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君とのハグだから、痛みも消えたよ。


夫婦の「スキンシップ」。
それを聞かれると、苦い気持ちになる。



今、うちの夫婦はスキンシップ停滞中だ。
主に、わたしが。

もともと夫は、ものすごく自然に積極的にスキンシップをとる人だ。
頭を撫でる、ギュッとハグする、マッサージする、手を繋ぐ、ふざけて戯れる。
どれも夫がやりたがる。

それは、夫の家族自体がそうで、両親と何気なく触れている姿を何度も見かけた。
そしてそれは、わたしにとって、かなり驚愕の光景だった。


わたしの実家は、両親も、兄弟も、まあ触らない。
スキンシップどころか、どこか体の部位同士が触れることなんて、大人になってからはおそらく一度もない。

そんな家庭で育ってきたので、私たち夫婦は、夫のスキンシップ力に頼ってきた。

夫からわたしに触れることが圧倒的に多い。
でもわたしはわたしで、新婚の頃は、毎日ギュッとしてくれるのも、マッサージしてくれるのも、頭をポンポンしてくれるのも嬉しかった。

触れてもらうと、満たされた。
触れられた部分が、じーんとした。




でも、子どもができて、変わってしまった。
わたしの中身が変わってしまったのだろうか。

何といっても、子どもが優先。
わたしの脳は子どものことでいっぱいになり、身も心もそのことばかり。

だから、せわしなく動いているときに、ハグなどされようものなら「今じゃない!」と思うようになった。


今それどころではない、というのは見た目だけでは分からない。
わたしはキッチンに突っ立って、料理しているのではない。
料理しながら、長男の園の準備を促し、足元の次男が危なくないよう気を配り、頭の中では1日のスケジュールや晩御飯の献立や買い出しについて考えている。

そこに、当然ハグされても。

‥されても!!!!!泣

ごめんね夫。
今の私は、「お母さんモード」。
受け止める余裕がないんだよ。


そのとき受け止められずに、あとで「さっきはごめんね」と言う日もあれば、本当に腹を立てて「邪魔!」と一蹴するときもある。

それでもだいたい、わたしが受け入れられないことが悪かった気がしてくるので、あとでなるべく伝えに行く。

あなたのことが、嫌なんじゃないからね。
嫌いなわけじゃないからね。



すると夫は、分かったような分からんような顔でしゅんとする。
はい、と小さく返事もする。

スキンシップを求めてくれるなんて、ありがたい。
だって私からさわれないんだから。
夫婦で生涯ずっと仲良く暮らすために、スキンシップは絶対必要だ。

拒否しすぎて、夫がスキンシップを取ってくれなくなったら困る。
「邪魔!」なんてひどいことを言うくせに、触られなくなるのを恐れているのだ。

ずるくてごめん。

そういうのをあれこれ考えしまうから、「スキンシップ」は苦い気持ちだ。


でも、「スキンシップ」の効果は絶大だとよく分かっている。

産後、よく体のあちこちが痛くなった。
そのとき、リラックスしてしっかりハグすると、不思議と痛みがよく治った。

ネット知識だが。
ハグには鎮痛効果があると聞く。 

モルヒネの何倍とか、幸せホルモンがどうとか。
それをつくづく、実感する。

「ギュッてしてもらったら、痛いの治ったよ」

そう伝えると、夫は得意気な顔で言う。

「俺の愛の力のおかげやな」


そやね。そう思う。
鎮痛効果とかホルモンとかより、きっと「夫」の力なのだ。
どうでもいい人にハグされたって、体の痛みは治らない。

大好きな夫にハグされたから、わたしの体は治ったのだろう。


うーむ。
こりゃ停滞中なんて言ってられない。
今日はわたしから、ひさしぶりに、ハグでもしてみよう、かな‥。

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今週も、珈琲次郎さんの企画に参加しています。
コメントまでいただいて、すごく丁寧な企画です。
珈琲次郎さんのお人柄が滲み出ています。

参加されているみなさんの記事も、それぞれ違っておもしろいですね。
今週もよろしくお願いいたします。

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