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危機的状況から始まった蓮ノ空が潰れなかったワケ【蓮ノ空感想文】


1. はじめに

初めまして。かまぼっこと申します。しがないオタク学生をやっております。蓮ノ空のことはリンクラリリース前から追ってきました(唐突な古参マウント)。どうぞ良しなに。

今回はアプリ「Link!Like!ラブライブ!」(通称:リンクラ)の活動記録(ストーリー)1~6話の感想をまとめます。「6話分は範囲広すぎやろ!」と思われるかもしれませんが、この6話をまとめたことには意味があります。アプリリリース当初のことを覚えていらっしゃる方はご理解頂けると思いますが、リンクラの命運を握っていたのは実はこの1~6話でした。

4月にリリースされた当初のリンクラは【アーリーアクセス版】。カードゲームなど影も形もなく、活動記録と配信と4コマ漫画がリンクラの全てでした(こちら参照)。

ゲーム部分のない不完全なアプリをリリースするというのは、かなり危険な賭けです。なぜなら、アプリの総売上は初動で決まることが多いからです。

リリース直後というのは、ご祝儀で課金してくれる人がいたり、スタートダッシュで周りと差をつけたいガチ勢が課金してくれたりします。また、新作アプリで溢れかえっている昨今、一度「つまらない」と判断されたアプリは早々に削除され、二度と見向きもされないのが普通です。

リンクラのアーリーアクセス版は遊べる要素がなく、課金要素もありませんでした。いくら運営資金があっても、ユーザーから忘れられれば完全に詰みです。テコ入れで帰ってきてくれるユーザーの数などたかが知れています。そうした点で、リンクラは非常に危機的な状況でした。

そんなアーリーアクセス版で公開されていた数少ないコンテンツが活動記録1~6話でした。したがって、ユーザーはこの活動記録1~6話に基づいてリンクラを評価し、蓮ノ空を応援するか否かを判断しました。

リリース当時によく見られたリンクラの評判は次のようなものでした。

「何をするゲームかよく分からないけど,ストーリーは面白い」

結果的に、リンクラは削除されることなく、多くのユーザーのスマホの中で生き残ります。お世辞にも好調とは言えない滑り出しだったリンクラがユーザーから忘れられることなく生き残った背景には、活動記録1~6話のクオリティの高さがあると思います。

私自身も活動記録1~6話を見て、「このコンテンツを追い続けよう」と決めました。その決め手となった部分について、ここで語れたらと思います。

ちなみに、5月になるとリンクラは【正式版】にアップデートされ、皆大好き「スクールアイドルステージ(通称:スクステ)」が実装されます。

アップデート後によく見られたリンクラの評判は次のようなものでした。

「何をするゲームかよく分からないけど、ストーリーは面白い」


※以下の感想はストーリーに関するネタバレを含みます。

2. このシーンを観て、蓮ノ空を追うことにした

第6話part5の以下のシーンが決め手でした。

アプリ「Link!Like!ラブライブ!」より

スケートとライブのダブルブッキングに思い悩むさやかを、花帆が慰めるシーン。

このシーンについて語る前に、当時の私が抱いていた花帆とさやかに対するイメージをお伝えしておきます。

  • 花帆:天真爛漫な子。破天荒で、同じユニットの梢先輩のことを姉のように慕っている妹気質の子

  • さやか:真面目でストイックな子。同じユニットの綴理先輩のお世話までしてしまう母親気質の子

上記のようなイメージを抱いていた私は、花帆がシンプルで核心を突いたことを勢いよく言って、それを聞いたさやかが難しく考えることをやめて前を向く……というような展開を予想していました。

で、実際は・・・

あたしはじゃあ、今から、あまり良くないことを言うね。
あたしは、さやかちゃんに……
スクールアイドルとフィギュアどっちか選ぶなら、
スクールアイドルを選んでほしいと思ってるよ!
(中略)
でもさ……
あたしみたいに本当のことを言うのは、ずるいと思うんだ。
きっとさやかちゃんのお姉ちゃんも
――綴理センパイも、さやかちゃんにしてほしいことはあっても、
さやかちゃんに無理はしてほしくないんじゃないかなって。
それだけのことなんじゃないかな。

活動記録第6話part5より花帆の台詞

文章だけでは伝わらないかもしれませんが、花帆はさやかに対し、まるで姉が妹を慰めるかのように、静かに・優しく・諭すように語りかけます。

想像の数十倍、花帆に包容力があったんだが?

ここで一度、花帆の公式プロフィールを読んでみましょう。

蓮ノ空女学院の1年生で、笑顔を絶やさない元気な女の子。“花咲く”ことを目標に、大きな期待を抱き学院に入学する。楽しそうなことにいつも全力で、あらぬ方向へ突っ走ってしまうことも。実家は長野で花卉農家を営み、年の離れた双子の妹がいる

Link!Like!ラブライブ!」公式サイト

そういえば花帆って、長女だったーーーー!!!

花帆は梢に対してはよく甘えているので、妹気質が目立ちますが、面倒見の良い一面も持ち合わせています。逆にさやかは、綴理に対して母親のようにお世話するシーンが多いですが妹です。

よって、花帆とさやかの絡みは「真面目なさやかが暴走しがちな花帆を制御する」だけでなく、「さやかが花帆に甘える」というケースもあります。

アプリ「Link!Like!ラブライブ!」より

人間は多面的な生き物で、相反する性質を併せ持っていたり、状況によってペルソナを使い分けたりします。これを創作物で表現することは簡単ではありません。しかし、リンクラは各キャラを多面的に描くことに成功しており、それがキャラクターを"人形"ではなく"人間"にしています

キャラクターの多面性はキャラ同士の絡みの中で垣間見える仕組みになっています。分かりやすいところで言うと、梢は絡む相手によってだいぶ異なった表情を見せてくれます。各キャラが互いの一面を引き出す鍵になっているということです。

上記のシーンの場合,花帆はさやかの"脆さ"を引き出し、さやかは花帆の"包容力"を引き出しています。蓮ノ空の恐ろしいところは、こうした関係が全てのキャラクター同士の組み合わせについて存在していることです。

実質、15人じゃん…!!(6C2 = 15)

これは、キャラ単体の設定だけでなく、キャラ同士の関係性についても深く練らなければ実現できないことです。シナリオチームに百合作家さんがいらっしゃると聞いたときは「ユニットでイチャイチャさせるのかな」と生温いことを考えていましたが、蓋を開けてみたら"関係性の鬼"でした。全ての組み合わせについての解像度が異様に高い。舐めててスミマセンでした…

活動記録内で絡みの少ない組み合わせについても、配信内で絡んでおり、毎週のように各キャラに関する新しい発見があります。その圧倒的な情報量もキャラクター像を立体的なものにする上で一役買っています。

少し話が逸れましたが、上記のシーンを観て、私は確かに花帆とさやかが"いる"と感じました。確かな実在性を感じさせるキャラが私たちと同じ時の中で成長していく様を見守れる…!! こんなワクワクするコンテンツを追わない手はありませんでした。

ちなみに、花帆の台詞にあった「今から、あまり良くないことを言う」という言い回しは、第6話part2でさやかが花帆に対して使った言い回しそのものです。こういうのオタク大好きなんよ。

3. その他のここ好きポイント

蓮ノ空へと向かうバスの中での漫才(第1話part1)

一人で盛り上がる花帆に対してジト目を送るさやかが大好きです。

ちなみに、このシーンを初めてみたのはアプリ内ではなく、2023/04/02の生配信内でした(18:08から)。

この配信内で公開されている映像は開発中のものなので、実は結構貴重です。バスの背景が動いていなかったり、モデルの色彩や立ち位置が完成版と違っていたりします。完成版と見比べることで、開発スタッフのこだわりが見えてきます…!!

花帆の脱走失敗&梢との邂逅(第1話part1~第1話part2)

まさかのプリズンスクールアイドル展開には驚かされました。その後、花帆は梢先輩と歴史的邂逅を果たすわけですが、梢が花帆をからかったりとユーモアのある性格で、その点でもう一度驚かされました。

それと、花宮さんのお声が良い。お声は上記の生放送とキャストお披露目生放送で聴いたことがありましたが、それでも衝撃を覚えるくらい梢とマッチしていました。あと、初期の梢は今よりも声が高めで面白いです。

花帆が梢の書いたスクールアイドルノートを読むシーン(第3話part4)

蓮ノ空が伝統校であることを最大限に生かしたシーンだと思います。花帆の読み上げる声が徐々に梢の声に切り替わっていく演出がニクイです。後輩の成長を自分のことのように嬉しく感じた経験は私もあるので、このシーンは梢に共感しました。

あの子のためなら,私はなんでもしてあげたいって思う

活動記録第3話part4より梢の文

なんか思ったよりも愛が重い気が・・・
心温まるワンシーンですね。

夕霧綴理という"天才"(第4話~第6話)

物語の進行と共に印象が最も大きく変化したキャラクターです。第6話までの時点では「アイドルに憧れる天才」という印象しかなかったのですが、第7話以降で過去の出来事が明らかになってくると、彼女に寄り添ってあげたい気持ちが湧いてくるようになります。

また、「Link!Like!ラブライブ!FIRST FAN BOOK」に載っている綴理の公式SSを読むと、彼女の見ている世界が垣間見れて面白いです。言葉になっていない部分が多いだけで、綴理は周りをよく見ているし、よく考えています。なにより、綴理の求めるアイドル像がどのようなものか、綴理にとってさやかがどういう存在か、よく分かるエピソードになっています。この公式SSは綴理の難解な人物像を捉える上で非常に役立つ貴重な資料なので、このSSのためだけに「Link!Like!ラブライブ!FIRST FAN BOOK」を買っても良いレベルです。他キャラのSSも高レベル揃いですが。

この記事を書くにあたって活動記録を見直したのですが、綴理の印象が変わったことで、4~6話の見え方がだいぶ変わりました。特に、綴理と梢のやり取りは過去を知ってから見るとクルものがあります。

それと、第6話part5のライブとスケートのダブルブッキングの件で、

良いんだ。本当に大したことじゃない。
確かにその約束はあったけど……
でも、それが果たされるかどうかなんてもう関係ない。
それよりずっと早く、
こうしてさやとスクールアイドルになれたんだ。

活動記録第6話part5より綴理の台詞

という綴理の台詞がありましたが、初見のときはこの台詞が綴理の本音か強がりか判断しづらいところでした。ダブルブッキングしてしまったライブが綴理の中でどの程度の重要度なのか、判断材料が少なかったからです。綴理に関する情報が集まった現在であれば、以前よりも彼女の心情を推察できます。

あくまで私の解釈ですが、上記の台詞は綴理の本音なのだと思います。綴理にとって「アイドルになる」ということは会場が一体となるような芸術を作ること。独りで完成してしまっていた綴理は望むようなライブができなくなっていましたが、さやかという新しい風を呼び込んだことで「ステージ上で完結した作品」という枠組みを壊せました。

つまり、先輩の言葉など関係なく、綴理は呪縛から解放されつつありました。ライブを楽しみにしていたのは事実だし、そのライブに特別な思い入れがあったことも事実だと思いますが、さやかが思うほど強い拘りはなかったのではないでしょうか。だから、さやかは姉の引退試合を優先しても、これまで通りスクールアイドルを続ければ何の問題もなかったと思います。

話がややこしくなったのは、綴理がもう一歩踏み込んだからです。さやかがスケートを優先したいのであればスクールアイドルを辞めてもいい、という提案をします。綴理視点では、さやかがスランプ脱却後もスクールアイドルを続けたいと思っているのか確信が持てなかったので、優しさを示したつもりだったのでしょう。

対するさやかは突き放されたように感じ、その原因は綴理の大事なライブを台無しにしてしまったからだ、と自分を責めます。綴理が良かれと思って言ったことが裏目に出た形です。綴理がヘタレ彼氏みたいな優しさを見せなければ話はこじれなかった気が・・・
結果的に、このすれ違いをきっかけに二人の絆はさらに深まりましたし、スケートリンクでのライブも実現したので、終わり良ければ全て良しです。

大沢瑠璃乃という"おもしれー女"(第6話幕間)

直前まで綴理について熱く語ってきましたが、私の推しは瑠璃乃です。よって、この瑠璃乃初登場回で私は狂喜乱舞しました。ただ、この幕間に関する感想自体はそこまで多くありません。

  • 瑠璃乃かわええー

  • 瑠璃乃おもしれー

  • 瑠璃乃早く帰国しろー

この3個です。流石にこれだけだと内容が薄いので、私が瑠璃乃を推すに至ったきっかけを語らせてください。私が瑠璃乃に惚れたのは先ほど挙げた2023/04/02の配信がきっかけです。

この配信の31:45辺りから、キャストではなくキャラクターの配信が始まります。実は、2023/02/10のキャストお披露目配信でもキャラの動く姿は見ていたのですが、このときは旧モデルだったのと、内容が自己紹介・ユニット紹介だけだったということもあり、あまり瑠璃乃を意識していませんでした。むしろ、声の強い梢の方を意識していたと思います。旧モデルで思い出しましたが、運営さん、リンクラのPVを新モデルのDream Believersに差し替えませんか?旧モデルも味があって好きですが、新モデルの方がハイクオリティなので、初見さんの印象が変わりますよ。

で、2023/04/02の配信を見たときの感想は、

瑠璃乃って子がぴょこぴょこしててかわええーーー!!!

というものでした。"動き"でキャラクターを好きになった経験は初めてでした。私はバチャ豚ですので、3Dモデルの配信自体はそこそこ見慣れていると自負していましたが、それでも衝撃を覚えるくらい、動きに魅力がありました。

おそらくですが、3Dモデルの技術レベルが高かったことと菅叶和さんが瑠璃乃をしっかりと演じてくれたことが大きかったのだと思います。

ご存知の方も多いかもしれませんが、最近のVTuberはあまり演じるということをしません。初配信から少し経つと早々に"魂"の地が出てきます。実際そちらの方が面白い傾向にはあるのですが、結果的に3Dモデルの配信でもキャラらしい動きをしてくれることは稀です(面白い動きをしてくれることは多いですが)。演者というより配信者なので、動きで演じるという意識自体乏しい気がします。

VTuber黎明期には本気で演じてくれている人も多かったのですが、あの頃は3Dモデルの技術レベルが今ほど高くなかったので、モデルの質が低かったり、細かい動きを表現できなかったりしました。バグや不自然な動きもありましたし。

その点で、リンクラはバチャ豚の夢です。高い技術レベルで再現されたキャラを演者さんが本気で演じてくれる。実在性・双方向性のある二次元(三次元?)キャラクター。かつてバチャ豚たちが夢見たものを本気で目指してくれています。

「せーはす!」などの影響でかんかんは明るくて天然な人柄と長い脚に注目されがちですが、私は彼女のモーションアクターとしての技術に感服しております。瑠璃乃を演じることに悩んだ時期もあったそうですが、私は菅叶和さんが瑠璃乃を演じてくれて本当に良かったと思っています。

4. 終わりに

書き始めたら筆が止まらず(タイピングが止まらず?)、意外と長くなってしまいました。実は、ここ好きポイントはもっとたくさんあったのですが、長くなり過ぎたので泣く泣くカットしています。

この記事の最初の方に書きましたが、アプリの総売上は初動で決まることが多いです。アプリの売上というのは、(特別なイベントがある月を除いて)基本的に右肩下がりになる傾向があります。

しかし、リンクラの売上は例外的に右肩上がりの推移を見せています。これはコンテンツに力があることの証左に他なりません。蓮ノ空の魅力が見つかってきているのです。特に、異次元フェス後は売上が一気に跳ね上がり、遂に月間1億を超えました。3D配信や新曲作成、動画作成などのランコストを考えると1億でもまだ足りないとは思いますが、これからも蓮ノ空は多くの人に見つかり、売上は伸びていくと期待しています。

こうした蓮ノ空・リンクラの躍進の影には活動記録の存在が間違いなくあります。私自身も,数多くある蓮ノ空コンテンツの中で最も好きなのが活動記録です。これからも蓮ノ空の行く末を追いかけ続けたいと思います。

よろしければハートマークのボタンを押して頂けると、私のところに通知が来るので、「こんな駄文でも読んでもらえたんだな」と筆者がひっそり救われます。気が向いたらで構いません。

このような長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
それでは、良き蓮ライフを!!

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