
夫婦が、ちがう音楽を好きでいること。
夫もわたしも、音楽が好き。
だから、家ではよく音楽がかかっている。
流行りものに敏感なわけでもないし、ジャズとかクラシックに詳しいわけでもない。
それぞれが、聴きたい音楽を流しているだけ。
それがたまたま、昔のJPOPだったり、クラシックだったり、ゲーム音楽だったり、インストだったりする。
でもたいてい、相手が流す音楽が、こちらも気にいる。
「それ、なんて曲?」
「◯◯さんの、新しいやつ〜」
「へえー、ええな!」
このレベル、この程度のやりとり。
だから、お互い押し付けがましく布教もしないし、好きでないなら何も言わない。
CDで流すときもあれば、リビングのテレビにMVをうつすときもある。
子どもがいても、流すことも。
ただ、こんな私たちでも、存在する。
「それはどうにも、良さが分からんな」という、理解できない音楽が。
わたしの場合は、ミュージカルが好きだ。
たまに、元気を出すために、テレビにミュージカルソングを映し出して、子どもを抱っこして踊っている。
子どもは揺らされて楽しそうだが、夫だけは「ぽかーん」だ。
「この人たちは、なんで踊ってるん?」
「何で今、この人歌い出したん?」
うるせーーー!!!
それが、ミュージカルなんだよ!!
わたしは、夫のツッコミに、リモコンをぶん投げそうになる。
いや、嘘だ。そこまでキレてない。
でも、ミュージカルって、それがいいのに。
登場人物がおもむろに歌い出すたびに、夫は魚のような目でテレビを見つめる。
なんで、どして?
理解ができない、の顔をする。
理解されなくてもいいのです。
否定されなければ、それでいい。
ちなみに、ミュージカルソングについて書いた記事は、こちらに。
じゃあ、わたしが魚みたいな顔になることはないのか。
___ある。
夫の聴く音楽で、どうしても良さがよく分からないもの。
それは、ベースだけの映像だ。
敵を増やしそうなので、あまり書かないが、YouTubeでベースを弾く手だけが映し出され、ベンベンとベースラインだけが流れる動画。
夫はあれを、よく見ている。
夫もギターやベースをしていたので、知る者が見れば、きっと面白いんだろう。
でも、わたしにはよく分からない。
リビングに、「べーん、べべべ、べんべべ、べん!」みたいな音が流れ続けると、おもわず魚の目になる。
うるさい、とは言わない。
わたしのミュージカルの方が、たぶんうるさい。
でも、やっぱりこの動画だけは、ソファーで並んでいっしょに見ようと思わないのだ。
ちなみにこのシリーズは、ギターやドラムの時もある。
リビングに「トコトコタカタカトコトコ」が鳴り響くと、ちょっとばかり虚無になる。
でも、いいんだ。
理解しようと思わなくていい。
わたしはミュージカルを聴けば元気が出るし、夫はベースを聴いたら元気が出るんだろう。
知らんけど。
それに、子どもができて思うのは、お互い同じ音楽ばかり好きでなくて良かった、ということだ。
世の中にごまんとある音楽。
それが、家で流れている。
でも、同じ音楽ばかりじゃなくて、あらゆるジャンルの音楽が流れていたら。
子どもたちも少しは、世界の広さを感じるんじゃないだろうか。
だから、昔の歌謡曲も聴くし、洋楽も、ジャズも、吹奏楽も聴く。
わたしはピアノを聴かせるし、夫はギターを弾いて聴かせる。
子どもたちが、音楽好きになるといい。
音楽が、身近になるといい。
お互いが好きな音楽を、息子たちは好きでないかもしれない。
将来、まったく未知の音楽に出会うのかもしれない。
それもいい。
家族みんなで、音楽を楽しむために。
今日も家のあちこちで、陽気な歌声と鋭いベース音が聴こえる。
ひさしぶりに、珈琲次郎さんの企画に参加できました。
嬉しい。