障子の張り替えとちょっぴり美容?
お久しぶりです
ものぐさ和裁士です^^
季節は夏至を迎えて陽の気も極まり、夏の暑さもジワジワと不快感に変わってきたものぐさの和室ですが、子供達のやんちゃぶりも極まってきたということで障子の張り替えを行いました。
ものぐさは大昔に張り替えを行なっていた経験はあるのですが、その記憶を頼りにいざ取り行ってみると以外と忘れていることは多くヽ(´o`;
てんやわんやとしましたが無事に張り替えは完了致しましたが、その際に感じたことをつらつらと。
一人でやってしまおう!と考えてはいましたがやはり「御母さま少々御手をお貸しくださいまし〜ヽ(´o`;そっちの端を持っててください〜」と強力なスケットのお陰で捗ったのですが、その祖母の思い出話として。
祖母がまだお嫁に来た頃は祖母の義理母にあたるお婆ちゃんが長い間障子の張り替えをしていたそうな。
私が文明の利器『霧吹き』を使って障子に霧を振りかけていたので祖母からは、おばあちゃんは機械使わず口でぷーっっ!と霧吹いとったわねぇ(´∀`)と懐かしい話を交えながらの工程だったのですが
昔は全家庭に霧吹きの普及はしていないので口で霧を作るとは聞いていましたが、よくよく考えると自分には到底できない程難易度の高い技術です。
勿論着物を仕立てる時も口で霧吹く。
着物にとって一番身近な大敵は何ですか?
『水』ですよね((((;゚Д゚)))))))
絹の着物に一点でもポテンとシミを作ってしまえば、その水ジミを取る事の困難さは着物業界では有名な話。
撥水加工も蒸気アイロンもない時代。
霧のような粒が細かい水であればまだ対処はできますが…昔の人の苦労を考えると本当に手を合わせたくなります。
上記の図にもある様に着物を縫う際には、地伸しにも仕上げにも必ず使う霧吹き。
恐らく和裁学校などには早くから取り入れられていたのだとは思いますが、霧吹きが出来上がるまでの歴史はどんな道のりだったのだろうか。
その辺りも気になりますがまた知れたらおいおい書き込んでみたいと思います^^
口でぷーっっっ!と霧を作る。と一口に言いましても、皆さん実際にやった事はありますか?
子供の頃に外遊びなどでふざけて…なんて記憶している人もいるかもしれませんが、大人になってから、しかも、水ジミを絶対に作ってはならないと硬い決まりがある絹の着物の上に霧を吹いてみる。
口でやろうと考えと、ぽちゃっと水が溢れて大惨事してしまう想像しかできないものぐさです。
ということで、風呂場にて霧を吹いてみる練習をしてみたんですね。結果どうだったかと言うと、惨敗です(^_^;)
口の周りの筋肉ヘトヘトになりました笑
これは表情筋を鍛えられるんじゃないか?
しかもですよ、何度も何度も霧は使いますから長時間吹き続けるなんて!!
アンビリーバブルです!
確か江戸時代に日本を訪れた外国人が口を揃えていう言葉の中に『日本人は子供の様にいつも笑っていた』とあったはずなのです。
横浜、東京、神戸を訪れたヘンリー・S・パーマーは1886年の『タイムズ』紙こう書いている
『誰の顔にも陽気な性格の特徴である幸福感、満足感、そして機嫌の良さがありありと現れていて、その場所の雰囲気にぴったりと溶け合う。彼らは何か目新しい素敵な眺めに出会うか、森や野原で物珍しいものを見つけてじっと感心して眺めている時以外は、絶えず喋り続け、笑いこけている』(渡辺京二 逝きし世の面影より引用)
これは一部の引用ですが、江戸を旅した外国人の多くはこの事にとても感動している事がよく分かります。
今の世を見渡して、外に出ても笑っている人なんて探す方が難しいほどで、子供でも笑っていなくとも然程不思議ではない。
いつも笑顔だとしたら自然と表情筋も鍛えられていたのではないでしょうか?
1874年に滞日したフランスの海軍士官デュパールは『日本人女性の肌の色は、西洋でのうわさとは異なり、少なくとも若いうちは黄色ではない。とくに北の方では、ピンクの肌や白い肌の少女に出会うことも稀ではなく、その愛らしさには、小粋なパリ娘も舌を巻くに違いない。民族衣装の衿 襟からのぞく胸から上の部分は、殆ど例外なく完璧で、うなじの線、肩の丸み、胸元のどこをとっても、何とも言えず官能的である』(渡辺京二 逝きし世の面影より引用)
とまで言っているのです。
江戸から令和にかけて一体何があったんだ?と思える程の人々の表情と技術の移り変わりはありますが、個人的には悲観せず、または傍観せず、否定せず、良いものは良い。としたいですね。
霧吹きという文明の利器を使いながら、仏頂面で仕事をするのって何だかもったいないなと思わせてくれる外国人のお話でした^^
マスクで顔は見えない、ニコニコ笑って目だけでも笑顔を表現できるくらい表情筋を鍛えよう!と目標を新たに掲げるノートになりました。
来年以後の障子張り替え時には口霧吹きに挑戦してみても良いかもしれません。
そして、和室に一番似合うのは着物ですよね。
これからも私の着物を楽しんで、その楽しみが誰かの心を温かくできる様な人間でありたいです♡
以上ものぐさ和裁師でした🪡
ものぐさ和裁師は着物と和裁の振興に貢献したいと考えています。美しい着物を未来に残していくためにサポートをどうぞよろしくお願いいたします。