壁時計
小学校1年生の時、参加した
ホームルームで学年男女問わず
親睦を深める交流会をしていた。
すると
突然、目の前のお姉さんの頭に
壁時計が落ちてきたのである。
ゴツンと大きな音を立てると同時にお姉さんの首がガクンと衝撃で大きくうなだれたのを見た。
うぅ…と唸り声を出した後に
しばらくして
お姉さんは大きな声で泣いた。
先生がやってきて
床に転がった時計を拾っては
「どうして落ちたのかしら…」
と上を見上げた。
そしてお姉さんには
「大きなお姉さんなんだから、泣かないの。周りの小さい子達がビックリしてるでしょ?」とたしなめた。
それでも
お姉さんは泣き止まなかった。
昔の教師は、
そう容易く謝らなかった。
今の時代ならば
リスク管理、過失責任等々、
かなり大きな問題になっていただろう。
泣かないの、と言えるほど
軽い傷ではなかったはずだ。
今でも鮮明に覚えている一撃。
怖くてこの年齢まで
言葉にしたことがなかったほど。
つい高いところに
立て掛けてあるものは、
壁時計だけでなく見てしまう。
もしあの時と同じ状況ならば
”だいじょうぶ?”
“いたかったよね“と
さすりさすり、痛み分けして
あげられる自分がいてほしい。