サバイバルロッタリー(2023年の自由252)

昔、サバイバルロッタリーの話を小説にした
サバイバルロッタリーの理論を正しいと信じ、合法化した社会の話だ
サバイバルロッタリーとは、5人の人が別の臓器を必要としている。1人の人間が抽選して選ばれて犠牲になる。それによって、5人が救われる。と言った事を問う倫理学的なテーマだ。今はサバイバルロッタリーも別の形で表現される事が多いけどね
あくまで倫理の授業の課題であった為と、テーマが一つだった為、短編一本に纏めた。どう足掻いても、多数を助けるという理論を打ち破れなかった為、自動書記で頑張って書いたんだ
筋はこうだ

ある青年がサバイバルロッタリーを止めようとする。所謂テロでだ。その前に立ち塞がる警官。警官は青年に「君のやってる事は(サバイバルロッタリーを止めようとする事)は殺人だぞ」と言う。青年は「サバイバルロッタリーをやろうとする事こそ殺人だ」と返す。一人の犠牲者を乗せた救急車。その前に立ち塞がる青年。更にその前に立ち塞がる警官。青年は言う「安易な方法で人を助け、また人を殺す事は結局、人の志自体を奪う事になる」(ここで言う方法はサバイバルロッタリーの事、一人を犠牲にし、臓器を移植する事で五人を助ける)やるせない思いこそ科学を発展させる原動力となる。人の命を奪って安易に五人助ける事に反対する訳だ。
だが、警官は「今の世の中で君のやってる事は殺人だ」と返す訳だ。(法治の理屈と功利主義の理屈だね)青年は撃たれ、警官は青年を撃つ。青年は撃たれる寸前に「あなたが今からする事は殺人だ」と言う。警官は「ああ。そうだな」と言って青年を撃つ。(五人の命が掛かってるからね)ここで話は終わる。一人が犠牲になり、五人を救う。それは成され、その後、人工臓器が出来るようになりサバイバルロッタリーは廃止される。今書くならこうなるかな。最後辺りが若干違う。これは筋の説明で、もっと読みやすい物だったけどね
んん-大学時代にこれ位の話をやってる訳だよ。もう30年近く前になるけどね
で、君の話は?子供の感情論の話かな?前から僕の事を見てる存在は、その話を書いてる事を知ってるよ?なんせ、始まった時のワープロにその話入ってたからね
まだ、ワープロが活躍してた時代
君の言ってるレベルの拙い話はしてないんだけどな。単に君の御都合主義の話
だよね

実際には答えのない話ではある。この話もトロッコ問題に近いかな。結局、功利主義と義務論の話とはなる訳だ。この話はね。ちょっと違う点は、功利主義を社会が選択し合法化させているという部分だ。君はこの警官を責めれるのかい?

「臓器移植は出来るが臓器培養は出来ない。そういう過渡期の時期にしか出来ない小説ですねえ」
うん。サバイバルロッタリーの問題を担当して、考えても考えても「正しさ」の意味では数の理論を越えれなかったんだよ。だから、自分を青年側に置いて、そんな話を書いてみた訳だ。自動書記で
「私は警官も好きですよ。青年の理念も分かりますが現実の世界で考えるには青臭い気もします」
僕も今となってはその感想だね。だけど、功利主義一辺倒でいいのかという事に疑義を呈するには面白い小説だ。ほれ、義務論派もこれ位の反論してくれないと僕、それより先にいるからね。義務論で反論するならこうだろう

義務論派から見れば功利主義は殺人に見えるんだろうけど、それを言うなら、功利主義の観点から見れば、義務論派は大量殺人犯さ。自分の意志が関わってる事に変わりはないだろうに。その責任から逃れたかったら友人Sの言う通りサイコロでも振らんとな

「結局トロッコ問題と一緒になる?」
んん-被る部分が増えるから最近はサバイバルロッタリーは別の使われ方して、別のテーマを問うみたいだね。よく知らんけど
「知らんのかい!」
ちゃんちゃん

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