『リバース:1999』の作中の史実や美術用語などの元ネタを素人が解説を試みる キャラクター(~Ver1.0)編 今後追記予定(ネタバレ注意!)
はじめに
リバース1999の元ネタ解説、Ver1.0までのキャラクター編です。一丁前に解説と題していますが、X上のちょっとしたつぶやきからYoutubeでの30分超の大作までの他の方の考察や海外掲示板サイトの考察スレッドでの書き込みを寄せ集めた程度のものですので、考察される際の手がかりやタイムキーパー(プレイヤー)同士の会話のネタに使えるかも、という軽い気持ちでお読みください。
またこの場を借りて考察の情報源・引用元の全てを明記できていないことを謝罪させていただきます。もしこれは自分の、あの人の考察だとお気づきになられましたらたいへんお手数おかけしますが出典元のURLとともにご指摘をコメント機能、私めのXのDMにお願いします。すぐに修正させていただきます。
不明リスト なにか手がかりあれば私のXで教えてください
星4以下
ドア(Door 约翰·提托)
かなり怪しいですがアンデルセンの『雪の女王』に登場する悪魔の「物事がねじれて見えてしまう鏡」から。作中で割れて粉々になるのですが、破片の一部が長い月日、宙に浮き続けているという描写があります。
オニオン(ONiON 洋葱头)
国際、国内、地元のニュースに関する風刺記事の公開に焦点を当てたアメリカのメディア企業「The Onion」から。政治や人権などのよりセンセーショナルな話題を扱う米国版「虚構新聞」みたいなものです。Onionも意見を指すOpinionのもじり。
ギベオンズアイ(aliEn T 簡体字名星之眼)
ナミビア共和国ギベオンで発見された鉄隕石、ギベオン隕石。
ジョン・タイター(John Titor 约翰·提托)
2036年のアメリカからのタイムトラベラーであると主張し、2004年以降の出来事の予言(なお全て外れた)をした2000年から2001年にオンライン上に現れた「 TimeTravel_0(もといJohn Titor )」から。彼女が手に持っている機械は「IBM5100」で、ジョン・タイターは最初のポータブルコンピュータであるこれを過去から取ってくるのが目的だったようです。ちなみに話すときに用いている文字列は16進数の文字コードです。
ユーディモは印刷室座。
ベティ(Bette 贝蒂)
20世紀前半のアメリカを代表する女優ベティ・デイヴィス(1908〜1989)と喜劇役者チャーリー・チャップリン(1889〜1977)から。展示場所であるアメリカカルフォニア州はチャップリンが映画スターとなった時期に所属していた映画スタジオキーストン社の所在地、付け髭は彼のキーストン社時代からの老けづくりです。
オリバー・フォッグ(Oliver Fog 雾行者)
元ネタ:チャールズ・ディケンズ、ジョン・エヴリン(共にロンドンの作家)
まずはディケンズについて。
・職業の煙突掃除人、名前
彼の作品『オリバー・ツイスト』は同名の主人公が煙突掃除人の少年です。
・オリバー・フォッグの持つ懐中時計、傘
時計は上記の作品を連載していた出版社からディケンズが懐中時計を贈られていること、傘は彼の小説の『マーティン・チャズルウィット』の登場人物サラー・ガンプがいつも太くて不恰好なこうもり傘を持ち歩いていることからイギリス英語で傘をガンプと表現することから。オリバー・フォッグも自分の傘をそう呼んでいますね。
・ユーディモのフクロウ
フクロウはユダヤ人の象徴らしいのですが、シェイクスピアの『ヴェニスの商人』などにもあるようにケチで守銭奴と描写されることが多いようにディケンズも小説内で悪役と描く事があり、のちのイギリス内のユダヤ人差別の一因となったことを踏まえたものかもしれません。なお、ディケンズは晩年にユダヤ人を善人としても描きました。
次にエヴリン。
・オリバー・フォッグの煙との因縁
作中で触れられるフォッグの父の亡くなったある冬というのは実際に1952年12月5日から同月10日までにロンドンで発生した「ロンドンスモッグ」という一万人以上の死者を出した史上最悪の公害のこと。この事件の後、彼の会話にも出てくるようにイギリスでは「大気浄化法」が1956年に制定され、ロンドンの大気汚染は徐々に改善に向かいます。この法律が制定されるきっかけとなったのが作家ジョン・エヴリンがイギリス国王に出したフミフギウム(邦題:ロンドンの空気について)でした。オリバー・フォッグもゲーム内会話でロンドン市民間で環境問題についての議論がないことを訝しむシーンがある他、最も好きな花が水仙であり、水仙にはジョン・エヴリンという品種が存在することもエヴリンとオリバーの関係の根拠となっています。
その他。
・誕生日
誕生日の12月26日は貧困層へプレゼントを配るボックシング・デーから。
オリバー・フォッグの定時退勤主義はややギャグのようにも描写されますが、元ネタを鑑みると彼が煙突からの煙と児童労働・残業といった労働問題、それらを引き起こす資本主義、工業社会を激しく嫌っているのも頷けます。ディケンズの『クリスマス・キャロル』もそのような要素がありますし。
ちなみに大陸版で20世紀初頭の社会主義の理想をイメージしたイベント「さらば、ライヤシュキ」が先行して開催されていましたが、恒例の衣装の星4以下キャラクターの枠はやっぱりオリバー・フォッグとなっています。
ララ・ファウンテン(La Source 拉拉泉)
19世紀中頃に、 フランス新古典主義の画家ドミニク・アングルによって描かれた油彩画《泉》から。フランス語の原題が「La Source」である他、構図が同じである、19世紀生まれなどからほぼ確定でこれであると思います。余談ですが、画面中で描かれているのは酩酊の神デュオニソスを象徴するというヘデラ、つまりはキヅタ属の植物とされているので、リバース1999の「ミュオソティス」と何か作中で関わりがあるかもしれません。ウルと並んで数少ないその本質が神であると明言されたプレイアブルキャラクターでですし。
バニーバニー(Bunny Bunny 芭妮芭妮)
クラブで働くバニーガールであることと展示開始時期から、バニースーツの元祖であるアメリカの「PLAYBOY」誌(ちなみに雑誌のロゴも兎)による高級クラブの店員服。ちなみに同雑誌は名前から軽薄な印象を受けます(男尊女卑的な文章も見られることが批判されてもいます)が現代文明を鋭く風刺したレイ・ブラッドベリの『華氏451度』がかつて連載されていたりアメリカの紳士雑誌で初めて視覚障がい者向けに点字を導入したりと意外にも社会的な雑誌です。
ズィマー(Зима 冬)
時代と流刑のことからロシアの詩人、オシップ・マンデリシュターム。
ミス・モアッサン(Ms.Moissan)ッサン(Ms.Moissan)
名前とスペルからフッ素に関する研究によってノーベル化学賞を受賞した20世紀初頭のフランスの科学者、フェルディナン・フレデリック・アンリ・モアッサンと彼にちなんで名付けられた炭化ケイ素の鉱物、モアッサナイトが想起されるのですが、彼女はドイツバイエルンの陶磁器工房の娘なんですよね。マイセン磁器とは場所が違いますし。彼女の物語に登場する「戦争」は、WW1。
クリスタッロ(Cristallo 铅玻璃)
スモーランドはスウェーデン南部の地方。Smålandと書き、小さい土地という意味があります。16世紀頃から続くガラス工業が有名であるほか、同じスウェーデンの家具メーカーIKEAでは子供の預り所にスモーランドの名を採用しています。
ニック・ボトム(Nick Bottom 尼克·波顿)
シェイクスピア作『真夏の夜の夢(原題はMidsummer Night's Dream)』の同名の登場人物から。劇中でも織工であり、公爵の前で披露する演劇の練習中にいたずら者の妖精パックにロバの頭をかぶせられることとなります。
ダーレータッタ(Darley Clatter 哒哒达利)
ダーレーアラビアンは1700年頃に生まれたサラブレッド(品種改良された馬)のルーツ。血統が非常に重要なサラブレッドの始祖3頭のうちの1頭で、家系図を父方に遡るとこの3頭のいずれかにたどり着くそうです。なお、ゲーム中のテキストを読む限りダーレータッタとこの馬に直接的な関わりはなく、彼が自身を本人(本馬?)か子孫かと思い込んでいるだけのようです。
ポルターガイスト(Poltergeist 吵闹鬼)
言うまでもなく有名な怪奇現象ポルターガイスト、穴の空いたシーツを被った見た目は映画『A Ghost Story』から。文化1に出てくる映画は1960年に公開された「ボーイハント」という説があります。
TTT
後述のミス・ラジオと並んで20世紀の技術の象徴といったところ。こちらは20世紀後半に出てきたテレビやインターネットがモチーフでしょうか。誕生日の1989年3月12日は1989年に欧州原子核研究機構(CERN)のティム・バーナーズ=リーによるWorld Wide Web Consortium(ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)から。
その他の由来は分かりません。強いて言うならばやたら情報を集めるのはオーウェルのディストピア小説『1984年』及び小説内に登場するテレスクリーンあたり?小説中に登場する独裁者もBB(Big Brotherの略称)と同一アルファベットの連続という共通点があります。
テレビの集合体というのはビデオ・アートの創始者的存在のナムジュン・パイクの作品かもしれません。(《グッド・モーニング・ミスター・オーウェル》というオーウェルの小説に対するアンサーとしてインターネット通信の可能性を示すテレビ衛星放送を用いた作品もあります。)
TTTというのはWWWのオマージュでしょうが、一体何の頭文字なのでしょうか。Talkative・Television・tower(お喋り好きの・テレビの・塔)とか?
ミス・ラジオ(Ms.Radio 无线电小姐)
彼女の署名である「LEee•bUPd」は機械で初めて勝利を収めたチェスコンピューターであり、比較的早い時期のAIである「DeepBlue」のアナグラムです。少々本筋から離れますが、「Deep Blue」はリバース1999の開発元であるBluepoch の中国語名「深蓝」の直訳でもあり、ゲーム内メールのほとんどが彼女によって送信されていることを考えると、彼女は開発者の分身であるかもしれません。
下記の台詞はベトナム戦争時のラジオアナウンサーのハノイ・ハンナから。
ユーディモはバッテリーについての発言が多いことからボルタ電池座あたり。
リサ&ルイス(Twins Sleep 丽莎&路易斯)
映画『シャイニング』に登場する双子の女の子。会話も映画を踏まえたものとなっています。リサ、ルイスというのはそれぞれ双子役を演じたリサ・バーンズとルイス・バーンズからきています。
リトルイーグル(Eagle 小春雀儿)
名前はボーイスカウトにある七つの階級のうち最高位に達した者を指す『イーグルスカウト』から。服装は1940年代から70年代にかけてガールスカウトの制服の一つとして用いられたユニフォームから。また、誕生日の7月21日は、アームストロングがアポロ11号の月面着陸船イーグル号を用いて月面着陸を行った日。
その他、彼女とのウィルダネス会話で登場する「ブラウンシー島」はボーイスカウト活動の発祥の地である、イギリスに実在する島。
スプートニク(Sputnik 斯普特尼克)
最初の人工地球衛星、スプートニク1号から。ソビエト宇宙計画の一環として、1957年10月4日にソビエト連邦によって楕円形の低地球軌道に打ち上げられました人工衛星です。なお、スプートニクであってスプートニクでないのようなあやふやさはアマチュア無線をやっていたコルーディアなる兄弟が偶然、スプートニクの搭乗者が燃え尽きるまでの通信を傍受したというオカルト話などに代表される当時の冷戦下の状況からのソ連に関する都市伝説の要素もあるとおもわれます。
モントリヒト(Mondlicht 红斗篷)
そのまま『赤ずきんちゃん』から。モントリヒトというのは独語で月光の意であり、赤ずきんちゃんだけでなく狼の要素もあるとおもわれます。
パヴィア(Pavia 狼群)
彼の名前はイタリア北部の都市パヴィアから。巡回展示された土地の一つピエモンテ州が少し近いぐらい。
その他、「文化1」のベネチアへ行く旅人の目的である映画祭はヴェネツィア国際映画祭。
メスメル・Jr(Mesmer Jr. 小梅斯梅尔)
ユーディモはでんききかい座。
APPLe
アイザック・ニュートン。りんごの見た目は重力について考えを巡らせる契機となったりんごの逸話から。APPLeの博学さはニュートンが多分野に渡って研究をおこなったため。またワインをはじめとする酒好きの要素もニュートンが自身のワインセラーを持つほどのワイン好きであり、そのワインから光と色彩の関係について考え始めたことから。出身地のリンカーンシャー州もニュートンの故郷であり、誕生日の1月4日もニュートンの誕生日と同じです。
時代が60年代なのは「文化2」にもある錬金術師としてニュートンが書いた不死の薬エリクサーのレシピが1963年にオークションで競売にかけられたことと、また、1969年にはビートルズによるレコードレーベル、アップル・レコードが設立されたことから。
エリック(Erick 埃里克)
血斧王の異名を持つノルウェー初代国王エイリーク1世。
ジェスター(The Fool 弄臣) 不明
レイラニ(Leilani 莉拉妮) 不明
レイビーズ(Rabies 爱宠) 不明
星5
カシャパシャ(Click 喀嚓喀嚓)
戦争写真家ロバート・キャパ。使用するフィルムはKODAK Kodacolor Ultra Max 400 GC Color Negative Film ISO 400, 35mm。
ネクロ・ロギスト(Necrologist 讣告人)
誕生日の11月2日はカトリック教会およびメキシコにおける「死者の日」。
バルーンパーティー(Ballon Party 气球派对)
ゲルハルト・ドーマクという生化学者の一人娘、ヒルデガルドから。彼女は7歳の頃連鎖球菌感染症に罹患しましたが、父親が開発していた抗生物質、赤色プロントジルによって治療されました。感染を引き起こした細菌であるβ溶血性レンサ球菌(Streptococcus haemolyticus)は、風船の連鎖に似た鎖の球形または楕円形を特徴としているほか、咳などの呼吸器飛沫を介して感染を広げようとします。これがおそらく彼女の持つ風船、及びスペル名の「コホンコホン」と関係していると思います。
スイートハート(Sweetheart 玛丽莲)
マリリン・モンロー。1960年代が舞台のイベント「リメカップ窃盗事件」での主役であるメラニアが目玉としてピックアップされたガチャ「ポップイズワールド」でもピックアップされていましたが、これはポップ・アートの代表的作家であるアンディー・ウォーホルのシルクスクリーン作品の題材として選ばれたからかもしれません(リメカップで一人の専門家や神秘学家に大量生産のロボットが取って代わることを狙う人間が出てきたのもあるかも。)
一応の根拠を以下に列挙します。
メディアムである「愛慕の心」はおそらく夫婦としてすれ違い破局してもお互いを愛していたジョー・ディマジオとの関係。
アルティメット時のアクションは地下鉄からのそよ風が原因で起こったスカートを笑顔で抑える有名な写真から
単品1「アメリカン・ビューティー」は彼女が死んだ後にディマジオによって墓に添えられた薔薇の品種「アメリカン・ビューティー」から。
単品2「1953オーダーメイド式トルコ石」は有名なラグジュアリーブランドFerragamoのハイヒール。 同ブランドはハリウッドスター達にとても好まれていたことで有名ですが彼女はFerragamoの靴を愛用してました。文中に出てくる「Mr.Shoemaker」というのはFerragamoの創設者であり元々靴職人であったサルヴァトーレ・フェラガモを指しているのでしょう。
スイートハートは睡眠、悪夢、夢といった単語をよく口にしますが、マリリン・モンロー自身も睡眠薬の過剰摂取で死亡しています。
また、幼少期は里親や孤児院などを点々としており1部の里親から性的虐待を受けたと本人は話している
精神疾患持ちで精神病院に入院し彼女を手放した母親の親友であるゴダード夫妻もその中に含まれている
文化1の左右の怪物はその話が元ネタかもしれない攻撃時のボイス「カルティエ!」とか「ティファニー!」は映画『紳士はブロンドがお好き』劇中歌『Dimonds are girl's best friend』(下記動画の3分50秒〜55秒目)からの引用かと思われます。
コーンブルメ(Bkornblume 柏林以东)
洞察2で手にしているのはドイツの戯曲家ベルトルト・ブレヒト(Bertolt Brecht)の詩集です。シュタージというのは東西ドイツ時代の秘密諜報組織であり、そこの職員がベルトルト・ブレヒトの本を読むのは映画『善き人のためのソナタ』が思い出されます。コーンブルメはヤグルマギクという花から。反ユダヤ主義であった同名のドイツの右派組織のシンボルです。
映画の内容も含め、彼女はナチスやシュタージを始めとした反ユダヤ団体に抵抗をした人々が元ネタになっていると考えられます。
アルティメット時に後ろで流れる単語は以下の通りです。
Waldeinsamkeit
直訳は「森の孤独」Unvorstellbar
「言葉にできない」、「想像を絶するような」という形容詞Es wird alles wieder gut
1957年公開のゲーザ・フォン・ボルヴァリー監督によるドイツの恋愛映画の題名。「きっと全て上手くいくさ」などという意味。am Ball bleiben
サッカー用語で「ボールに留まる 」という意。
転じて「継続する」、「頑張る」という意味にも。Genauso wie erwartet
想定の範囲内。
攻撃に用いる銃はワルサーPPK。史実上ではシュタージが改造を施しサプレッサーを装備できるようにした改造版を制式拳銃として構成員に支給しました。
ユーディモは子狐座。ガチョウを咥えた狐の姿をとっています、ガチョウはナチスドイツの行進の形容としてよく用いられました。
チャーリー(Charlie 夏利)
展示時期である17世紀50年代から、元ネタはイギリスの絶対王政から議会による共和制への転換の契機となったピューリタン革命。本源の戯曲は1607年初版ジャコビアン時代の喜劇ピューリタンから。彼女がシェイクスピアの孫であるという設定はその戯曲がのちにシェイクスピアの外典に含まれるようになるためからか。キャラストーリーもピューリタン革命後の護国卿クロムウェル指揮下の時代が舞台です。見た目ははピューリタンにゆかりが深いアメリカのマサチューセッツ州にある銅像にも描かれているようなピューリタンから。誕生日の4月23日はイングランド行事の聖ジョージデー。
その他、イギリスの国王一座のメンバーにしてシェイクスピアとも親交があったリチャード・バーベッジという説もあります。
ソネット(Sonetto 十四行诗)
名前はイタリアルネサンス期に生まれた十四行からなる定型詩ソネットから。ソネットにはイタリア風、イギリス風、スペンサー風という大きく三つのタイプがあるのですが、英語版だと名前がイタリア語の綴りになるのでイタリア風のソネットが元ネタであると思われます。
また、神秘学発動の際に彼女が暗誦する詩の一節はそれぞれ以下のようなソネットからの引用となっています。
19世紀イタリアの詩人、ジャコモ・レオパルディ(1798~1837)の「L'infinito」の一行目からの引用。
教師であり、上院議員も務めていた19世紀イタリアの詩人、ジョズエ・カルドゥッチ(1835~1907)のMezzogiorno alpinoの三行目から。
19世紀末のアメリカの詩人、エイミー・ローウェル(1874~1925)によるA London Thoroughfare. 2 A.M.の最後の二文から。
イギリスルネサンス期の劇作家、シェイクスピア(1564~1616)のソネット集、The Sonnetsの第18番から。但し、原文でのlifeがpowerになっています。
マックス・ヴェーバーの「夜」から。
また、アルティメットの敵上空に出現する魔法陣はいくつかの単語からなる文字列に囲まれており、シェイクスピアのソネット第12番の8行目「Born on the bier with white and bristly beard;」。
マチルダ(Matilda)
英国の作家ロアルド・ダールによって書かれた1998年の児童小説『マチルダは小さな大天才』の主人公、マチルダから。腰に手を当てて胸を張って誇る普段の立ち姿は小説を原作にした映画『マチルダ・ザ・ミュージカル(Matilda the Musical)』のポスタービジュアルのもの。
X
彼の用いる神秘術はウィリアム・ヒース・ロビンソン、ロバート・ストーム・ピーターセン、ゴールドバーグらの作品に登場するルーブ・ゴールドバーグ・マシンと呼ばれているあるいは簡単なタスクのために煩わしい過程を経る装置から。最もメジャーなゴールドバーグ・マシンはアメリカ合衆国の漫画家ゴールドバーグが非人間的な大量生産オートメーションシステム(フォーディズム)への批判を込めた1929年に連載開始した「ルシファー・ゴルゴンゾーラ・バッツ教授の発明」シリーズが最初です。後世の創作でもチャップリンの「モダン・タイムス」に登場する自動朝食マシーンを筆頭として機械文明への批判のシンボルやナンセンスさからコメディ表現として用いられました。ちなみに、Xの所属するローレンツ研究所と関連があるかはわかりませんが、前述のヒースはWW2中に用いられたローレンツ暗号の解読機の名前の由来にもなっています。
パミエ(Dikke 帕米埃)
英語版の名前からギリシャの正義と道徳秩序の女神ディケー。日本語版の「パミエ」はパミエ協会。
身分を問わず厳格に正義を執行する気質はパミエ教会の司教であったヴェネディクト12世。
剣と天秤はディケーの母親テミス。
目には目を歯には歯をという文章はご存知バビロン第一王朝の為政者ハンムラビによる復讐法。
誕生日の10月10日は死刑廃止デー。
詳細は以下。
テナント(Tennant 坦南特)
ダイヤモンド商人であり炭をダイヤモンドに変える能力は1797年の実験でダイヤモンドと木炭が化学的に同一であることを証明した化学者スミソン・テナント、デザインはデザイナーでありモデルでもあるステラ・テナント。
不明 ベビーブルー(Baby Blue 婴儿蓝)
不明 五色月(Satuki)
星6
ニューバベル(Ms. NewBabel 新巴别塔)
ユーディモは、ウサギの体、鹿の角、鳥の翼を持つヴォルパーティンガーとうさぎ座。標本職人がさまざまな動物の部位で偽造したキメラの標本で、一部の無知な観光客や幻獣愛好家を欺くために制作したと言われています。
エターニティ(Eternity 温妮弗雷德)
ギリシャ神話の美を司る女神アフロディーテ、コリントの花嫁、マーシーブラウン吸血鬼事件。
中国名は2007年に亡くなるまでに世界最高齢の生きている人物として知られていたカナダのウィネフレッド氏(1891-2007)から。詳細は以下。
アメリカの深夜トーク番組『The Tonight Show』。1954年から続く長寿番組で、司会者の名前に合わせてタイトルが『The Tonight Show starring/with XX』と変わります。
単品では、ギリシャ神話の海の女神「エウリュビアー」と名の付く物品が多いです。エターニティのスペル演出では海の生物や海の描写がされていたり、海に関する記述が多いことからも関連が伺われます。
ケントゥリオン(Centurion 百夫长)
名前はアメリカン・エキスプレスが発行した世界的に使用されているセンチュリオンカード。ユーディモとマジシャンという設定は、おそらく「ジークフリート&ロイ」および飼っていたホワイトタイガー、脱出マジックはハリー・フーディー二。ギャンブラーの要素はラスベガスで活動した最初のマジシャングロリア・ディー。彼女がメキシコ人であるのもグロリアが演じたミュージカル映画メキシカーナから。
リー・アンアン(An-an Lee 泥鯭的士)
周星馳(チャウ・シンチー)と莫文蔚(カレン・モク)主演、1995年公開の香港コメディホラー映画『回魂夜』、1984年公開のアメリカのアヴァン・ライトマン監督の映画『ゴーストバースターズ』。
心霊現象相談所を営む理由は両作品が幽霊退治業者がテーマであることから。通常衣装の緑のジャケットの姿は『回魂夜』のカレン(正確には『回魂夜』が『レオン』のパロディなのでレオンが本当の元ネタ)。メガホン、スペル「上清呪符」「百合の霊水」に登場する呪符、百合の花やラップとチョコレートについてのセリフも同映画のシーンが由来です。
銃のようにメガホンを対象に向けて悪霊を捕獲する背中の装置は、映画『ゴーストバースターズ』のプロトンパック。肩のロゴマークもそのまま。
署名の泥鯭的士は、「泥鯭」(魚のアイゴの通称)と「的士」(タクシー)の2つの中国語で構成される複合語で、1980年代の香港を起源とするタクシーの違法な相乗りの方法。
アルティメット(動画00:55~)に登場する椅子も映画(予告編動画00:37〜)に登場。
Tシャツの「發財」は金儲け、繁盛の意味。
ピックアップガチャの名前はモデルが映画であることを踏まえたもの。スイートハートは元ネタがマリリン・モンローであるため。カンジーラはインド映画?ベビーブルーと五色月は全く分かりません。
ナイト(A Knight)
彼の設定は、シャルルマーニュの下でフランクの軍事指導者であるローランから。根拠としては旧友と共に月を追いかけたというセリフ、角笛を吹くローランの歌を歌う等々……
基本的には騎士道文学の『ローランの歌』がベースですが、意志だけで動いている設定はイタロ・カルヴィーノ著『不在の騎士』からかもしれません。こちらもシャルルマーニュ伝説が元ネタになっており、主人公のアジルールフォは中身のない鎧だけの騎士。肉体を持たず意志だけの存在で、 正義感が強くユーモアな性格などナイトと類似点は多いです。 ただローランとアジルールフォは同じ仲間として描かれているので、同一人物ではありません。
彼のスペルIIは、ローランドスクヴァデットに由来しています。彼の剣にはデュレンダルという名前ですが、これはまさにローランドがローランドの歌で振るうヨーロッパ三大聖剣の一つの名前です。
彼のアルティメット名は、ローランドが死亡したロンスヴォー峠でのバスク軍とシャルルマーニュ軍との間の戦争である778年のロンスヴォーの戦いから。
雑談IIはノルウェー語の民謡「Rolandskvadet」のバージョンから出たもの。
ユーディモはペルセウス座。
レグルス(Regulus 星锑)
1960年代に流行した海賊放送(船上のラジオ局から無許可で行う放送)の一つであるラジオ・ロンドン、錬金術で星の心臓、アンチモン・レグルス(錬金術は占星術とも重なる)と尊ばれたジオクロン石、光を操る神秘学と相棒のAPPLeは錬金術者にして天文学者、そして光学者であるニュートン、及びギリシア神話の音楽の神であり錬金術でも崇拝の対象であった太陽神アポロン。
レグルスはラテン語で「小さな王」であり、彼女が船長命令や上下関係を重視するのもそこから。また、ニュートンは1675年に『光の性質を説明する仮説』という論文を発表しましたが、彼は獅子座にある「恒星のレグルス」から光と引力の関係についての考えを思いつきました。ちなみに、リバース:1999の開発元であるBluepochの正式名称は「Bluepoch Regulus Technology Co., Ltd.」です。
その他、ユーディモは子獅子座。誕生日の8月15日はウッドストック・フェスティバルの開催日。
ドルーヴィス III(Druvis III 槲寄生)
ケルト神話の女神ダヌ、及びケルト社会のドルイド。
名前のドルーヴィスはドルイド(Druid)の語源となっているオークを知る者(dru-vid-s)から。抱えているヤドリギはドルイドのヤドリギを収穫しエリクサーを作成する儀式から。母親がケルト語で話していたアイルランドの叙事詩はアルスター伝説群のクーリーの牛争い。姓は、実在の会社ウェアーハウザー社。
その他の関連性は以下。
ユーディモはねこ座。
ザザビー(Sotheby 苏芙比)
世界最古のオークションハウス『サザビーズ』、ギリシャ神話の商業の神ヘルメス、レグルスの項目でも書いたように錬金術師でもあるニュートン。
ボイスで登場する「テムズ川」はロンドンを流れる河川で、サザビーズが設立された場所もロンドン。
詳細は以下の記事。
単品の靴はダイダロスがデザインがしたとある。ダイダロスとはギリシャ神話のミノタウロスの迷宮やイカロスの翼の制作者ダイダロス。洞察2のイラストにもミノタウロスらしき存在がいます。
ユーディモは牡羊座。
リーリャ(Lilya 红弩箭)
WW2中のソビエト空軍に所属した戦闘機パイロットリディア・リトヴァク。戦闘機がほうきであることと彼女の洞察IIで「バレンツの魔女」と呼ばれるという話は、同軍の第586夜間爆撃機連隊の全女性軍事飛行士の独語での通称Night Witchesから。同じく洞察IIのバレンツ海とリーリャの戦闘勝利時の台詞中の「Red-38」は、冷戦下の1987年にバレンツ海でノルウェーの戦闘機P-3 Orionと接触事故を起こしたソ連のSu-27から。両機は無事だったものの、国際問題となりSu-27はRed-38として再塗装されました。
乗っているほうき型戦闘機Su-01beはSu-1という史実上は実現しなかった突出した航行速度を備えた高高度戦闘機から。
洞察2のジャケットの赤いリボンのメダルは、リディア・リトビヤクが戦闘機パイロットとして死後に授与されたソ連邦英雄称号やレーニン勲章のメダルと類似。
ボイジャー(Voyager 远旅)
175年に一度しか起こらない外惑星直列のタイミングを狙って1977年に打ち上げられたアメリカの無人宇宙探査機ボイジャー1・2号から。
11月12日はボイジャー1号の土星への最接近日。
彼女がハミングしたり演奏したりするすべての音楽作品、動物の鳴き声は、ボイジャー1号と2号のゴールデンレコードに含まれていたものです。
彼女の習得している地球の55の言語は、ゴールデンレコード2番目ののタイトル「55言語での挨拶」から。
黒エプロンに白いフリルといった装いは、ソ連の女子制服から。
彼女が歓迎の声で口ずさむ曲はイングランド民謡「Greensleeves」。
彼女がバイオリンで洞察の際に演奏する音楽はドビュッシー作曲「Clair de lun」。
不明 メディスンポケット(Medicine Pocket 兔毛手袋)
その他のキャラクター
ヴェルティ
時に関連し、ヴェルティという名前に近い方として北欧神話の運命の三女神の一人、「現在」を司るヴェルダンディが挙げられます。
シュナイダー(Schneider)
シチリア島から渡米し、聖バレンタインデーの虐殺の実行犯と疑われたマフィアのルバート・アンセルミとジョン・スカリーゼ、及び新約聖書のイスカリオテのユダから。詳細は以下。
ミュオソティス(forget-me-not)
酒神バッカスと同一神と言われているギリシア神話のディオニューソス。
ディオニューソスには、ゼウスはヘーラーの実の母レアーと交わりペルセポネを産ませ、蛇に化けてペルセポネーに近づき、跡継ぎとしてザグレウスを産ませた。そのザグレウスはディオニューソスの第1形態である、という逸話があります。
バーを営んでいたり、出自に関しては一致。
参考にしたもの、情報元
Youtube動画
攻略wiki、掲示板
他ブログ記事、ツイート、Webサイトなど
おわりに
どうでしたでしょうか。私の個人的なキャラクターへの愛・知識の偏りや入手状況から貴方様の推しの内容が一文程度になっているかもしれず、大変申し訳ありません……。繰り返しになりますが「〇〇はこれが元ネタっぽい」「この考察はあの人のが最初だ」等々何かすこしでもご指摘がありましたら、また当記事のコメント、私めのXのDMにぜひお願いします。
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