見出し画像

アジア初の快挙!世界のLGBTQツーリズムのプロフェッショナルが集う「IGLTA Global Convention(年次総会) 2024」が大阪で開催されました!

 新通観光プロモーション戦略室の武田です。
 今回は、10月23日から26日まで、大阪で開催された「IGLTA Global Convention(年次総会) 2024」についてお届けします。
 IGLTAおよび年次総会については、2023年9月15日の記事『2024年は大阪で開催!LGBTQツーリズムのプロフェッショナルが集結する「IGLTA年次総会」とは』をご参照頂けますと幸いです。

大きな盛り上がりとなった総会

 今回の総会は、大阪のなんばにある「スイスホテル南海大阪」をメイン会場として、セミナーや調査発表、商談などが行われ、さらに大阪城にある「ミライザ」や住吉大社といった、大阪ならでは日本ならではの伝統的で象徴的なユニークベニューで参加者の交流の機会となるレセプションやパーティーが開催されました。

「IGLTA Honors Presentation」の授賞式にて、日本をはじめアジア地域でのLGBTQツーリズム普及に貢献したとして株式会社アウト・ジャパンの小泉伸太郎氏が「パイオニア・アワード」を受賞。
住吉大社で開催されたファンドレイジング(資金集め)パーティ「Voyage」。ここでの収益は全てIGLTA財団に寄付され、LGBTQ+ツーリズムに関する研究・教育費用として活用される。

 アジアでの開催が初めてということで、アメリカや欧米からの参加が多くを占める会議の特性上、地理的にもどれくらいの方が大阪に来てもらえるか懸念がありましたが、結果として51の国と地域、575名が参加(IGLTA発表)され、これはアメリカ以外で開催された総会(総会は年1回開催されますが、開催地は「アメリカ国内」「アメリカ以外」と1年おきに交互に選ばれます)としては過去最高の数字であったとのことです。

過去の総会と比較した大阪大会の特徴

 さて、私はこのIGLTA年次総会に、一昨年のミラノ、昨年のプエルトリコと3年連続の参加となりました。こんな日本人なかなかいないのではないでしょうか(笑)。そんな私から見た今年の大阪大会の所感を過去参加した総会と比較した上で、以下まとめてみました。

① 日本ならではの「おもてなし」

 IGLTA年次総会の特徴は、コンベンション、ミーティング、商談などビジネスの側面と、参加者同士の交流を目的としたパーティー、レセプションといった、大きく2つの要素があると感じています。特に後者は、世界中から年に1回集まる機会とあって大きな盛り上がりを見せますが、ミラノ、プエルトリコでは「みんなで勝手に楽しんでくれ」という雰囲気でした。これは決して悪い印象ではなく、極めて海外的で自由に楽しむことができましたが、大阪でのパーティーは、日本の伝統的なパフォーマンス披露やドラァグクイーンがドリンクのサーブをしてコミュニケーションを取るなど、随所に細やかな「おもてなし」が感じられました。また、スイスホテル南海大阪にて参加者に提供するランチビュッフェも、寿司やたこ焼き、そば、ラーメンなど日本・大阪ならではのメニューで、さらに立食形式のテーブルも、お祭りの屋台や横丁の立呑み風に装飾がアレンジされていたのも非常に印象的でした。
 これは、海外と日本の優劣ということではなく、あくまで「日本らしさ」が表現され、海外からの参加者にも日本の魅力をより理解してもらう良い機会になったのではと感じました。

大阪のドラァグクイーンによるおもてなし(左)と、
EXPO 2025 大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」も登場(右)
スイスホテル南海大阪のランチビュッフェ

② 地域が一体となって盛り上がる

 ミラノとプエルトリコ(比較対象がこの2エリアであるため個人的な感想であることをご了承ください)では、会場内ではレインボーやピンクトライアングルのフラッグが掲げられるなど、IGLTA総会のカラーが出ているのですが、会場を出ると特にその雰囲気は感じられないという印象でした。一方、大阪においては、ゲートウェイとなる関西国際空港や伊丹空港、メイン会場(スイスホテル南海大阪)周辺の南海電鉄・難波駅や戎橋筋商店街、戎橋付近にポスターやフラッグ、サイネージでのイメージ動画放映、高島屋大阪店では壁面の巨大ポスターやLGBTQ関連の商品(衣類等)コーナーの設置など、総会をきっかけとして街ぐるみでPRしている様子が見られました。これは本総会の運営事務局が地域の各事業者と交渉して実現した取組だそうです。

大阪の街のいたるところに「レインボー🌈

 また通常は10月の第2週目の土・日に開催される啓発イベント「関西レインボーフェスタ」(扇町公園)が、総会終了後の26日・27日にタイミングを合わせ、総会に参加した海外の方もイベントやパレードに多く参加しました。そしてドラァグクイーンショーやクラブイベントもこの期間に合わせて開催され、総会の参加者に対し大阪が「LGBTQウェルカム」であることをアピールしようという連動性と一体感を強く感じました。

③ 大阪だけでなく日本全体でマーケットを盛り上げる

 今回の総会には、大阪以外の自治体やDMO(北海道・札幌市、東京都、石川県、岐阜県、福岡市、沖縄県)が推進協議会(IGLTA世界総会2024大阪推進協議会)のメンバーとして、またJNTO(日本政府観光局)がオブザーバーとして参加しており、日本全体としてLGBTQツーリズムのマーケットを盛り上げようという姿勢が見られました。
 一方、過去参加したミラノやプエルトリコでは、他の都市がPRしてる様子は感じられませんでした。LGBTQツーリズムとしては先進的な欧米と、発展途上である日本という背景もあるかもしれませんが、参加した各自治体がこの総会をLGBTQマーケットへのPR・アプローチの良い機会と捉えていたと考えられます。また、会期の前後で、それぞれ参加者に対しFAMツアーを実施するなど、ビジネスメリットにつなげていたのも注目すべき点であると思います。

参加した各自治体がブースで魅力をPR(左:東京都、右:岐阜県)
※大阪城「ミライザ」でのオープニング・レセプションにて

日本におけるLGBTQツーリズムのこれから

 「IGLTA Global Convention(年次総会) 2024」は盛況のうちに終了いたしました。主催者ならびに参加者の皆様からは、過去最高と言っても過言ではない総会であったと最大級の評価をいただいたそうです。これを機に、大阪や日本全国がLGBTQツーリズムのマーケットから大きく注目されることとなるでしょう。

 JNTOの発表(2024年11月20日)では、10月の訪日外客数は、3,312,000人で単月過去最高を記録し、更に10月までの累計は、1964年の統計開始以来、過去最速で3,000万人を突破したとのことです。今後もこうした状況は続くと考えられます。即ち来客数の増加とともに、多種多様な人種や価値観、バリアフリー対応など、そして本稿のテーマでもあるセクシュアリティに関しても、観光業界として「ダイバーシティ&インクルージョン」を前提とした対応がより必要となってきます。そのことは、ビジネスリスクの回避につながると同時に、ビジネスチャンスの創出にもなり得るのではないでしょうか。
「LGBTQツーリズム」がそうした施策の1つとして今後ますます重要となってくると着目し、弊社として引き続き取り組んでまいります。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事にご興味、またご質問等ございましたら、お気軽にお問合せください。

いいなと思ったら応援しよう!