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あたらよ文学賞落選作品「花緑青の時代」についてのとはずがたり
第二回あたらよ文学賞に応募した作品「花緑青の時代」、一次は通過したのですが(やったね!)二次で落ちてしまいました。
この作品は私にしては過去一くらい難産だったので、ちょっと語りたいことが色々ありまして、誰も興味ないかもしれないけど「私のnoteの使い方っていつもそうじゃん」と開き直り、語ることにしました。
テーマ「青」発表!
その瞬間私の頭に思い浮かんだのが「青の時代(ピカソ)」でした。
「いいね! 薄暗い青の世界!」
ほとんどの人がまず「青」で思い浮かぶのが「青春」などのさわやかなイメージだと知るのは、少し後のことでした。
というわけで私は「よし、二十世紀初頭のロンドンを舞台にした青い感じの作品を書こう」と思いました。ピカソはイギリス人ではありません。ここからすでに私の絵画史への造詣のなさが露呈されました。
が、「二十世紀初頭のロンドン」というイメージが好きなだけで私には全く書ける素地がありませんでした。調べようと思いましたが「間に合わないだろ」と日本を舞台にすることにしました。諦めが早すぎますね。
どんなお話にしようかなーと色々考えて、「そういえば、子供のころ『絵の具のビリジアンを食べると死ぬ』って言われたな」と思い出しました。それで色々毒性顔料について調べたところ、出てきたのがナポレオンの死因らしいパリスグリーン、シェーレグリーンとも言われる花緑青でした。
「これだ!」とピンときた私はこれをネタにすることにしました。
「花緑青が毒性あるなんて面白いネタを見つけたぞ!」
ヨルシカの曲に「花緑青と云うのは毒性の人工塗料だ」という有名なフレーズがあることを私が知るのは、このあと、すぐ!
「花緑青」じゃあ毒があからさますぎるから「パリスグリーン」とか「シェーレグリーン」とかで表記しようかとも思ったのですが、いや、日本のお話だし、と花緑青でいくことに決めました。
そこからの私はかつてない経験をしました。
「設定を考えるのが楽しい」
よく作家さんのお話などで「設定を作っている時が一番楽しい」「設定だけで満足してしまった」等を聞いたことがありますが、私は短編ばかり書いているものであまりそういうことはありませんでした。が、今回はもう設定を色々考えるのが楽しくーー全くお話ができませんでした。
「ゲゲゲの謎」との出会い。
そんなある日、私は「面白そー」と軽い気持ちで「ゲゲゲの謎」を観に行きました。そして観終わった私はこう思いました。
「そうだ、因習村書こう」
一瞬「今回の最終審査員には鉈手璃彩子先生がいるぞ。下手に因習村ネタなんて書いたら『なんだこれは。貸せ! 因習村は、こうやる!』って思われないかなあ」と思いましたが、それは杞憂に終わりました。
それは何故か。それは、最終まで残れなかったからです!
因習村をやると決めたら、また設定作りが楽しくなってしまいました。ちょうどパレスチナ問題が騒がれていました。
「単なる因習村じゃ面白くないから、因習村が広がっていくお話にしよう。名付けて『とびだせ いんしゅうの村』!」
ということで、実はこのお話の続きはおあおさまが日本を覆う予定なので、明治、大正の次は昭和ではありません。別の年号になるんだろうなと思っていました。ちなみに「正化」だとまた別の世界線なので違うものを考えていました。図書館戦争の読みすぎです。
というわけで、設定を色々こねくり回しました。三つの村にはそれぞれ役割があり、村の名前も最終稿とは違いました。市子と美都子の名前も村に関連した名前を考えていました。山火事の真相やそこで亡くなった人のネタなども考えていました。昭和に繋がらない設定なので「伊太利亜との戦争」とかの単語も最初は入っていました。「帝国芸術大学」も自分で考えたのですが、これはまあいいかと結局残しました。
要するに何が言いたいかと言うと。
収拾がつかなくなりました!
「OK、落ち着こう。ユーが一番書きたかったのはなんだ?」
私は自問自答しました。
「青の時代です!」
そう、私は主人公の青年が己の才能に自信をなくして崩れていくさまを書きたかったのです。
というわけで、いったんストーリーに直接関係ないネタや設定はなかったことにしました。そしてなんとかうんうん何か月もかけて完成したのがこの「花緑青の時代」でした。
「よし! 前回の『この内容をこの文字数でやるのは無理がある』という指摘も生かせたぞ」そう思いました。
一次選考を通過しました。私は怖くて読み直せなかったこのお話を読み直しました。
「なんだろう。ラスト近くの主人公と二人のヒロインの会話のシーン、なんかに似ている……」
二時間サスペンスドラマによくある「崖の上で犯人が突然冥土の土産を語りだす」っていうあれだよ!
というわけで二次で落ちました。
やはり講評でも「推敲不足」と指摘されてしまいました。ここ以外にもきっといまいちな個所はあったと思うのですが、私が真っ先に気づいたのはここでした。でも何か月もうんうん考えたので後悔はしていません。「全力は出し切った! 全力でも実力が不足してた!」ということでしょう。
あと、因習村の「とびだせ いんしゅうの村」部分を結局ぼやかしてしまったため、ありきたり因習村っぽくなってしまったのかなと思いますが、このネタを15000文字でやろうとしたのがまず無理でした。でもこれも「長編のコンテストに出せばよかったのでは」との後悔はしていません。なぜなら……文字数があっても私の現状の実力では書ける気がしません!
最後に
でも講評でたくさんほめてもらえました! 嬉しいです! ほめられて伸びるタイプです!(単に打たれ弱いともいう)
一次でも二次でも「先を読みたくなる」というようなことを言っていただけたので、これはガッツポーズでした!
来年もあたらよ文学賞には出すつもりでいます。来年は「一次選考まで惜しかった作品」にも残れない可能性もかなり高いです。が「商業出版に通用する実力そのものはあると評価したい」と講評で言っていただけたので、もう「やっぱり私はダメだなー」とは思わないでしょう。「今回のお話は面白くできなかったみたいだなー。次はもっと面白いお話書こう」と思うことでしょう。
お読みいただきありがとうございました!