自分では築けなかったお金持ちの人達との交友関係を子供に託したのは書いたんだけれど、最大の謎は、なぜ受験したのかということ。
これに関しては同僚も知らないと言っていた。ということも書いた。
ひょっとしてだけれど、親御さんご自身も母子家庭で育ち肩身の狭い思いをしてきたのではないかと頭をよぎる。
附属小の親御さん達は例え一般家庭でもかなりの教育熱心なのだという。だとしたら、親御さん自身も勉強ができたはず。
そしてJちゃんの母親はこの真逆で、恵まれなかった家庭環境、友達が持っている物を欲しかったけれど買ってもらえなかった幼少期、勉強は普通かそれ以下、高卒で就職、結婚その後離婚、どこにでもいる母子家庭の母親像。
それか、意外だけれど、短大卒、地元企業に就職、結婚離婚、仕事は短大卒を活かせないレジなどのパート。高校はそこそこの公立を出ているので、わが県のように高校の偏差値で評価が決まる様な風土だと、まあまあ良い顔ができる。要はプライドの高い母親。Jは私の遺伝子を継いで賢い、何をさせても人より上をいける、何ならいつもトップ―――保育園の先生方からはいつも褒められる、この子には良い環境を与えたい。
そしてそういう仲間と学校生活を送って欲しい、思い切って附属小を受けさせようか、と悩んだ。そして塾にも通わず合格。くじ運さえ引き寄せられる、やっぱり私の子!
何か、東京カレンダーみたいだなwww
まあ結局は計画が狂いJちゃんは中学に内部進学できず、二番目の子も附属小を落ちた。
本当にうがった見方だけれど、附属小の先生方の意図を感じる。自分たちが研究したい授業ができる、それに見合う児童が欲しいというのはよくわかる。児童をみれば家庭がわかる。それを如実に示した家庭かな、というふうに感じた。