証拠金の不思議(2023/03/21記)

オプション取引は証拠金取引である。しかし必要証拠金の計算はよくわからないのだ。証券会社が計算してその金額が表示されるのだが、計算方法はブラックボックスだ。聞けば教えてくれるのかもしれないが、聞いたことはない。複数の証券会社で取引していると、必要証拠金の違いが案外大きい。また、一方の証券会社で突然前日と比べて倍くらいになったことがあり、何が起こったのかと、もう一方の証券会社の必要証拠金を見ると前日と変わっていなかったりと、一体、どうなっているのか。

証拠金取引といってもオプションの買い建ては証拠金はゼロである。買った時点でプレミアムを支払っており、オプションの買い建てはそのプレミアム以上の損失はないからである。オプションの売りには証拠金が必要だ。はじめにプレミアムを受け取っているが、日経平均株価が大きく動くとよく言われる「損失無限大」だからだ。私の基本的なポジションの建て方は何度も書いているが内側のプット買いを1枚、外側のプット売りを2枚だが、この組み合わせの必要証拠金は、プットの裸売りよりももちろん必要証拠金は安い。ただし、両者の指値注文を入れた場合、その時点ではプットの裸売りのみの証拠金が必要で証拠金に余裕がなければ注文が入らないことがある。事前にアプリ内で新しいポジションを建てたときに必要な証拠金は調べてあるのだが、注文が入らないときは慌てる。その場合は買いを先に約定させるとか売りを1枚づつ約定させるとかすれば注文が可能になる。

オプション取引で一番避けなければいけないのは証拠金不足による強制決済である。SQまで持てばほぼ確実に利益になるのに、その途中の段階で証拠金不足になり、一番大きな含み損を抱えて、泣く泣く決済しなければいけないのは悲劇である。まあ、それも今では多少の損切を決行すれば証拠金不足を回避できることがわかっているのでそんなに心配はしていない。数年前にSQ週に高値から日経平均株価が2000円の急落を見せたときに必要証拠金が前日の5倍に膨らんだときには困った。あと数日で利益が数十万円はほぼ確実なのにだ。それ以来、口座残高に対して必要証拠金が1/3程度以内に収まるように気を付けている。あるいは不足分を他からすぐに補充できる体制でいる。新しいポジションを建てる場合に逆に必要証拠金がどれだけ増えるかでそのポジションの危険度を計り、場合によっては中止する場合もある。

基本的に売り枚数が多く、ボラティリティが上昇するときに必要証拠金が急激に膨らむ。そこで考えたのだが、多分SQ値に対してそのポジションがどれだけの損益になるのかその期待値を計算することで必要証拠金を計算しているのではないかと。たとえば、現在の4月限のオプションの保有ポジションはSQ値が25000円で最大利益、24000円まではプラスとなるが24000円以下では損失が膨らむ。ボラティリティが小さければSQ値24000円以下になる確率は小さいがボラティリティが大きくなるにしたがってSQ値24000円以下になる確率は大きくなる。損益の期待値はボラティリティが上昇するに従ってマイナス方向に引っ張られる。それで、必要証拠金が膨らむことになる。このように理解すればだいたい説明がつく。

しかし、3月限ではこれでは説明がつかない現象が起きた。3月限オプションのポジションはファープットの23250円の売りを多量に保有していた。SQ週になっても1円でも決済できない状況だった。これは以前にも説明したファープットの謎なのだが、放置してもSQではゼロになる。しかし、SQ前日の日中取引終了までにはファープットといえどもポジションをなくしたいと考えている。それは日中取引の終了とともに取引ができなくなりSQを待つのみとなる。その間プーチンが核兵器を使用したりということが起こればどうなるか?確率は小さくてもそれが起これば破滅するならば確率をゼロにしておくのが賢明だろう。3月限では1円で決済するのではなく25000円のプットを同数枚買った。1円で。これでプーチンが核兵器を使用して日経平均株価が1万円下落すれば莫大な利益が転がり込んでくる。なんの心配する必要はない。すると必要証拠金はどうなるか?安くなるという期待に反して、単にファープットを決済するよりも必要証拠金が高いのである!!意味が分からない。幸いにして(残念ながら)夜間でプーチンは核兵器を使用することはなかった。この必要証拠金についての現象の唯一の解釈はファープットのSQ前日の1円という価格はめちゃくちゃIVが高い。1円以下の価格はつかないので本来は0.001円のものが1円でしか取引されないからだ。IVの高いものを売っていて相対的にIVの低いものを買っているのだからそれぞれを別個に計算して合計すると必要証拠金は高くなるのでは。

オプション取引を行うにおいて必要証拠金がどうなのかは常に注意が必要だ。

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