離れて暮らしている息子のこと
長男には、知的障害がある。
中学2年生までは、自宅で私と妻と二人で療育をしていたが、
暴力と破壊が激しく、警察や救急車のお世話になることが、度重なった。
長らく、精神科病棟に入院していたが、
富士に知的障害者、強度行動障害者の専門施設があるとのことで、
児童相談所の仲介で、入所することになった。
あれから1年。
息子は、17歳になった。
大きくなった。
とにかく、よく食べて元気そうだ。
今日は、学園の縁日だった。
私と妻は、学園へと向かった。
一か月に一回だけ、面会が許されている。
今日が、その日だった。
久しぶりの一家団欒。
息子は、欲しいものを次々と買いあさってゆく。
ものすごい勢いだ。
普段、街中で見かける家族の光景。
いつも、羨ましく思いながら見ていたが、
今日は、私たちが、ありふれた日常を過ごしている。
何か不思議な心持ち。
でも、これでよいのだ。
私たちは、家族なのだから。
月に一回の一家団欒は、2時間で終わった。
時が流れるように、あっと言う間だった。
また来月、会える日まで、
息災で、もっともっと大きくなっていて欲しい。
そんなことを思っていると、何だか、切なくなるのだった。
学園を後にした、私たち夫婦は、寂寥感に包まれていた。
詩人 たいいりょう