エーデルワイスの魔法書店 夏〈ラテン語の魔法書〉第二章
第二章 魔法書の取り寄せ先
「そういえば…何故サイラムはラテン語の勉強をしてるのですか?今は使われていないでしょう?」
私が聞くと、カイトさんはおどろいたように目をぱちぱちさせて答えた。
「イタリアで見つかった魔法書は、ほとんどがラテン語で書かれているからです。魔法店主の間では有名だと聞いていたのでご存知かと…。その本も読めるようでしたので。」
「私はお母さんに教えてもらいました。しかし…イタリアも魔法書が豊富なんですね。初めて聞きました。うちはイギリスから買うものがほとんどで。この本は知人にもらったものなんです。自分では読めないから、と。」
カイトさんはそうなのですか…と呟き、今までかやの外だったサイラムの腕を掴む。(私はサイラムの存在をすっかり忘れていた。)
「エーデルワイス様には申し訳ないですが、今日はこのまま失礼いたします。この方を授業に連れて行かないといけませんので。」
だんだんとにっこりしてくるカイトさんを見ていると面白くなってしまい、私も笑顔で言う。
「そうですよね。ではまた。次は授業がない時にいらしてくださいね。」
「あぁ…分かったよ…。」
カイトさんに立たされたサイラムがため息混じりの声で答えた。
2人が帰った後のこと。本を片付けていた私はあることに気がつきました。
「あ…なくなってる。」
知人にもらった、と話した本が机の上からなくなっていたのです。…きっとサイラムが持って帰ったのでしょう。
「今度、買い物の帰りに…魔力をもらいに行きましょうか。」