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ゲーム作成③ 島の設定
古代~中世以前:神話に封じられた“ヨミツヅキ島”
島名: ヨミツヅキ島(読み:よみつづきしま)
位置: 太平洋上の日本近海。潮流が複雑かつ周囲に深い霧が立ちこめるため、昔から漁師たちの間では「近づいてはいけない島」として伝承されてきた。
神話・伝承:
「ヒルメノミコト」の神話:
古い文献「ククリノフミ」によると、太古の時代、この島には邪神ヒルメノミコトが降臨したとされる。ヒルメノミコトは海底から“粘状の眷属”を従えて人間を襲ったが、ある巫女によって封印されたという伝承がある。
巫女が封じた“粘状の眷属”こそ、ショゴス(ヒロインの起源)と目される。
地図に載らない理由:
ヨミツヅキ島一帯は、神話的な結界により、“見ようとしてはならない存在”が隠れているとされる。航海者は島を見ても大抵は見逃し、計器も狂う。
一時期、島へ渡った修験者が小さな祠を建立し、邪神の力を鎮めようとしたらしい。だが社僧の記録は断片しか残っておらず、多くは海賊や盗賊に荒らされて失われたと言われる。
3. 江戸後期~明治初期:異端の「鷹野調査団」の上陸
鷹野調査団(たかの ちょうさだん)
江戸後期(文化年間・1800年代初頭)から明治初期にかけて、蘭学や海外文物に興味を持つ知識人たちの私的な研究団。
目的: 日本近海に存在すると噂される“未知の島”を発見し、そこに眠る「古代の秘術」を探求する。
代表者:鷹野 伊織(たかの いおり)
長崎で蘭学を学んだ人物。海外の怪奇譚や地誌に通じており、日本国内の“奇地”を探訪していた。
上陸と失踪:
鷹野伊織の日記
上陸当初は「島の周囲には異様な霧が立ちこめ、方位磁針が狂う」と記録。
岸辺の洞窟で奇怪な粘液痕を見つけ、「古代から生き延びる異形の生物がいる」と推測。
団員の謎の死・失踪
日記には「深夜、海鳴りと共に団員が行方不明になった」との一節があり、最終記述には「これは神の呪いか…」という言葉で終わる。
調査団はそのまま消息を絶ち、帰還した形跡はない。
4. 大正末期~昭和初期:外界の興味と軍事研究
陸軍省「深海調査局」
第一次世界大戦後、日本軍が極秘裏に太平洋上の“特異点”を調査するため設立した部署。
1924年(大正13年)~1935年(昭和10年)頃、ヨミツヅキ島付近で軍用潜水艇による海中探査を実施。
発見物: サンゴに覆われた遺跡、不可解な文字が刻まれた石碑。撮影フィルムは異常なノイズが入り、詳細は不明。
科学的アプローチの失敗計器類が頻繁に故障し、電波も不通になるため、軍としては戦略的価値が低いと判断。
極秘資料「深海甲乙第七号報告書」は「島は軍事利用不適。異常事態につき要注意」とだけ残し、事実上放棄に近い形でプロジェクトを終了。
5. 戦後~昭和中期:鴉辻(からつじ)財団の研究施設と病院建設
鴉辻財団(からつじ ざいだん)
戦後復興期に台頭した民間の医療・科学研究組織。
1958年(昭和33年)、鴉辻財団がヨミツヅキ島を極秘裏に買収し、研究施設と医療施設(病院)を着工。
6. 現代:主人公の漂着とヒロイン(ショゴス)
現代においてもヨミツヅキ島は海図や衛星写真に映らず、GPS信号すら不安定で、計器が異常値を示す。嵐に巻き込まれた船や飛行機が誤って近づくと、必ずといっていいほど航路を逸脱し、消息を絶つケースが報告される。
ヒロイン(ショゴス)の背景
陸軍研究室で人間のDNAを取り込む
食人によって人間の記憶を断片的に吸収し、“人間らしい意識”を形成。
孤独に生き延び、財団の実験以降は潜伏。
主人公との出会い
主人公が漂着した際、ヒロインは半ば衝動的に「助ける」行動に出る。
病院で治療しつつも、外へ出さず監禁するのは、孤独を埋めるためと、自身の食欲(本能)を満たすための葛藤の証。
物語の現在
主人公が病院を探索する過程で、鴉辻財団の研究資料や、軍の深海調査の断片的な記録を発見。島の歴史とヒロインの正体を知るにつれ、脱出か、彼女との共存かの選択を迫られる。
科学装置が一切通用しない“神域”とも呼べる島で、旧支配者に通じる力が今なお息づいているのを感じる。
### 1. 鷹野調査団の報告書(パターン1) タイトル: ヨミツヅキ島探検報告書 - 調査団全体の記録(最初の数日) - 記録日 (20XX年10月1日) 上陸初日。場所は太平洋上に位置し、ここに関する話は漁師たちからの口伝でしか知ることがなかった。だが予想以上に土地は荒廃しており、島の中央には大きな岩山がそびえている。 古代の痕跡が残る遺跡を発見。石碑に不可解な言語で書かれていたが、この言語は未解読に近い。途中、複数の遺物を記録したが、何とも奇妙な湿気臭を感じる。 海鳴りが海岸沿いで増幅され、音符のように感じられた――異常事態の兆候か? 調査団団員: - 鷹野 伊織(命名者・代表) - 安部 和夫(地質学者) - 川瀬 梨香(民俗学者) - 多田 健彦(生物学者)
【日記:Diary】
鷹野 伊織(団長)の日記
タイトル:「鷹野 伊織の日記 - 初日の記録」(書かれた日付:明治○○年 8月5日)
島へ上陸。実際に存在することを確かめられただけでも大きな成果だ。
海図にも載らず、方位磁針は狂いっぱなしとは聞いていたが、ここまでとは。団員たちも皆、意気揚々としている。
この島に眠る「粘液状の怪物」については、古い記録を読み解いたが
実際に目にするまでは信じがたい。
明日から本格的な探索に取りかかる。奇妙な祠のようなものも見つけたし、調査報告書をまとめねば。どんな発見があるか、胸が高鳴る。
2. 萩田 七緒(学者枠)の日記
タイトル:「萩田 七緒の日記 - 研究の焦り」
(書かれた日付:明治○○年 8月13日)
どうもおかしい。鷹野団長は粘液の痕跡を追いかけているが、私には、この島そのものが意志を持っているとしか思えない。歩けば歩くほど、同じ場所に戻ってくるような感覚がある。方位磁針どころか、時折懐中時計の針すら逆回転している。
日増しに体調を崩す団員が増えている。吐き気、幻覚、妙に耳鳴りがするなど、皆口を揃えるがなぜか測定器は壊れてしまい、記録すらままならない。
それでも、粘液を採取できれば大発見になるはずだ。明日は私自らが洞窟へ入ってみよう。成果を出さねば、鷹野団長に申し訳ない…。
3. 奥村 貞夫(下級隊員)の日記
(書かれた日付:明治○○年 8月20日)
もう… もう駄目だ。団長が "見えない声" に取り憑かれたように、一人で祠へ向かった。萩田先生は廃墟で見つけた粘液を掌で触り、「これは…私だ…」とぶつぶつ呟きだして、止まらない。
みんな、目が狂っている。山下は唐突に刀を振り回し、山中を刺し殺した…。何が起きているのか、誰もわからない。ただ、ここで何かが我々の心を食い荒らしている。
助けを求めても、ここは地図にない島。方角すらわからない。逃げられない。…自分の声が何重にも聞こえる。頭が割れそうだ。俺はこれから、走って逃げる。もしこれが遺言になればいいが、見つかったら、殺されるか、それとも…。
【報告書:Report】
調査団正式報告書(抜粋)
タイトル:「鷹野調査団 第1次中間報告書 - 明治○○年 8月7日付」
【報告担当】鷹野 伊織
上陸地点:島の北東部 海岸
地形・気候:霧深く、磁気異常あり。方位計の針の乱れを複数回確認。
主な発見:
洞窟内部で粘液状の物体痕を採取。未分析。
古い石碑に見られる文字は、国内に類を見ない形象文字。
今後の方針:
採取サンプルを可能な範囲で分析。
島内をより広範に踏査。
2. 鷹野調査団 管理文書(極秘扱い)
タイトル:「鷹野調査団 机上演算結果 - 明治○○年 8月12日」
【対象】粘液状物質(通称「ヒルメの泥」)
【担当】萩田 七緒、田代 達男
化学分析の結果
有機物 + 不明な鉱物成分が混在。
人体や動物の組織に類似したタンパク質が検出されるが、一部は未知の構造。
現象
粘液サンプル付近で温度計が異常値を示す。
サンプルを持ち出した容器が溶け始め、肉眼で観察した際に微弱な脈動を確認。
警告
強い精神疲労を覚える団員が増加中。
誰かが「この泥が呼んでいる」と言い始めるが、原因不明。
3. 「調査断念勧告書(草案)」
タイトル:「撤収準備に関する提案書 - 明治○○年 8月15日」
【発行者】副団長 山中 信弘
調査続行の危険性
団員の体調不良・精神錯乱が激増。合計5名が高熱・幻覚症状を訴え入院。
島内を離れようにも潮流が予測不能で、船を停泊させた地点が不明に。
予想リスク
殺傷事件の可能性:一部団員の言動が凶暴化の兆候。
粘液サンプルによる汚染の恐れ。
提案
8月末までに調査を断念し、撤収を最優先する。
ただし団長への説得が難航しており、団員間に亀裂が生じ始めている。
【署名】
副団長 山中 信弘
(団長不在のため、提出は保留中)
鷹野団長の走り書きメモ
【発見場所:団長室の机】島の神殿を調べる。 もう時間がない。
ヒルメの声が近い…
部下どもは理解していない。
真実を我が手にできれば、すべてが報われる…!
食堂テーブルに落ちていたメモ(匿名)
「逃げろ。
あの泥を触るな。
あれは人間じゃない。
祠に近づけば
お前もあの声に飲まれるぞ。
3. 廃墟になった宿泊室の壁メモ
【発見場所:宿泊室の壁に血文字で記されている】
「ハギダ… 鷹野… 誰も信じられない
山下が襲いかかってきた
みんな 頭がおかしくなってる
助けてくれ
逃げ場が ない
生きたまま食われる
日記(Diary)
(1) 鷹野 伊織(団長)の日記:終盤の動揺
タイトル:「鷹野 伊織の日記 - 狂気の兆(しるし)」
(書かれた日付:明治○○年 8月18日)
何日経ったのだろう。
時計は止まり、太陽の昇降さえ当てにならぬ。
方角も示さぬ羅針盤など、ただのガラクタではないか。
萩田は祠の調査から戻らず、山下は昨日も夜通し「声が聞こえる」と騒ぎ立てていた。あの粘液のせいか、あるいは島そのものが我々を惑わせているのか。
……こうなった以上、私が決着をつけるしかあるまい。
「ヒルメノミコト」――この島に伝わる邪神を封じた巫女の伝説。
もしそれが真なら、我らが手にするべき“力”はすぐそこにあるのだ。
目を閉じると、耳元で囁く“声”を感じる。
あれは、私を導いているのか…それとも破滅へ誘うのか…?
(2) 山下 幸三郎(隊員)の日記:対立と不安
タイトル:「山下 幸三郎の日記 - 同志への疑念」
(書かれた日付:明治○○年 8月17日)
ここへ来て、どうにも同志たちの様子が変だ。
夕刻になると皆が落ち着かず、まるで祭りの夜のように浮き足立つ。
鷹野団長は祠がどうとか、新しい発見があるとか、明らかに憑かれた目だ。
萩田先生は古文書に没頭し、「この島こそ文明開化の鍵だ」と息巻いているが、文明開化も何も、この島では持ち込んだ電灯がすぐ壊れて仕舞い、ランプと蝋燭に頼るばかりではないか。
皆、どこか私を避けるような節がある。
私がおかしいのか、それとも彼らが正気を失っているのか――
これ以上は付き合えぬと、船で帰りたいが、どこへ向かうやら。
潮の流れがまるで逆巻いている…。
嗚呼、私の頭にもあの囁き声がこだまする。
どうして、どうして誰も止めてくれぬのだ…。
(3) 篠原 早苗(助手)の日記:女性視点と時代の制約
タイトル:「篠原 早苗の日記 - 見習い助手としての苦悩」
(書かれた日付:明治○○年 8月10日)
私は本来、東京で鷹野先生の助手をしていただけの、ただの見習いに過ぎない。だが、ここに来て以来、男衆が皆、妙な熱に浮かされたようになっている。
食事の支度や寝所の世話まで私一人に任され、しかも萩田先生は「篠原くん、古文を読めるな?」などと言って古代文字の解読を押しつけてくる。
無茶を言わないで欲しい…。
夜になれば、まるで異国の祝祭のような奇妙な囁きを聞き、皆が祠に向かう夢を見てはうなされる。島の外へ逃げたいのに、船頭の松永さんが姿を見せない。どこへ行ったの?
私の身にも、あるいは凶事が及ぶのではと不安でたまらない。
もし、これが読まれるときが来るなら…どうか、私たちをお救いください。
2. 報告書(Report)
(1) 「鷹野調査団 公開用研究報告 - 第2次草案」
タイトル:「鷹野調査団 公開用研究報告(草案)- 明治○○年 8月9日」
【趣旨】
当調査団は、日本近海に所在する未確認島の学術的価値を示し、
これを文明開化の一助とすることを目的とす。
【主な発見】
地下空洞の存在
岩盤がくり抜かれたような地層に、祠と見られる構造物を確認。
内部に筆記の痕跡あり。「ヒルメノミコト」なる神号が繰り返される。
粘液状物質の採取
未知のタンパク質を含む疑い。現段階で人体実験は行っていない。
計器故障多発
方位磁針、温度計、電気照明がしばしば機能せず、詳細な記録が難航。
(2) 「内務省宛 極秘報告書(下書き)」
タイトル:「鷹野調査団 極秘報告(下書き) - 明治○○年 8月14日」
【差出人】 鷹野 伊織
【宛先】 内務省 学事課 殿
島内状況
調査団に不可解な病が蔓延。高熱、幻聴、発狂など症状甚大。
粘液サンプルが“呼ぶ”かのように、周囲の人間に影響を及ぼす疑い。
要請事項
可能であれば、追加の医薬品と医療関係者の派遣を求む。
ただし、当島は地図に記載なく、航路も不明瞭。迅速な対応は極めて困難と想定。
注意
当調査の公的発表は慎重を要する。世間の不安を煽るやもしれず、
外国勢力にも利用されかねないため、秘密裏に処理されたい。
(3) 「撤収不能宣言書(未送信)」
タイトル:「鷹野調査団 緊急報告 - 明治○○年 8月18日」
【提出予定者】 副団長 山中 信弘
件名:撤収不能宣言
現状
団員同士の内紛激化。すでに死傷者が5名以上。
猛毒のような症状を示す者もおり、加害者が正気を失っている。
船舶の問題
波浪が激しく、停泊船が流失。行方不明。
方位測定ができず、島からの脱出がほぼ不可能。
提案
外部救援は期待薄と判断する。
ただちに島内に避難用拠点を設け、患者を隔離せねば事態は悪化の一途であろう。
しかし、この報告書を提出する術がない。
もし誰かが生還したなら、これを伝えて欲しい。
3. メモ(Memo)
(1) 鷹野団長の書き置き:狂気の極み
【発見場所:祠付近の石板の上】
「……私は見た。
かの泥が脈打つさまを。
そして声が私を呼ぶ。
ヒルメノミコトは我らを救う神だ。
邪神でも何でもない、
新たな世を拓く力を与えてくださる……!
鷹野 伊織」
(2) 日用品の裏に走り書きされたメモ(湯呑の包み紙など)
【発見場所:宿泊区画の床/棚】
「奥村が騒ぎ出した。
『化け物が俺を呼ぶ』と言いながら斧を振り回し、
さっき篠原さんを負傷させた。
山下は団長を止めようとしたが逆上し、
お互い刀を交える始末……。
ここは魔窟だ。
島の呪いだ。
僕も、もう正気を保てるか分からない」
(3) 血文字メモ(宿舎の扉)
【発見場所:廊下の扉に血で書かれた跡】
「ウソだ…ウソだ…
研究も文明も
何も意味がない
俺たちは全員 奴の餌になる
トウキョウへ帰れない
助けて――」
ChatGPT
日記(Diary)
(1) 研究主任・百合川 晃(ゆりかわ あきら)の手記:序盤
タイトル:「百合川 晃 手記 - 神秘調査局 第八研究所 記録(昭和○○年 4月10日)」
【概要】
私は神秘調査局・第八研究所に着任して一週間が過ぎた。
ここでは捕虜を使った“特殊兵器”の開発研究が進められているという。
上官の黒澤大佐からは「外部には一切口外無用」と厳命された。
【内容】
実験対象:主に中国方面から連行された捕虜10名以上。
目的:遺伝学的処置・“液状体”との融合実験による新たな生命体の創製。
所感:私は医学を学んだが、これほどの非人道的研究を目にするのは初めてだ。しかし上官は「勝利のための尊い犠牲」と言う。
【気になる点】
昨夜、実験区画から奇妙な呻き声がした。
試験管に満たされた“墨のような液体”の脈動が確認されたが、
これがいったい何なのか、まだ知らされていない。
(2) 助手・李 麗鈴(リー・リーリン)の手記:中盤
タイトル:「助手 李 麗鈴の日記 - 人体融合の狂気(昭和○○年 5月2日)」
【概要】
私は上海で捕虜となり、ここへ連れてこられた。
日本語を解するという理由で、実験助手として働かされている。
望んでこうなったわけではないが、抵抗すれば容赦なく処刑されると聞いた。
【内容】
実験“Σ-Project”:中国人捕虜の細胞と、謎の液状生物を強制的に融合。
観察:被験者の四肢が溶解し、粘液と混じり合った状態になる事例が発生。
多くはすぐに死亡するが、稀に生命反応を保つ者もいる。指揮官たちは「生体兵器としての可能性」を熱弁しているが、
これは人の道から外れた悪夢としか思えない。
【私の恐怖】
一部の捕虜が異常な再生能力を得たと報告されている。
女の子の姿を取ろうとしているサンプルがあるらしい…
本当なら、これこそ“怪物”だ。私はこんな研究から逃げ出したい…。神よ、どうか私を救って。
(3) 研究医・神崎 操(かんざき みさお)の手記:終盤崩壊
タイトル:「神崎 操 手記 - “被検体E-01”の暴走(昭和○○年 6月15日)」
【概要】
被検体E-01(人型融合体)の試験運用が本日実施されたが、
予想を遥かに超える形で暴走が起こった。
【暴走の詳細】
女児の外見を保ちつつ、内部は液状化した筋組織を有する。
収容室を簡単に破壊し、警備兵4名を捕食する形跡が確認された。
唾液や体液が高い腐食性を持ち、金属扉さえ溶かす可能性。
【失敗の原因】
上層部は「心を持つ兵器」を求めたが、それが裏目に出た。
被検体E-01は刺激に反応し、強烈な捕食本能を発揮。
コントロール装置(神経制御チップ)が液状化で機能せず。
【結論】
神秘調査局の研究成果は兵器転用が困難と判断。
私は脱出を試みる。施設が崩壊する前に、全記録を焼却せねば…。
しかし、E-01(あの子)の哀しそうな眼が脳裏から離れない。
報告書(Report)
(1) 極秘研究報告書「Project Σ - 初期解析」
タイトル:「神秘調査局 第八研究所 極秘報告書(昭和○○年 3月18日)」
【担当】 主任研究員 百合川 晃
【承認】 黒澤 大佐
目的
中国大陸より捕虜を収容し、不明生物(コードネーム“液状体α”)との融合実験を実施。
超回復・変態能力を持つ生命体の開発。
実験手順
被検体に“液状体α”を直接静脈注入。
強制的な細胞融合を観察し、兵器転用に関する耐久試験を行う。
中間結果
被検体の90%超が実験中に死亡。
数例において一時的な細胞再生速度の異常亢進を確認。
ただし精神錯乱・凶暴化が顕著。
今後の課題
脳制御技術の開発が急務。
栄養摂取形態が“捕食”に偏るため、管理体制の再検討が必要。
(2) 内部告発調査報告書「管轄外実験について」
タイトル:「神秘調査局 内部調査部 - 報告書 第27号(昭和○○年 4月2日)」
【作成者】 内部調査官 南雲 敏夫(なぐも としお)
【宛先】 神秘調査局本部
背景
第八研究所にて、捕虜に対する非人道的実験が横行しているとの告発あり。
本部より調査命令を受諾し、極秘で現地を視察。
現地状況
研究主任 百合川晃、研究医 神崎操らが中心となり、
“液状体”と称する黒い粘液の注入実験を実施中。施設内には酷い悪臭と、被検体の断末魔が響く。
所感
捕虜の人権を著しく無視しているだけでなく、
得られる成果は甚だ不確実。大佐の強引な指示により、現場は萎縮し、倫理観が破壊されている。
提言
即時に研究を中止し、本部の監督下に置くべき。
このまま放置すれば、国際的にも大きな問題となる危険がある。
(3) 最終報告書「被検体E-01 再送検請願」
タイトル:「神秘調査局 第八研究所 - 兵器転用再検討報告(昭和○○年 6月1日)」
【記録番号】 SS-RPT-091
【作成】 黒澤 大佐
【要旨】
被検体E-01(外見:12~14歳程度の少女形態)の再利用案を提起する。
暴走事例はあったが、観察の結果、下記の性能を確認。
身体能力
粘液化した四肢による高い伸縮性、金属を溶かす唾液。
常人比30倍超の跳躍力(推計)。
精神状態
自我の片鱗が見られ、“助けて”という言葉を発する。
しかし食欲(捕食衝動)の制御が困難。
改善提案
頭部に制御装置を再度埋込む実験を要請。
成功すれば極めて有用な生体兵器となる見込み。
【結論】
時間と予算の問題を踏まえ、上層部は速やかに判断を。
この兵器を使いこなせれば、我が国の戦況は一変するはずだ。
3. メモ(Memo)
(1) 研究室の黒板メモ(チョーク書き)
【発見場所】 実験室の黒板
被検体E-01:予想成長度 +245% / 融合率 85%
捕食衝動対策:抑制剤 X-β 注射 → 効果 3時間程度
精神ケア ⇒ 無理。
(主任が「乙女の相手をしろ」などと言い出すが、まるで…)
「ヤツは笑う。そして泣く。けれど本能は止まらない。」
(2) 抑制剤管理表の裏メモ
【発見場所】 資料室の棚の奥
[抑制剤 管理票]
ロットNo. X-β-12
在庫 5本 → 3本使用
最終確認日 昭和○○年 5月29日
保管責任者:神崎
[裏面の手書きメモ]
「E-01の泣き声…あれはまるで人間の少女だ
だが、一瞬の隙で腕を伸ばし、
同僚を丸呑みにするところを見てしまった。
もう精神ケアなど不可能。
コレが本当に“神の力”なのか…?」
(3) 廊下の血文字メモ
【発見場所】 研究所廊下の壁
「逃げろ…… 奴が来る
液状の腕で兵士を
呑み込んだ…
おれたちはもう
再生の餌だ
神秘調査局は破滅だ…」
日記(Diary)
(1) 研究員・千歳 あやめ(ちとせ あやめ)の日記
タイトル:「千歳 あやめの日記 ― E-01との対話(昭和○○年 5月22日)」
【背景】
私はここ、神秘調査局 第八研究所に着任して半年。
戦局が日増しに厳しくなる中、上からの圧力で “成果を急げ” と責め立てられる。しかし、私の良心はどうしてもこの研究を受け入れがたい。
【E-01との交流】
先日、被検体E-01(あの少女)を検査室で観察していた時、
彼女が突然「……怖い」と呟いた。まるで人間の子供が怯えるような瞳をしていて、私は思わず手を伸ばしてしまった。
その瞬間、液状化しかけた彼女の腕が一瞬にして人間の肌に戻り、
私の手を強く握った。まるで “助けを求める” かのように…。大佐たちは「もっと刺激を与えろ」と命じる。
彼女を兵器として扱うための “暴走テスト” だと言う。だが、あの子は明らかに “心” を持っている。
私は彼女の苦しむ姿を見続けられない…。
報告書(Report)
(2) 陸軍責任者・渕上 大佐(ふちがみ たいさ)の強行実験指示書
タイトル:「緊急指示書 — 実験段階の加速に関する覚書(昭和○○年 6月3日)」
【作成者】 神秘調査局 第八研究所 統括 渕上 大佐
【宛先】 研究主任 百合川 晃 他 全研究員
戦局悪化の現状
敵国との戦いは長期化し、我が軍は決定打を欠く状態。
我々は “新兵器” たる被検体E-01 の成果を速やかに示さねばならん。
強行実験の指示
被検体E-01 に対し、さらなるストレス試験を行う。
捕虜や部下を意図的に “餌” として与え、捕食衝動を煽れ。
同時に “性的刺激” を含むあらゆる可能性も検討せよ。
(女児形態ゆえに、心理的揺さぶりが有効との報告を得た)
反対意見への対応
いかなる理由があろうと、協力しない研究員は即刻処分対象。
今は国を救うための非常時である。倫理云々を声高に叫ぶ暇はない。
【結言】
成功すれば、我が帝国の勝利は揺るぎない。
諸君の奮起を求む。
3. メモ(Memo)
(3) 研究員同士の内部メモ(島袋・伊東間のやり取り)
タイトル:「実験反対派の嘆き ― 抄録メモ(昭和○○年 6月7日)」
[表面]
差出人:島袋 猛(しまぶくろ たけし)
宛先:伊東 真澄(いとう ますみ)
伊東殿、
渕上大佐の “性的刺激” による暴走誘発は、完全に倫理を逸脱している。
E-01は確かに危険な存在だが、あの子が何度も “嫌だ” と震えるのを
見過ごすなど、私は耐えられない。
主任や千歳研究員も密かに反対しているが、
大佐の独裁に逆らえば、こちらが処刑される危険がある。
どうにかして部内の意見を統一し、軍へ抗議できないものか…。
[裏面:伊東の走り書き]
島袋殿、私も同感だ。あれはもう “研究” の名を借りた暴行だ。
あの少女が泣き叫ぶ声が頭から離れない。
今夜、主任と千歳博士を交えて密かに話し合おう。
研究所を抜け出すにしろ、証拠を揃えるにしろ、
何らかの行動を起こさなければならない。
ポイント
ヒロインへの性的虐待が行われていることへの強い反対意見。
軍と科学者(反対派)の内部対立を直接示す。
ヒロインが “嫌だ” と拒絶する描写を通じて被害の深刻さを示唆。
追加演出・設定の活かし方
ヒロイン(E-01)の人間性
日記(Diary)
(1) 李 麗鈴(助手)の追記:亡命を望む苦悩
タイトル:「助手 李 麗鈴 の日記 ― 絶望の只中(昭和○○年 6月5日)」
(書かれた日付:昭和○○年 6月5日)
……あれから幾度となく、大佐たちは“あの子”に晒し者のような行為を強要している。部屋の片隅に押しやられた私は、震えながら薬や器具を渡す役目をさせられた。
“あの子”は泣きもせず、ただ瞳を閉じて押し殺すように耐えている。
まるで、こうされることが当たり前だと思い込まされているかのようで、
見るに堪えない。
私は利用価値があるから殺されないだけ。
……こんな地獄を報せる手段があれば、すぐにでも外へ逃げ出したい。
しかし海路は封鎖され、電信も故障ばかり。
この島から出るには、奇跡でも起きない限りは……。
(2) 若手研究員・三條 仁(さんじょう じん)の日記:反発と無力感
タイトル:「三條 仁の日記 ― 明日に備えて(昭和○○年 6月8日)」
(書かれた日付:昭和○○年 6月8日)
今日、千歳博士に誘われ、何人かの研究員が密かに集まった。
「あの子」をこれ以上、兵器として扱うのは耐えられない、と。
実は私も、あの子が人間らしい言葉を話すのを聞いた。
わずかに日本語を口にしていたが、その声は弱々しく、
「もう いや…」と震えていたのを思い出す。
渕上大佐の命令は狂気そのものだ。
……明日、軍に対して最後の直談判を試みる。
無論、受け容れられる可能性は薄い。
だが、これ以上“あの子”に屈辱を味わわせるなど、
人のやることではない。
もし我々が失敗したら……この研究所は地獄と化すだろう。
(3) 研究員・矢作 真理恵(やはぎ まりえ)の日記:希望と挫折
タイトル:「矢作 真理恵の日記 ― 失敗の代償(昭和○○年 6月10日)」
(書かれた日付:昭和○○年 6月10日)
昨日、三條くんたちが大佐に面と向かって意見した。
結果は、予想どおり……大佐は激昂し、「裏切り者」と罵り、
彼らは拘束されてしまった。
……私は臆病だ。声を上げる勇気がなかった。
ヒロイン――被検体E-01――が、暴力的な行為を受けるたびに、
私も心が壊れそうになるのに。何もできない。
後で秘密裏に拘束場所を探したが、厳重な鍵がかけられていて近づけず。
あの子の痛々しい姿を見る度に、「助けられなくてごめん」と胸が張り裂ける想いだ。
私は今夜、ほんの少しだけ薬剤を改ざんし、彼女が苦痛を和らげられるよう仕込んだ。
自己満足かもしれない。でも、何もしないよりは……。
2. 報告書(Report)
(1) 「対E-01 精神・性的刺激実験 要綱」
タイトル:「神秘調査局 第八研究所 実験要綱 書類No. ST-713(昭和○○年 6月6日)」
【作成】 渕上 大佐
【共同執筆】 黒澤 中佐、心理班・朝比奈
実験趣旨
被検体E-01(女児形態)に対し、あらゆる心理的・性的刺激を加えることで、
捕食衝動や液状化度合いの変化を観察。兵器利用において、耐性や制御方法の検証が目的。
実施概要
被検体を隔離区画に収容。
指定の方法に従い、被検体の身体・精神を揺さぶる行為を行う。
その際、被検体が発する言語・生理反応を詳細に記録。
安全対策
研究員の安全が最優先されるべきだが、万一の暴走時は致命的武力行使も辞さず。
実験失敗による犠牲は“必要経費”とみなす。
(2) 「研究紛争に関する内部調査報告書」
タイトル:「内部監察部 裏付調査報告(昭和○○年 6月9日)」
【調査官】 北畠(きたばたけ)少佐
問題点
複数の研究員が、大佐の実験方針に公然と反抗。
E-01をめぐる“性的刺激”の強要に、激しい拒絶感を示す者続出。
調査結果
反対派研究員は最低でも7~8名。中には既に逃亡を企てた者もいるとの情報あり。
ただし、大佐は「裏切り者」として容赦なく処刑する構え。
所感
現場の士気は急激に低下している。実験続行はかえってE-01暴走のリスクを高める恐れ。
戦況が悪化しているとはいえ、過度な強行策は研究所の自壊を招く可能性大。
【結論】
本部へ速やかに実態を報告する必要があるが、大佐は通信を封鎖中。
私自身も安全を確保できるか不明。状況は極めて危険である。
(3) 「被検体E-01 定期観察報告書(最終)」
タイトル:「神秘調査局 第八研究所 - 生理分析部 RPT-No.882(昭和○○年 6月12日)」
【担当】 生理分析主任 望月 雅彦(もちづき まさひこ)
身体状況
外見的には12歳程度の少女形態を維持。
強度のストレス下では腕部・下半身の液状化が進む。
性的刺激後、体液内の腐食性物質が増加する傾向を確認。
心理反応
“助けて”“もういや”など、人間的な発話が増加。
しかし、実験継続中は捕食衝動が著しく上昇し、制止不能。
研究員数名を負傷させる事件が多発。
結論・提言
このまま実験を強行すれば、E-01の完全暴走は時間の問題。
研究者間の意見対立が苛烈を極め、統制が崩壊しつつある。
速やかに計画を凍結し、E-01を安定化させる対策が必要。
【備考】
指揮部へ提出しようとしたが、すでに誰もまともに耳を傾けようとしない。
私には止める術がない。どうか何とかならぬものか……。
メモ(Memo)
(1) 手術室のカレンダー裏メモ
【発見場所】 手術室の壁に掛かった古びたカレンダーの裏
「6月12日
大佐はまた“あの子”に……
心を壊すことで逆に戦意を掻き立てる、とか。
理解不能だ。
女の子が小さく震える姿を見るたびに
こっちの心が潰されそうになる。
神はいるのか?
もしおられるなら、
こんな地獄をお許しになるのか……」
(2) 研究所通路の床に落ちたメモ書き
【発見場所】 廊下の床
「…あれは研究ではない。
ただの拷問だ。
大佐は“興奮状態こそが兵器の本質”だと叫んでいたが、
私たちの手で 救えないのだろうか…
彼女は 涙を流していた。
人間の涙だった。
(署名なし)」
(3) 監禁区画の扉に刻まれたナイフ文字
【発見場所】 監禁区画の扉の内側
「お母さん…たすけて
いやだ
ここ きたない
もう なにもしたくない …しぬのも こわい」
日記(Diary)
(1) 鴉辻 当主(父)の手記:理想と苦悩
タイトル:「鴉辻 忠明(からつじ ただあき) 手記 ― 開設の想い(○月○日)」
【背景】
私はこの地に、小さくとも先進的な医療施設を建てることを決心した。
幼い愛娘・千歳(ちとせ)のために、どんな手段でも構わない。
神話の存在に通じる秘術であろうと、それが娘を救う手がかりになるなら、惜しまぬ。
【経緯】
我が家系は古くから“異端の書”を保有し、常識外の療法に通じてきた。
今の科学技術だけでは間に合わぬ。ならば禁じ手を使うしかない。
研究所は静かな離島に建設し、研究者5名を招いた。
【当初の願い】
もし娘が快方に向かうのなら、それ以上の喜びはない。
万が一かなわぬなら、せめてこの施設で最期まで穏やかに過ごさせたいのだ。
私は神にすがる思いで、すべてを注いでいる。どうか奇跡を…。
タイトル:「千歳の日記 ― ひとりぼっち(○月○日)」
【病気の症状】
体がだるくて、外に出られない。
でも、お父様やお兄様、使用人さんたちが優しくしてくれる。
最近は研究者の先生たちが、いろいろな“薬”を持ってくるけど、
飲むと頭がくらくらして、怖い夢を見る。
【不安な気持ち】
私が治らなかったら、どうなるの?
お兄様はなんだか冷たい気がする。昔は一緒に遊んだのに…。
【不思議な声】
夜中になると、どこからか小さな囁き声が聞こえる気がする。
“キミハ ワタシヲ ミツケラレル?”とか。これが病気のせいなのか、それとも、本当に誰かいるのか…
ちょっとだけ怖い。でも、夢の中では、その声が優しいとも感じる。
(3) 兄・鴉辻 友春(ともはる)の異常心理を綴った日記
タイトル:「鴉辻 友春 日記 ― 染まる闇(○月○日)」
【冒頭】
千歳ばかりが特別扱いだ。僕だって父に認められたいのに。
研究者も使用人も、みんなあの子を優先する。
……なのに、あの子の病気は治る気配がない。
【不穏な思考】
父は“古文書”を取り寄せて、奇怪な儀式めいた行為まで始めた。
まるで千歳以外に興味がないみたいだ。いい加減、この茶番を終わらせてやるべきか。
あの子がいなくなれば、父は僕を見てくれるだろうか。
【最後の言葉】
最近、僕の夢に何かが囁きかける。
「生贄を捧げよ……」と。その声はとても心地良い。
もしこれが本当なら……僕は“あの子”を捧げるかもしれない。
メモ(Memo)
(1) 使用人・柚木田(ゆのきだ)の裏工作が発覚するメモ
タイトル:「書斎机から出てきた手紙の切れ端」
【発見場所】 富豪の書斎にある机の引き出し
「……次回の船が来る折、研究資料の写しをあなたにお送りする。
代金の送金は約束どおり、あの海外口座へ。
使用人である私には、これが最後のチャンスだ。
こんな狂った館からは早く足を洗わねばならない。
もっとも、鴉辻様には気づかれないようにせねばな。
あの娘の病状を盾にすれば、いくらでも時間は稼げる。
(2) 研究者同士の恋愛トラブルを示すメモ(女性研究者から男性研究者へ)
タイトル:「実験室のゴミ箱に捨てられていたメモ」
【内容】
「あなたが私を騙したなんて信じられない。
私はあなたとなら、この施設でどんな難病研究も乗り越えられると思ってた。
でも、他の女研究員とも関係してたんでしょう?
そんな裏切りをされて、どうして私が冷静でいられると思うの?
もう二度と顔も見たくない。
研究データだって、あなただけには絶対に渡さない。
鴉辻様の信頼を失うのはあなたよ。覚悟なさい。」
—山城 久美
(3) 遺されたメモ書き:脱出計画の失敗
タイトル:「施設裏口付近の地面に落ちていた紙片」
「——やはり駄目だ。
兄上が妙に目を血走らせて、誰も外へ出すなと騒いでいる。
使用人の柚木田も書類を金に換える算段で門を閉ざしているらしい。
研究員たちは内輪揉め。
これでは外部へ連絡することすらままならない。
せめて、千歳お嬢様だけでも逃がしてあげたいが……
今、兄上が館を徘徊していて、近づくだけで何か“殺気”を感じる。
ああ、もう時間がないかもしれない……」
3. 報告書(Report)
(1) 主任研究者・桐生 誠(きりゅう まこと)の途中経過報告
タイトル:「鴉辻財団 医療研究部 報告書(No.07)」
【宛先】 鴉辻 忠明 様
患者・千歳お嬢様の病状
新薬投与により、一時的な回復傾向が見られた。
しかし、脳内神経伝達物質の異常レベルが高く、再度悪化の恐れ。
神話的アプローチ
当主様からお借りした古文書を参照し、疑似的な儀式(意識安定法)を試みるも、科学的根拠は薄い。
妹様の脳波に不安定なパターンが出現し、かえって幻聴を強める結果に。
研究体制の問題
使用人による資料紛失事件が多発し、データ管理が困難。
研究者間の不和(男女間の対立など)により、進捗が滞っている。
【総括】
今のままでは病の完治は困難と判断せざるを得ません。
ただし、別の手段(当主様の“秘術”など)が確立すれば、
あるいは奇跡が起こるかもしれませんが……。
(2) 使用人・柚木田への内部注意報告書
タイトル:「鴉辻財団 事務局 注意書(○月○日付)」
【内容】
使用人・柚木田殿に関して、下記の問題が発生しております。
研究資料の複製・持ち出し疑惑
度重なる資料紛失事件の背後に、彼の関与が示唆される。
勤務態度の怠慢
設備点検を怠ったことで廊下の照明故障が放置され、
夜間巡回が困難な状態。研究活動に支障。
指示不履行
当主様からの指示を一部無視し、勝手に買い物リストを変更している疑い。
【指示】
速やかに是正せよ。再犯の場合は解雇相当の処分を検討する。
この文書は当主様にも通達済みである。
鴉辻財団 事務局
(3) 事故報告書:兄による殺傷事件
タイトル:「鴉辻財団 緊急事故報告書(○月○日 夜)」
【記載者】 副主任研究員 神保(じんぼ)
【内容】
本日夜、鴉辻 友春様(当主の長男)が、研究室へ侵入。
研究者の一人、山城 久美(女性)を刺傷し、さらに使用人の柚木田にも危害を加えた模様。
山城は負傷が甚大で、手当ての甲斐なく死亡。柚木田も意識不明。
【状況】
鴉辻友春様は「これは儀式だ」「生贄を捧げるのだ」と叫んでおり、明らかに精神錯乱の様子。
施設内は大混乱に陥り、警備手段も整っていない。
【結論・対応】
当主や他の研究者たちにも危険が及ぶ恐れが極めて高い。
外部への救援要請を試みたが、通信機器が故障中。
事態の収拾は困難と判断。施設放棄も検討せざるを得ない。
日記(Diary)
(1) 兄・鴉辻 友春 日記:狂気への道
タイトル:「鴉辻 友春 日記 ― 歪んだ使命感(○月○日)」(書かれた日付:○月○日)
いつも妹が優先される。
どれだけ僕が勉強しても、運動で成果を出しても、
父は「千歳の看病を頼むよ」としか言わない。
何か変だ。
この館の奥にある“あの書物”に触れてから、頭の中でささやく声が離れない。「妹を捧げなさい……さすれば、汝は救われる」と。
最初は冗談かと思った。
でも、その声を聞くと胸がスッと軽くなるんだ。
いっそ、父も、妹も、全部なかったことにしてしまえば……。
(2) 妹・千歳(ちとせ) 日記:希望の芽と不安
タイトル:「千歳の小さな日記 ― ほころび(○月○日)」
(書かれた日付:○月○日)
今日は研究者の先生が言う「新しい薬」のおかげか、少しだけ体が楽になった気がする。……お兄様が私の部屋をのぞいて、何か言いかけたけど、すぐに行ってしまった。どうしたのかな?
父様とお兄様がケンカをしていたようだけど、私は何もできない。
外に出て走り回れたら、みんなのところへ行けたらいいのに。
それから、夜になると、またあの不思議な声が聞こえる。
怖いのに、なぜか安心する部分もあって、うまく言えない。
「生贄」とか「儀式」という言葉が聞こえた気がするけど、夢なのか現実なのか……。
(3) 研究者・桐生 誠 日記:破滅が迫る焦燥
タイトル:「桐生 誠の研究日誌(断片) ― 見えぬ救い(○月○日)」
(書かれた日付:○月○日)
千歳お嬢様の病状は、確かに一度は回復傾向を示した。
だが、先日の検査結果では、異様な細胞変化が発生。
まるで体内の“何か”が、脳と神経を蝕んでいるかのようだ。
さらに悪いことに、鴉辻家の長男・友春様が極度の不眠と精神錯乱を訴え始めている。父親に対する被害妄想が激しく、「自分も病気を治療してほしい」と繰り返す。だが検査をしても、彼に肉体的な異常は見られない。
使用人の柚木田が資料を横流ししているという噂もある。
研究者たちも恋愛トラブルで協力体制が崩壊。
このままでは、当主の願い(娘の救済)は叶わないどころか、
館全体が取り返しのつかない事態に陥るだろう……。
2. メモ(Memo)
(1) 使用人・柚木田の不正行為の証拠メモ
タイトル:「屋敷裏口から落ちたメモ(血のシミつき)」
【内容】
「——次回の船は来週火曜、夜半だ。
その時に研究データの一部を渡す。
報酬は、そちらが約束した額で間違いないな?
まさか『鴉辻家秘伝の書』なるものが
こんな高値で売れるとは思わなかった。
妹の難病? 知ったことではない。
俺はこの館を出て、楽に暮らすさ。
(2) 研究者2人(男A・女B)の痴情トラブルを語るメモ
タイトル:「実験室の空き箱に捨てられたメモ」
【内容】
「あなたが山城と関係をもってるなんて、どうして言ってくれなかったの?
いいわ、もう資料の分析は勝手にすれば?
大事なサンプルを壊してしまうかもね……
館の人たちは私がやったなんて思わないでしょう?
あなたに責任を取らせるつもりよ。
——久美」
(3) 兄が妹を殺害する直前に書いたと思われるメモ
タイトル:「自室のベッド下から出てきた走り書き」
【内容】
「儀式の準備は整った。
妹をこの手で“救って”やるんだ。
神に捧げれば、俺の心も解放される……だろう?
ああ、耳元で聞こえるこの声は、きっと間違いじゃない。
父も研究者も、もう用はない。
これが俺の、俺だけの——
…………」
3. 報告書(Report)
(1) 臨床試験中間報告:妹の病状と神話的試み
タイトル:「鴉辻財団 医療先進研究 中間報告(No.04)」
【作成】 主任研究員 桐生 誠
投薬経過
第3世代の新薬X-17を1週間投与。短期的には痛みが緩和されたが、
4日目以降は突然のけいれん発作が頻発。
神話的儀式への言及
当主様がお持ちの“異端書”に基づく儀式を補助し、
精神安定を図る試みが進められている。科学的根拠は希薄だが、当主様の強い希望により実施中。
注意点
兄・友春様が儀式の内容を覗き見し、勝手に解釈している様子。
研究者同士の不仲による情報共有ミスが増え、
治療自体に支障をきたしつつある。
(2) 当主宛の内部報告書:施設の混乱と財団崩壊の兆し
タイトル:「鴉辻財団 施設管理部 緊急報告(○月○日)」
【宛先】 鴉辻 忠明 様
【作成】 施設管理部 長谷川
施設管理の問題
照明故障が多数発生し、夜間は安全な移動が困難。
食料保管庫でカビ・腐敗が見つかり、栄養管理に不備。
人員問題
研究者間の恋愛トラブルに端を発する口論が続き、
実験スケジュールが大幅に遅延。使用人・柚木田が不審な動きを見せ、研究データの一部が紛失との報告あり。
安全確保の緊急提案
兄・友春様の挙動が危険水域。職員に負傷者が出る前に対策必須。
早急に臨時セキュリティを強化し、外部に協力を求めることを推奨。
【総括】
このままでは施設全体が混乱に陥り、当主様の目指す目標(娘の治療)すら達成困難。
迅速なご決断を要望いたします。
(3) 研究員・山城 久美(女性研究者)の最終報告書:半ば破棄された形跡
タイトル:「山城 久美 報告書(破損あり) - 不可逆的崩壊(○月○日)」
【冒頭ページのみ読める】
…これが最後になるかもしれない。
施設内はすでに混乱の極みに達し、もはや秩序を維持できない。
鴉辻 友春様の攻撃的衝動、使用人の裏工作、研究員同士の不信——
どれ一つ解決できないまま、妹様の病状も悪化している。
私はこの報告書を密かに記している。
誰かが生き延び、これを見つけてくれるなら……
鴉辻家の悲願は、実現しないまま終わろうとしていると知ってほしい。
【破損】
(ページが焼け焦げている)
【後半は読めないが、一部文字が判読できる】
…「血が……止まら…ない… もう……だれか……助け」
おまけ:手紙/書簡パターン
(1) 妹が父に宛てた手紙(書きかけ)
【発見場所】 妹の机の上、封筒に入れられずに放置
「お父様へ
いつも私のために、たくさんのお金や先生を呼んでくれてありがとう。
研究所は少し怖いけど、みんなが私を治そうとしてくれているのがわかるよ。
でも……お兄様が最近おかしいの。
私を見ても、なんだか嫌な目をする。
これって私の幻覚なのかな? もし病気のせいなら、ごめんね。
お父様、もし私がこのまま治らなかったら
そのときは……どうか、私のことを忘れないで……
(ここで文面が途切れる)」
(2) 研究者の恋人への未送信の手紙(個人的な吐露)
【発見場所】 研究員の私室
「愛しの理恵へ
君の返事を待たずに、こんな辺境で奇妙な研究をしている。
最初は高給とやりがいに惹かれて来たけれど、もう嫌気が差しそうだ。
ここでは、人の命を慈しむはずの医療が、歪んだ方向へ進んでいる気がする。使用人が裏で資料を売りに出しているらしいし、
鴉辻家の兄弟も奇妙な雰囲気だ。
こんな施設がうまくいくはずがない。
もし帰れたら、君にプロポーズするつもりだった。
でも多分、無理だろう。
世界がどうか、君を守ってくれますように……」
初期:当主の高い志と優しさ(当主の序盤日記)
(1) 当主・鴉辻 忠明 日記:開設時の決意
タイトル:「鴉辻 忠明 手記 ― あの子を笑顔にしたい(○月○日)」
(書かれた日付:○月○日)
今日、わが家の離島に小さな先進医療研究所が完成した。
すべては、愛娘・千歳(ちとせ)のためだ。
病床に伏す彼女を見ていると、胸が張り裂けそうになる。
医師たちの意見では、通常の治療だけでは難しいと…。
だからこそ、私が古くから家に伝わる“神話の書”を読み解き、
未知の力をも利用しようと決めたのだ。
研究者たちも集まってくれたし、
もし成功すれば、妹を笑顔に取り戻せる。
友春(ともはる)も、寂しそうにしていたが、これで家族みんな再び幸せになれるだろう。
私の願いはただ一つ。
——千歳が、病に苦しむことなく、生きてほしい。
それだけなんだ。
2. 中盤:当主の苦悩と狂気の芽生え(研究の行き詰まり)
(2) 当主・鴉辻 忠明 日記:焦燥と理性の揺らぎ
タイトル:「鴉辻 忠明 手記 ― 我が手に神を掴む(○月○日)」
(書かれた日付:○月○日)
新薬も儀式も、思うように効果を上げない。
千歳は一時、痛みが和らいだように見えたが、今は高熱が続いている。
友春が見舞いに行っても、あの子は苦しそうにうわごとを繰り返すばかり。
研究者たちも内輪揉めが絶えず、まったく協力が得られない。
使用人は資料を紛失するとか何とか……。
いったい何のための施設だ?
このままでは娘が……消えてしまう。
そして、あの書に記されていた“深き声”が、最近私の夢にも出てくる。
「さらなる生贄を捧げよ」と囁かれる気がするのは、私の錯覚か。
いや、娘を救うためなら、多少の犠牲は仕方ないのかもしれない。
どこまで踏み込めばいいのだ? 私は、どこまで人の道を外れるのだ……。
……だが、私は止まれない。
どんな手を使っても、娘を生かす——その思いだけが私を支えている。
3. 終盤:当主の最期の書き置き or 走り書き(子を守り抜こうとする姿)
(3) 当主・鴉辻 忠明 最後の書き置き:愛と狂気の狭間
タイトル:「鴉辻 忠明 走り書き ― 最期まで諦めない(○月○日 深夜)」(血やインクが飛び散り、紙の端が焦げている。文字は乱れているが読める)
……研究者同士が殺し合いを始めた……?
友春までも、刃物を持って千歳の部屋へ向かったと聞いた。
何が、どうして、こんなことに……!
しかし、私は最後まであきらめはしない。
娘がまだ息をしている限り、私にはやるべきことがあるのだ。
神話の書を改めて読み返した。
そこには“血の契約”がどうのと書いてあるが、
私はそんな呪術を試す気はない。
娘が無事に目を開けるならば、それで充分なんだ……!
でも、もし万が一、娘を救えないのなら——
せめて彼女をこの狂気の中から連れ出したい。
敵は息子であろうと、使用人であろうと、研究員であろうと、
私の邪魔をするなら容赦しない……。
……ちがう、そうじゃない……!
ああ、頭が痛い。
もう何が正しいのか分からない。
でも私は最後まで、娘を、我が子たちを救おうと戦い抜くのだ……!
妻との想い出を語る回想日記
(1) 当主・鴉辻 忠明 日記:妻・美雪(仮名)との出会い
タイトル:「鴉辻 忠明 手記 ― あの日の交際(○月○日)」
(書かれた日付:○月○日)
ふと、書斎の奥にしまっていた古いアルバムを開いた。
妻であり、娘たちの母でもある美雪との出会いは、
私の人生で最も輝かしい瞬間だったことを思い出す。
あのころ私はまだ若く、右も左もわからないまま事業を始めていた。
美雪は小さな薬局の娘で、初めて会ったときは彼女の笑顔に心打たれた。
ごく普通の会話から始まった交際だったが、彼女がいなければ
私はここまで大きな夢を描くこともなかっただろう。
「困っている人がいたら、力になってあげたい」——
美雪はいつもそう言って、誰にでも優しかった。
あの笑顔に救われる人は多かった。
だからこそ、あの子(千歳)を産んでくれた後に
同じ病で命を落としてしまったことが今でも信じられない。
もし彼女が生きていたら、今の私を叱るだろうか?
この館での“研究”に手を染めてまで、娘を救おうとする私を……。
いや、きっと微笑んで「あなたらしい」と言うかもしれない。
そう思わなければ、私はやっていけないのだ。
2. 娘の病状が一時的に改善し、喜びを綴る記録
(2) 当主・鴉辻 忠明 日記:つかの間の希望
タイトル:「鴉辻 忠明 手記 ― 千歳が笑った(○月○日)」
(書かれた日付:○月○日)
今日、千歳が久しぶりに微笑んだ。
新しく調合した薬を試してから数日、彼女の熱が下がり、食欲が少し戻ってきたのだ。
研究者たちも「このまま快方へ向かうかもしれない」と口にした。
その言葉に、私は涙が出そうになった。
あの子がベッドで「お父様、ありがとう」と言ってくれた。
ただそれだけのことなのに、私はどれだけこの瞬間を待ち望んだことか。
まるで美雪が私たちを見守っていて、力を貸してくれたように思える。
しかし、油断は禁物だ。
まだまだ病根は深いと医師からも忠告がある。
それでもいい、たとえ一日でも、あの子が笑顔で過ごせるなら……。
この施設を建てた甲斐があったと感じるのだ。
3. 子供との何気ない交流が見える手紙(父から娘へ)
(3) 当主が娘に宛てた手紙:ベッド脇に置いてある
タイトル:「父から千歳への手紙(未送信)」
【前文に「大事な千歳へ」と書かれている】
お前が寝ている間に書いているので、
目覚めたら読んでほしいと思う。
本当は、こんな形ではなく直接言いたいんだが、
お前はまだ薬の影響で意識がはっきりしないことが多いからな。
だから手紙にしてみた。
ここ数日、お前が笑ったり、少しでも元気そうにしているのを見ると、
私の胸は弾けんばかりに嬉しい。
どうか、どうか、その笑顔を失わないでほしい。
お父様は、どんな手を使ってでも、
お前の命を救ってみせる。
もしお母様が天国で見ているなら、
あの人もきっと喜んでくれるだろう。
早く良くなって、私の腕に抱かれて、
一緒に外を散歩しよう。
お花がきれいな庭を歩きながら、昔みたいに手を繋いで話したい。
それが……今の私の最大の夢だ。
——父より
4. 研究への不安と妻への思いを混ぜた告白的走り書き
(4) 当主・鴉辻 忠明 走り書き:狂気と愛のはざまで
タイトル:「研究室の机に置かれたメモ — 妻・美雪への呼びかけ(○月○日 深夜)」
【紙はしわくちゃで、インクのにじみが激しい】
……どうして、こうなった?
研究者たちの意見がまとまらず、
友春は私をにらんで、“僕も病気だ”などとうわ言を言い始めた。
千歳は容態が一瞬良くなったかと思えば、またうなされている。
私が間違っているのか?
あの書にある“儀式”を最後まで執行すれば、本当に救われるのか……。
美雪、おまえがそばにいてくれたら、
こんな愚かな私を叱咤してくれただろうに。
「もっと私たちを信じて」って、優しく諭してくれただろうか。
私はもう、正気の境を越えそうだ。
だが私は父親だ。最後まで千歳と友春を救う責務がある。
どんな穢れた手段であっても構わない。
もう決めた……私は止まらない……止まれない……。
美雪……この手が血で汚れても、
どうか、お前だけは私を責めずにいてくれ……。
5. 妻への深い愛情を伝える回想(手紙 or 遺書風)
(5) 当主の遺書:「愛しい美雪へ…」
タイトル:「鴉辻 忠明 遺書 — 妻への手紙(○月○日)」
(紙は破れ、周囲に血の跡がある)
美雪、もし僕がそちらに行く日が来たなら、
きっと君は「おかえりなさい」と笑ってくれるだろうか。
君がいなくなったあの日から、僕はずっと心を失っていたのかもしれない。
千歳のために作ったこの施設は、
いつの間にか呪われた研究の巣窟になってしまった。
私は必死に娘を救おうとしただけ。
でもそのために、あまりにも多くを犠牲にしてしまった。
友春のことも、もっとちゃんと見てやればよかった。
君との思い出ばかりを頼りにして、現実を見失ったのかもしれない。
もしこの手紙が誰かの手に渡る頃には、
私はもう生きてはいないだろう。
けれど、最後の最後まで、子どもたちを守ろうと足掻いたのは事実だ。
それだけは、君に誓っておく。
愛しい美雪……どうか許してほしい。
そして、もう一度会えるのなら、君の笑顔が見たい。
——忠明