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1月22日(2010年) 憎めない男・杉山弘一
浦和で活躍した杉山弘一が、シンガポールで指導者人生のスタートを切った(2004~09年に浦和ハートフルコーチも務めているが)。その後の経歴を見ると「波乱万丈」という言葉がピッタリくるようだ。
駒場時代、自由席の観客はおおまかに「応援派」「ヤジ派」に分かれると言われていたが、サイドバックの杉山は「ヤジ派」の標的にされた一人だった
(他に堀、城定、西野、内館らが主にヤジ派のターゲットにされていた印象がある)。それでも黙々と、あるいは飄々とプレーする姿は、どこか憎めない男、という印象だった。また、V川崎移籍後の駒場での試合では、入場してきた杉山らV川崎の選手に拍手が起き、杉山のダンマクが掲げられたバックスタンドに向かって、杉山が笑顔で指をさす微笑ましい光景も見られた。
そんな杉山の指導者人生はシンガポールを皮切りに、柏のコーチを挟んでタイで監督を務め、今度はJ3秋田やJFL奈良クラブでも指揮を執り、今は京都のコーチに携わっている。新潟シンガポールで4年指揮を執った他は、1〜2年間の着任が多い。秋田では1年目にJ3優勝に導きながら、翌年7月には解任されている。それでも、2020年を除いて監督・コーチの任に就いている。たとえ職を解かれても、すぐに次の所から声がかかるのは、それだけ指導者としての杉山の力量が評価されている証拠だろう。
「波乱万丈」の指導者人生。さぞかし苦労も多かったと推測するが、杉山の表情を見ると(失礼ながら)「いや、別に」と独特の笑顔で返ってきそうなところがある。杉山弘一、現役時代同様、本当に憎めない男である。