鹿島アントラーズ戦 (Home)
6-7月はHome東京V戦以外ストレスの溜まるゲームばかりだったので、とても投稿する気にならなかったが、気を取り直して久しぶりの投稿。
劇的な展開を言うに及ばず、仮にそれを差し引いても複数の驚きをもたらしてくれた、観る価値のある試合だった。
まず、布陣。ボランチに松本昌也でトップ下に平川?ゲームが経過するにつれてレオ・ゴメスがアンカーに松本、平川がインナーハーフという布陣がわかってくるわけだが、開始直後ロングボールからいきなり松本がペナアーク付近からミドル!のシーンを目の当たりにし、松本はトップ下と思い、横内さんそう来るかと唸った。以前、松本の物理的な速さは劣るけども予測の良さを褒めていたことがあった。その特性を中央で活用しようっていう狙いに、早々の惜しいシュートも相俟って苦戦は必至ながらそこそこやれるんじゃないかと予感させるものがった。
次は、驚きと言う程でもないが、磐田のPK取り消しは、日本的な空気とか場の収め方としては意外に思った。鹿島のPKも微妙な判定だったわけで、確かに腕に当たってる以上は"公平に”与えてくれるものだと思ったのだが。そもそも、磐田のPKはレフェリー自身がジャッジしたものだし。
とすると、レフェリーの心理としては、(鹿島PKのジャッジに若干の後ろめたさを覚えているところに)あ、(腕に)当たった、ここはPKだろ!….それにハンドだしイエローだ!….(VARの具申を経て..)まあちょっと厳しすぎか..う~ん、もう一回見るか…うん、やっぱ俺、厳しかったわ。みたいな感じか。
まあ客観的に見ればノーファールが妥当で、むしろ相手陣内に深く入っていった攻撃に、後半期待は持てるんじゃないかと感じた。割と裏は取れそうだな、と。
(他に気づいた人いたかわからないが、ハンド判定を副審に抗議する関川の姿は、エガちゃんそっくりでハッとしてしまった。くねり方が。さすが、昌子からポジションを奪った若者だ。気になる方はDAZNで見返してみてください)
続いて、山田キャプテンの超絶反転シュートももちろん驚いたが、リアルタイムではいったい何が起こったんだ、という混乱が正直なところ。実際、クロスがそのまま入ったのかと最初は思った。
それよりも、逆転弾を演出した、背番号50のポジショニングと、更には精緻なクロスに繋がる芸術的なトラップに衝撃を受けた。疲労困憊のはずの試合終盤に見せつけるとんでもない戦術眼に技術。そのポリバレント性も合わせて、近い将来、風呂にまつわるチーム名のところとか、現トッテナムの監督がポジショナルプレーの基盤を植え付けたチームあたりでプレーする姿を想像してしまった。不吉な、嫌な予感だが、選手個々のクオリティが何よりも優先される世界なんだから仕方ないっちゃあ仕方ない。
次は心暖まる二つの驚き。レギュラークラス2人のサスペンションで先発となった渡邉りょうの頑張りと言うか根性には恐れ入った。この暑さの中、100分近くを交代せずに最前線で体を張り続けるのは大したもの。野球で言えば先発140球完投といった感じか。昔はよくあったけど。
そして初めましてのハッサン・ヒル。なんでジュビロの強化部は、(サッカー選手の供給元として)マイナーな国から多く引っ張ってくるのだろう。ウズベキスタン、トルコ、ルクセンブルク、そしてイスラエル….。試合前から予感はしていたのだが、案の定の驚きと言うか、ハッサン・ヒルの特徴ってなんだろうと思った。この試合を観た限りでは明確にわからなかった。センターバックとしての体格はもちろん備えているが、少なくとも足元に長けてはいなさそうだ。でも、ボカンと蹴ったフィードがそこそこ繋がってしまう不思議。リーグ終盤に向けてタリスマンになってくれたらありがたい。
そして驚きの大トリは、殊勲者のインタビュー。二年前、日産スタジアムで松原とのコンビプレーから決勝ゴールを奪った試合でのインタビューは、子供そのものという印象だったが、一転、キリっと受け答えする今回の様を見て二年で成長したんだなあと思った。大学に入ったばかりで若さを謳歌していただけの若者が、少しばかり経験を重ね、先達諸氏からもちょびっとずつ人生のエッセンスを学び、卒業後の進路も考え始めて大人になってきた…..違うか。でも実際、J2での昨シーズンも輝きは断片的だったから、本人はすごく悩んでいたはずで、そのうちJ2クラブへの移籍も十分あるんじゃないかと思っていた。元は世代で最高の高校生ドリブラーと言えど、同年代の有望株が次々と海を渡る時代。焦りも歯がゆさも悔しさも相当だったはず。
飛躍のカギは、ずばり、得点力と見る。爆発的なスピードには欠けるので、伊東純也や三苫にはなれない。が、彼には緩急がある。そして緩からエアポケットを巧みに突くセンスもある。古典的なウィングの香りを醸しながらも、その実ペナにどんどん入っていく新たなウィング像を作ってもらいたい。
次回は、この試合で磐田に最大の脅威であり続けた鈴木優磨についてコメントしたい。