もう1人居た気がして…
小さい頃にハマっていたアニメを大人になって見返そうと視聴していた。
子供向けのアニメで、何度も見直して内容だって、話の展開だって知り尽くしている筈なのに、
懐かしさと、当時の感覚に入り浸りたくて何百話と回数が続いていく、何回も観たお気に入りのアニメを、数十年越しに見直していた。
見れば見るほど、アニメを観ている時はあの頃の小さかった自分に戻れたような感覚がして、落ち着くけど、
その懐かしいアニメを
見れば見るほど、何だか違和感があって何処か物足りなさを感じ続けていた。
その違和感と、物足りなさは
アニメの登場人物が1人足りないんじゃないかと言う違和感だった。
そのキャラの分だけ、存在だけ
ぽっかりと空いてしまった様な、
まるでそのキャラの分の隙間を感じる様な、空白だけが浮かんできては喪失感と違和感だけが心に残り続けていた。
このアニメのキャラ5人だけだったっけ?でも…もう1人居た気が…
6人目が居たような…。
アニメを観ながら考える、でもその6人目が誰だったのか全く分からない。
覚えていないのだ。
居たような気がしているだけで
冷静に考えてみれば、
最初からそんな6人目なんてものは、
居なかったような気もする。
そんな違和感の正体に、私は最近気づいてしまったのだ。
あぁ、6人目は私だったんだ。
そうか、私は、私自身もあの中に混じっていた。確かに私が居たのかもしれない
その世界観に魅入って、あの物語の中で私もアニメを観ているうちに、
あのアニメのキャラに混じって一緒に過ごしていたんだ。
6人目は私だった。
子供の私は、そうやって夢中になって
熱中したまま、そのアニメの中の世界でキャラと共に過ごせる程
世界観に浸れていたんだ。
そう思うと、自分の成長を実感させられるのと同時に少しだけ寂しさを感じた。
何よりも、そんな風に没頭して何かを観れていた、世界観に浸れていた、あの頃の自分が羨ましくて仕方なくなった。
私は確かに、あの世界観の中に存在できていたのかもしれない。