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Liella!は手の届く星になった。


Liella!3rd仙台で正直に思ったことを誤解を恐れずに言うと「やっと人並みのグループになったな」でした。

5人のLiella!

というのも、1期生5人のLiella!の完成度が信じられないほど高く、歌唱力、ダンス、MC、どれをとっても逸材で、まさに「スーパースター」でした。手の届きようがない、とんでもなく凄い人たちの集まり。

君空リリイベの時から既にその実力は遺憾なく発揮され、度肝を抜かれました。

生放送や上映会でたびたび涙も見せてましたが、それも「壮絶なプレッシャーに耐え抜き化け物のようなパフォーマンスをするグループ」という認識でした。

一般公募だろうが業界内オーディションだろうが、狭き門をくぐり抜けてきたのです。
そんな時点で凄いのにそんな凄い人たちがさらに努力に努力を重ねた上で迎えた1stライブツアー全22公演を誰一人欠けることなく完走。

その中でも随所で進化は見られ、いつの公演のどの瞬間も宝物でした。


その実力は「一般公募なのに凄い」という言葉すらすぐに過去のものとして捨てられてしまうほどに。

1期生と2期生

アニメに準じて2期が始まると共に2期生の加入が行われました。シリーズ初の新年度、シリーズ初の進級によってLiella!は9人となることに。


アニメ序盤では5人でなくなること、メンバーを増やすこと、自分たちの目的や思いが語られ、それは視聴者や観客である誰しもが大なり小なり感じていたことでした。


それと同時に描かれたのは「1期生のLiella!が化け物である」ということでした。

新年度になり新メンバーを募集するも全く人が集まらない、人気はあるはずなのに。そこでモブ達から出た話が「Liella!はレベルが高すぎてついていけるかどうかわからない」でした。


アニメ1期でも描かれていた通り、かのんは歌唱力、可可は情熱、千砂都はダンス、恋は芸術や芸能に対する感性に秀でており、すみれは総合力(これは自分の主観)が高く、自分達ではまだまだだと思っていても側から見れば「凄い人たちの集まり」な訳です。

なんたって1年生のみの新設校の新設グループのはずなのに魔の東京大会で2位に入ってくるダークホース。恐ろしい。そりゃ近寄り難い。

この描写は自分にとってドストライクでした。

今までのシリーズの様な「10人目のメンバー」や「同じ同好会に所属するあなた」という概念がないスーパースター。
プロジェクト開始からアニメ2期直前まではまさにこのモブ達の様に「凄い人たちの集まり」だと思っていました。

どこか手が届かない、雲の上の存在、まさにの様だと。

そこに入ってきたのが地方から上京してきたきな子。
スクールアイドルをするにあたって特出する特技もなく、そもそもスクールアイドルという存在さえ知らない。



そんなきな子が偶然かのんやLiella!と出会い、Liella!を囲う環境を知り、少しずつ惹かれつつも半ば強引に加入させられます。


そこで体験したのは
今の自分には高すぎるハードルの練習メニュー、
実力者の中に素人1人という環境、
その姿を見て「やっぱりLiella!は凄すぎる」と倦厭する周囲。

5人はハードルを下げることも検討しますが、きな子が惹かれたのは「凄いLiella!」。
その勇気を握りしめて体当たりでLiella!に挑んでいきます。


その後もメイ、四季、夏美の加入と合わせて1期生と2期生の実力差の問題をたびたび取り上げ、お互い刺激しあい高め合いながらラブライブ!を勝ち抜いていきます。


この実力差の問題を何度も取り上げるのは、アニメとしての劇中で何度も描写することの必要性は別として、実際に部活として活動していく中では当然何度も出てくる話です。

1年間真摯にスクールアイドルをやってきた5人が翌年入ってきたのメンバーに簡単に実力を越されては、それこそすみれが言っていた様に1期生のメンツが立ちません。
そこでの葛藤も当然どのメンバーにもあるはずです。
しかしその葛藤と努力が2期のメインテーマとも言える「追いつけ 追い越せ」を物語るものに他なりません。

アニメ2期での1期生、2期生の努力と葛藤は現実のキャスト間でも当然あるでしょう。

我々は彼女達の素の実力を知る由はありませんが、少なくとも1期生には1期生だけで活動してきた時期の分だけの経験値があります。
それ2期生の素の実力ですぐに埋められるものではないでしょう。

アニメと同じく、時に手を取り、時に突き放し、共に高めあいながらステージに向けての準備を行なってきたことでしょう。

その2期に準じた3rdライブツアー仙台公演。9人になっての初めての長時間尺のライブ。その感動は参加者全員と分かち合えたと信じています。

実力の差

そこで感じたのが1期生と2期生の実力の差でした。ここは

「アニメの物語に準じたライブに、そこで描写された感覚をモブ視点で持って参加した1人の観客の色眼鏡」を通してる

前提で話をします。


1stライブツアーでは全体を通しても音のブレが数えるほどしかなく、歌詞を飛ばすこともほぼ0、ダンスの知識無しにも「凄い…」と思わせるパフォーマンス、毎公演変えてくるMCなどなど。
絶対にやってやるんだという気迫のステージの数々でした。

対して3rdライブツアー仙台公演では、相変わらずの技術の高さはありますが、音のブレはそれなり(それでも気にならないくらい)にあったり、2.3度歌詞の入りが間に合わなかったり。

2期生はともかく、1期生は力の入れどこと抜きどこのバランスのとり方が身に付き、長期ツアーのために現状での最大体力を温存できるようになっているように見えました。

ダンスはなにぶん知識が無いので「凄い…」ってなってましたが。

しかし1stライブを経た後だとグループ全体の技術力としては「落ちてる」と言う表現をするのが正しい、のかもしれない、という感想でした。

そして合わせてこの感想を持った自分自身
『自分の好きなグループに対して下手になったと言いたいのか』
という疑念も生まれました。

しかし、この感覚すらもアニメ2期とシンクロしているかもしれない、と、思ってしまったのです。

2期3話ではウィーンマルガレーテに敗北もしますし、1話で「5人のままの方がいいかも」、未だに実力差があると感じていた9話で「勝ち進むためには東京大会に1期生5人で出る」という話が出ました。
それほどまでに1stツアー及びアニメ1期を経た1期生5人の完成度は高く、そこに経験の浅い新メンバーが加入したら全体の平均値が下がるのはある意味当然です。

にもかかわらず9人で並び立つステージ、クラップの楽しさ、セットリスト、ライバルのパフォーマンス、ステージ演出など、場所は違えど様々な感動を覚えていることは確かです。

ではスクールアイドルの価値とは?素晴らしいパフォーマンスとは?観客の心を掴む歌とは?

『実力が下がったのにこんなに魅力的なのはなぜだ?』

その問いの答えの一つがアニメで"エーデルシュタイン""Sing! Shine! Smile!"が披露された10話及び地続きの11話だと思います。

圧倒的な技術力で観客を圧倒したウィーンマルガレーテ。
明るく楽しげな雰囲気で、ゆったりとしたテンポとわかりやすい振り付け、観客を巻き込んだ演出を行ったLiella!。結果軍配はLiella!に上がります。

もちろんウィーンマルガレーテも2位と、観客の支持を得たことに変わりはありません。ですがそれよりももっと観客を魅了したのはLiella!、という描写でした。

この2曲の対決とアニメが示したメッセージは

「上手い下手も大事だが、それ以上に楽しいという感覚がなによりも大切」
という事でした。

ラブライブ!の競技性

そもそも大会としてのラブライブ!は競技性は以前からありました。
お互いを高め合い、より素晴らしいステージをみんなで作ろう。

そんな中でμ'sは「スクールアイドルみんなが誰だって輝ける場所」という理念を持ち、その世界を作ることを目指して優勝しました。

A-RISEやほかのスクールアイドルたちとともにスクールアイドルのすばらしさを世に知らしめたのです。


しかし年々参加校が増え、全体としての技術力も上がり、それに伴って競技性は増していきます。

「スクールアイドルは厳しい世界」

「ラブライブ!は遊びじゃない」

といった言葉も出るほど争いは激化していきます。


しまいには「ラブライブ!なんて出なくていい!」と言われるほどに。

野球やサッカーと違いアイドルというそれぞれ唯一無二の輝きを放つ存在です。
そこに部活として優劣をつけていく事自体に矛盾を感じることはキャラクターも視聴者も大なり小なりある事でしょう。

そしてそのようなストーリーの中で当然夢破れることもあります。
涙する場面は数多く。

しかしそれでもラブライブ!はスクールアイドルにとって一つの目指すべきの場所なのです。


出場して勝ち進めば知名度も上がる。

その過程で切磋琢磨して上手くなれる。

できることが増えると楽しい。

楽しいことはもっとやりたい。

たくさんの人に歌を届けられるようになる。


そこで頑張る事は決して否定されるものではありません。
ラブライブ!を目指し練習を重ね、仲間やライバルとともにお互いを高め合い、毎日を駆け抜けていく。

その走ってきた軌跡は、たとえ結果がどうであれ一切無駄になどならない。そんな答えにたどり着いたグループもありました。


そんなラブライブ!の東京大会。
Liella!はアイドルとしての技術力を高め、過去に敗北を期したウィーンマルガレーテに「楽しいという魅力」で勝ちました。

これは大会としてのラブライブ!の存在意義を見つめ直す結果です。


何のためにスクールアイドルをするのか。

ここでスクールアイドルがしたい!

スクールアイドルをするための動機は様々です。

注目を浴びたい

自分の好きな歌をみんなに聞いてほしい

最後の思い出作り

自分自身の証明

様々な思いを抱き少女たちはこの世界に飛び込みます。


しかし根本に共通する思いは一つ。それは

「出来るかどうかじゃない。やりたいかどうかだよ!」

動力源が何であれ、その動機を生む種となる何よりも純粋な気持ちです。

スクールアイドルがしたい!という女の子達とスクールアイドルを応援したい人が集う場所。
それがラブライブ!の本来あるべき姿であるのではないか。

そうLiella!は東京大会で大会観客に問いかけました。

歌やダンスが上手いに越したことはありません。
表現力やトーク力が高いことに越したことはありません。

ですがそれよりも大切なのは、今この瞬間をスクールアイドルも観客も共に楽しむこと。

限られたこの時間を共に過ごせることを大事にすること。

「スクールアイドルの魅力は技術力だけじゃない」

Liella!を技術力の高さで推していた自分自身にとってアニメ2期、ウィーンマルガレーテという存在、そして3rdライブ仙台公演はこの大事な初心を思い出させてくれた時間でした。

スーパースターな彼女達もスターになるまでの過程があり、それはとても人間臭く、人並みな面が幾つもある。
Liella!を人並みにし、心の距離を近づけてくれ、より応援したくなる魅力を出しているのは他でもない2期生です。
2期生のみんなのおかげで、Liella!に対する愛着はより一層強くなりつつあります。

そして同時にこの後も続いていくツアーの中で、より完成度を高めたライブにするための努力を惜しむなど、彼女達はしません。
葛藤と努力を、今日も明日も続けていき、進化していくと確信しています。

なぜなら彼女達は限られた時間の中で精一杯輝こうとする
『スクールアイドル』
だから。

今のLiella!はまだまだ成長途中。

あの瞬間を越えたい。

昨日より今日。

今日より明日。


追いつけ、 追い越せ___。

これからの景色

では、この3rdツアーを経て成長した彼女たちはどんな景色を見せてくれるのでしょう?
今の人並みで魅力的なLiella!にもし技術力が付いたら?

アニメ2期の様に楽しいを越えて傷ついて知ったその先の「もっと楽しいって気持ち」とは?

楽しいだけじゃ越えられない壁を越えた先から聴こえる「未来」とは?

そんな想像をするだけでゾクゾクしますが、それを見つけるのはもう少し先。

でも確かに感じる未来の話。


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