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深い瞳のひと

ガリレオ衛星

裏紙で絵をかいて説明しながら

  • 木星には衛星が4つあって、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストがあるんだよ。

  • そうなんだ、知らなかった。

  • ほらみて、この図鑑。これにかいてあるよ。この絵、木星。ここに衛星のことがかいてある。

  • 深い瞳のひとは、目をくるくるさせながら楽しそうに、表情は真剣に話してくれる。

  • 彼はまだ小2。天体に興味があるのはあるのだろうけれど、おそらく、たまたま図書室から手に取った図鑑をパラパラめくっていたら、興味をそそられたのだろう。ちなみに世界各国の国旗にも興味がある。裏紙に知っているだけの、国旗を書き色鉛筆で塗る。木星、ガリレオ衛星、各国の国旗でカラフルになった裏紙。こんな裏紙をもらえると私も嬉しい。捨てるだけの紙が、私に知識を授けてくれる。

天王星について

  • 天王星はもともと横に自転していたけれど、あるとき、隕石か小惑星かまだ不明なんだけれど衝突しちゃって今は縦に自転してるんだよ。縦に自転してるのは天王星だけ。

  • そういうと、ガリレオ衛星の横に天王星をかき、まだ解明されていない何かが天王星に衝突し自転軸が変わったのを絵で説明してくれた。

世界各国の国旗

  • 深い瞳のひとは最初に興味を持ったのは国旗だった。ガリレオ衛星、天王星を私に説明してもらった後に気付いたが、彼が描いた国旗は何となく惑星に似てる気がする。色鉛筆で国旗を塗るとカラフルで、宇宙は漆黒のだだっ広い空間の中に星がきらめいているイメージしかなかったけれど、宇宙は実はカラフルな色をしているのかもって思った。いや、深い瞳のひとにはそう映っているだけかもしれない。

地球の自転と公転

  • ね、私さあんまり理科ってわからなくて、自転って言葉きくと自分で回っているって頭で考えるんだけど、なんかさ、いまいち3Dみたいにイメージわかないんだよね、そして自転しながら公転するじゃん。もうなんかすごくイメージしづらい。よく太陽と地球の関係でさ、図が載ってるじゃん。いまいち立体的に感じられないからよくわからない。というと・・・

  • 深い瞳のひとは、図鑑のページをめくり、地球と太陽の図のページを開き、裏紙に、地球の自転はね、どんぐり回しをするとくるくるまわるでしょ、それと同じって思えばいいよ、そしてどんぐりがくるくる回りながら太陽の周りを一周するって思えばいいよ。で地球は傾いているでしょ、だから季節がある。

ある出来事

  • 深い瞳のひとは、色々あり、金切声をあげながら号泣し脱走しかけている。小2とて男の子の力は強い。そしてありあまる力で駆け回る。駆け回るスピードと頭の回転の速さがなぜか比例しているようにみえて、さまざまな事を口にしていた。あまりに多くのことを言っていたので私も覚えていない、というか、事故があったらと思うと、気が気じゃなかった。他の先生のお力もあり、深い瞳のひとは落ち着いた。

  • 深い瞳のひとはIQが同学年の子より高い。小1の時にウィスクⅢ(だったと思う)を受けて、小6の知能であることがわかっている。診断結果はでこぼこ。こりゃ生きにくいハズ。

  • 最近はアスペは聞かなくなったかわりに、自閉症スペクトラムの診断が増えている、もしくは〇〇傾向ありとかwwwはっきり診断してくれるといいのだけれどwww。

  • 深い瞳のひとは、ADHD。

  • 周りの意見を総合すると、深い瞳のひとにとって小2の学習内容は簡単でつまらないハズだ。みていても余裕しゃくしゃくな感じがする。だけど今の公教育では高いレベルでのクラスが存在しているわけでもなく、万が一そういう学習ができたとしても人間関係を構築するのが難しいので長続きはしないだろう。

深い瞳のひとと私

  • そのあと、特に何もなく、たまに困ったときに話しかけてくれることがあるくらいで、私もあまり話しかけず、付かず離れずといった感じ。

  • ただ私にとって一ついいことがあった。国旗、ガリレオ衛星、天王星、地球の自転と公転の話をした翌日の朝、起きてとても体が軽く、気も軽くなった。自分でもとても不思議。こんな感覚は初めて。彼とは相性がいいのだろうか。よくわからない。惑星の話をしたからだろうか、宇宙を無意識に自分なりに描いてみて、漆黒の世界だと思っていたところ実はカラフルだと認識したからだろうか。

  • 深い瞳のひとが裏紙に描いた小宇宙を眺めていてそんなことをふと思った。


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