国内・海外・訪日旅行、これからは個人旅行!?旅行会社のしくみとツアー販売のイロハ!
旅行会社を知る
これからの旅行形態の主流は個人旅行とさかんに言われています。個人旅行のシェアは高くなっていますが、地域への誘客に本当に効果的なのでしょうか。
旅行会社のネットワークや集客力は今でも顕在!旅行会社をよく知って、効果的な連携で成果を高めましょう。
また、こちらの記事は旅行業界について解説しておりますのでよかったらみてください!
地域の観光事業などに参加して、事業の企画に携わる機会があります。そこでの自治体や地域事業者、旅行会社とのミーティングに参加すると(あれ?何か話がずれてる、、、!)と感じることがあります。
『コンテンツや体験プログラム、旅行を商品化して販売しましょう』という話になるのですが、その旅行商品はどんなターゲットで、どんな商品形態で、どんな販売方法で売っていくかが明確でなく進んでいったり、地域側と旅行会社側での認識が違っているなんてこともあったりします。
個人旅行の割合が年々高くなっている状況や地域が個人向けに直接販売をするのが一番メリットが高いことは事実ですし、地域経営から見ても理想だと思います。しかし簡単ではありません。
個人旅行ターゲットへのBtoC展開だけではなく、旅行会社との協業展開も必要です。地域側が旅行会社や旅行販売に関しての知識を持って、地域の状況やターゲット特性から適した旅行会社と販売メソッドを活用することで、誘客の効果も変わってきます。
1. 旅行会社の旅行扱い数はこんなに多い!?
旅行会社の旅行取扱はどのくらいあるのでしょうか。観光庁発表のコロナ前の平成30年度の主要旅行業者49社の取扱状況では、総取扱額は5,200億円を超え、募集型企画旅行(募集型企画旅行に関しては後ほど説明します。)だけを見ても1,475億円、取扱人数も3,600万人を超えています。国内旅行は、3,300万人の旅行者が旅行会社を使って旅行していることになり、自分で交通や宿泊等を手配する個人旅行へのシフトが進んでいることは事実…ですが、今でも旅行会社の送客力が大きいことがわかります。
2. 旅行と一言に言いますが、個人旅行、団体旅行、主催旅行、手配旅行、募集型企画旅行、、、たくさんあります!
旅行、ツアーと一般的に使われますが、旅行会社の旅行販売には様々な旅行商品があります。まず、旅行業法の旅行契約の形態では、「企画旅行」と「手配旅行」に分かれます。そして、企画旅行は、「募集型」と「受注型」に分かれます。
わかりやすくすると、旅行会社が旅行の行程などを事前に計画するのが企画旅行、お客様の要望に合わせて交通や宿泊などを手配するのが手配旅行。
先に企画して行程を決めてから募集するのが「募集型」、受注を受けてから企画して行程を決めるのが「受注型」となります。以前の主催旅行と手配旅行の区分けが3つの区分けになったわけです。
次に個人旅行と団体旅行。個人旅行は、個人で交通や宿泊等を手配する旅行という意味で使われることもありますが、企画旅行でも手配旅行でも個人単位の旅行であれば「個人旅行」、団体単位であれば「団体旅行」となります。俗にいうパッケージツアーは個人旅行のイメージがありますが、団体で行くパッケージツアーもあり、この場合は団体旅行となるわけです。団体旅行と聞くと修学旅行とか社員旅行とかのイメージがありますが、バスツアーのように個人で申し込んで団体で行くツアーも団体旅行となるわけですね。
3. 旅行業者の登録も分かれる!
先に書いた旅行契約の形態の業務の範囲により、第1種旅行業者、第2種旅行業者、第3種旅行業者、地域限定旅行業者、旅行業者代理業者に区分されます。また、登録を行う行政庁も異なります。
下の図を見ていただくとわかりやすいですが、区分によって扱うことのできる旅行業務が異なります。
国内旅行・海外旅行全ての業務ができるのは第1種だけになります。大手の旅行会社は第1種です。営業保証金も大きく、ある程度の規模の企業となります。
第2種は海外の募集型企画旅行が扱えません。
第3種では、募集型企画旅行は隣接市町村での国内旅行しか扱えません。
地域限定は全て隣接市町村の旅行のみ扱えます。
4. 旅行会社もいろいろ!大手、専門、ホールセラー、リテーラー、OTA、メタサーチ、、、
みなさんが知っている大手旅行会社以外にもたくさんの旅行会社があり、国土交通省の資料では、令和3年度の旅行業者数は11,888となっています。年々減ってはいますが、平成24年に創設された地域限定旅行業者や、平成30年に始まった旅行サービス手配業(ランドオペレーター)の登録が増えていることもあり、10,000を超えています。
大手旅行会社では、国内旅行や海外旅行、修学旅行、個人旅行など様々な旅行商品を扱っています。そして、国内全国、海外も多くの国々の商品が揃っています。
対して専門旅行会社もあります。ひとつのエリアや国に特化した旅行会社や登山・トレッキングだけを扱う旅行会社、業務渡航のみを扱う旅行会社など、何か一つを専門としている旅行会社です。
また、他社の企画商品の販売・団体、個人旅行手配を行う「リテーラー」と企画・造成した商品をリテーラーに卸す「ホールセラー」といった区分けもあります。
最近では大きなシェアを占めるインターネットのみで取り引きを行うOTA(オンライン・トラベル・エージェンシー)や、自社で航空券や旅行商品を売らない比較サイト「メタサーチ」と呼ばれる業態もあり、旅行会社や関連企業も様々です。
5. 旅行会社もそれぞれ得意・不得意があって、販売方法もさまざま
販売方法も大手では店舗やカウンターでの販売をはじめ、WEB販売、会員誌やDMなど様々な方法で販売しており、メディア販売といったテレビや新聞などのメディアを使った販売手法を得意にする旅行会社もあります。
そして重要なのが、全てを扱う大手旅行会社でも、得意不得意なデスティネーションや旅行形態、旅行販売方法など、各旅行会社でも仕入れ力や送客力、販売力が異なります。インバウンドでもアジアに強い旅行会社や欧米豪に強い旅行会社と様々です。
6. 最適な旅行会社のパートナーをしっかり選ぶのが誘客のカギ!
これから進めようとしている事業をきちんと整理して、マーケットはどこか、ターゲットはどのような旅行者か、地域の受入体制はどの程度の対応が可能か、などの事業の目的・方向性・手段をしっかりと把握した上でパートナーの旅行会社を考える必要があります。
例えばインバウンドの誘客の場合、対象国はアジアなのか欧米豪なのかで大きく変わります。対象国に強いネットワークを持つ旅行会社や販売力を持つ旅行会社でないと意味がありません。また、FITなのかグループや団体なのかによっても誘客にむけた展開や販売方法が異なります。予算が大きくとれる事業であれば大規模なプロモーションによるFIT向けにOTAでの展開も考えられます。逆に予算が大きくない場合は、確実な誘客につながる現地旅行会社での販売にむけたBtoBのアプローチが考えられます。つまり、様々な旅行会社をよく知ることが重要になってきます。
誘客にむけた取組の内容に合わせて、最適な旅行会社に力を借りて、地域への誘客を効果的に進めましょう。