ヒットポイント3

…僕ずっとみられてない?
高2の秋くらいから、1人の女子に見られるようになった。
見られる、ではなくもはや『睨まれている』に近い。
目を細めてじーっと見ている。
なんだ?僕何かした?
クラスで目立つ方の女子じゃないし、友だちの彼女と仲良しの女子でもない。

最初は僕サイドに何か悪いことでもあるのかと思ったが、彼女との接点もわからず、それでも見てくるからだんだんと興味が出てきた。
そして、こちらが目を合わせてもじっと見てくる…

見えてないんか⁈お前の目は飾りか⁈

だが、僕からは話かけることはなく、そのまま高3になった。
理系クラスだった僕は、彼女とはクラスが分かれた。そして受験生になり彼女のことは頭から抜けていった。

そして卒業のとき。

部活の奴らと話をしていたとき、ふと彼女がまた目の中に入ってきた。

…また見られてる?

卒業の前に聞きたい。どうして僕を見ていたのか。

「あの…」

振り向いた彼女が最初に言った言葉。

「あれ?青くない…」

青くない?

まさか…

「青…?え?もしかして君も…」

「いや。なんでもないの!卒業おめでとう!じゃ!」

青って…まさか…

-彼女も『見える』のか⁈-

そう、僕はヒットポイントに色がついて見える。
誰に言っても信じてもらえなかった。
疲れている人は紫色、元気な人はオレンジ。
僕にはそれくらいの濃淡しかわからない。

彼女も見えるとしたら…

でも青なんて僕には見えない色だぞ?

そんなことを考えたら、情けないことに僕は彼女にスマートに話かける自信がなかった。

そうして卒業後、彼女には会うことはなかった。

つづく

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