前言撤回

高齢の母親が検査の結果、ある病気だということが判明した。
主治医より病名や病状など詳しい説明を受けた。
その病気は種類が100通りほどもある。
幸いにも進行はごくゆっくり。

病気に罹った人の選択肢は二つ。
特に治療はせずに何カ月かに一度経過観察のため受診する。
もう一つは2カ月間、病変部位縮小のため、点滴治療を受ける。

先生の話によると、治療をしないことを選ぶ人、
点滴治療を受けても、あまり患部が小さくならない人
治療方法が合い、グッと小さくなる人などさまざまとのことだった。

その場ですぐに結論を出さなくてもいい
どうするかは次回までに考えてきてくれたらいいと言われた。

次の受診日まで10日以上ある。
付き添いをした私は、「自分なりによく考えて決断したらいい」と伝え、
その日は別れた。

時が経ち来院日になった。
診察室で先生と母親が向き合った。
本人の口から点滴治療を行うと言った。

治療をするとなったら、今度はいつから開始するか?
1週間後の同じ曜日からに決まった。

今日はその日だった。
また指定された時間に母親と待ち合わせをした。
所定の場所に行き手続きを済ませた。
それからは看護助手さんが世話をしてくれるとのことで
私と弟は帰っていいと言われ、その場を後にした。

初回だけ大事をとって2泊入院する。
来週からは、週に1度通院して点滴治療を受ける。

熟慮の上の決断だと思われたのだが・・・・・
夕方、病院から電話があった。
出てみると主治医からだった。

本人が明日の点滴治療は受けるが、来週以降は面倒くさいから
受けないとのこと。

なんで今頃になってそんなことを言うのか?
2か月間、点滴治療を行うと決まり準備を進めてもらっていたのに・・・・

先生や看護スタッフにただ迷惑をかけただけではないか!

母親は私や弟に相談しなかった。
いいづらかったのかもしれない
遠慮があったのかとも思う。

付き添いを頼まれても、目に付くことを注意するばかり。
気持ちに寄り添うということが欠けていた。
ただその場に一緒にいただけ。

これからはお互いに歩み寄り、距離を縮めることから始めなければ
と考えさせられるできごとだった。





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