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【映画・音楽】※ネタバレ感想 Mr. Jimmy
新宿シネマカリテ。
50代の自分が若手くらいの年齢層。
当たり前だが皆、本家のレッドツェッペリンが好きである。
でも、その好き=マニア度にもレベルがあって、独断だとこんなヒエラルキーを妄想し自分は②と③の間くらい。
レベル①有名どころのアルバム(セカンド・Ⅳあたり)は好き。
好きな曲は『天国への階段』『ロックンロール』※どっちもⅣ
実はライブ映画『狂熱のライブ』は全編通して観た事がない。
レベル②アルバムは全て所有していて一番好きなアルバムは『フィジカルグラフィティ』
好きな曲は『The Song Remains the Same 』
『狂熱のライブ』は若い頃に観た。
レベル③好きなアルバムは強いていえば奇数目のアルバム。
好きな曲は今日は『No Quarter』
『狂熱のライブ』フルバージョンも視聴し感動している。
レベル④好きなアルバム正規版は当たり前でブートレッグも含めると順位は決められない。
好きな曲もいつのどのライブ音源かで変わる。
で、マニア度飛び級でトップオブトップがこの映画の主役のジミー桜井になる。
想像を遥かに上回るジミー愛と偏執。
ギターアンプのはんだ付けやピックアップのコイルまでは音に関することなので理解できるが、ピックアップカバーの削られ具合まで再現しようとしているのには驚いた。
衣装ではあの有名なドラゴンスーツまでは良いとして、刺繍の色や袖口の裁縫の膨らみまで完璧に再現するため、デザイナーや仕立て屋とライブ映像や写真を繰り返し観る。
ちなみに狂気と紙一重のジミー桜井の情熱に対し、それぞれの職人たちが淡々とリクエストに応えているのもこの映画の見どころの一つ。
我が道を行く人同士の仕事。あと奥様の存在はかなり偉大。
そしてバンド。
精鋭のメンバーさえジミー桜井のこだわりには敬意を表しつつ付いていけず、アメリカで組んだバンドは日本で行われたZEPの有名なライブ公演の完全再現ライブ後に本人が脱退してしまう。
ジミーペイジ本人がライブを観に来たり、このMSG完コピライブといったキャリアハイな出来事以上に、このたった一人のギタリストに憑りつかれたギタリストの生き様が見える映画である。
観察するように観る日本オーディエンス、ただ陽気にトリビュートバンドを楽しむ海外オーディエンス。
ジミー桜井のこだわりは観察する様な日本でこそ理解され、陽気に楽しむ海外オーディエンスは本家ばりの30分近いギターソロには興味を示さない。
海外で組んだボーカルはしきりに「ビジネス」を主張していた。
『自分はない。自分はただジミーペイジになりたいだけ』と言い切るジミー桜井が世界でも類を見ないオンリーワンなギタリストであるという不思議さ。
Tシャツが売られていて安いなと思って、よく考えたらジミーペイジでなくジミー桜井。映画としては本人だけどZEPとしては本人でないという、これまた不思議さ。