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ぐずぐず言うの、だいじよね。


昨日、家が牢獄に感じる、という記事を書いた。


不安のある投稿だったが、ありがたいことに、共感のコメントをいただいた。

ありがたや、ありがたや。
拝みたくなるほど、励まされた。

辛いと、ついひとりぼっちになって、暗いほうへと、落ちていってしまう。
そしてその辛いきもちを、どんどんだれにも言えなくなる。

昨日のも、リアルでは言えないから書いた。
それを「気持ち分かります」、「おなじことありました」と言っていただいて、どれほど安堵したことか。

わたしだけじゃないんだ。

この感情は、よくないのかもしれない。
まわりと比べ、似た人を探して、安心する。
それは、結局なんの解決にもならないのかもしれない。

でも、わたしには必要だった。
コメントをくださった、千縁さん、星雪花さん、やきいもさん。
ほんとうに、ありがとうございました。


◇◇◇


今日は「牢獄」をとびだした。

すこし遠い公園に行き、逃げる次男を抱えながら本屋を歩き、ママのヨガ教室にも参加した。

正直、次男が泣く中でのヨガはきつかった。
ぜんぜん、集中できない。
しんどかった。
うまくいかなくて、悲しくなる。

でも、マットにうつ伏せながら、「今はうまくいかないときなんだなあ」と考えた。
前回のヨガは、うまくいったもの。
次男も機嫌よく、わたしも集中して、深く息を吸って、吐けた。

つまり、調子のいい日も、悪い日もある。
そういう心身の波やゆらめきを感じる。
それが、この時間の意味なんだろう。

そんなことを、ぼんやり考えてる間に、ヨガは終わった。
むわっと汗をかいて、苦しかった。



めずらしく、そのまま友達にランチする。
初めましての方といっしょに、いい値段のランチを頼む。

トレーに小鉢がならぶご飯。
一年くらい、お目にかかれなかった。
子どもを追いかけながらのランチは、辛いだけだと避けていた。

でも今日は、それでもランチがしたかった。
うまくいかなかったまま、帰りたくない。
なみだが出そうだった。


友達は、疲れたやしんどいばかりのわたしの気持ちに共感し、言葉をくれた。
初めましての方とも、互いのたいへんな育児を分かちあう。
ランチの途中、次男が逃げてどこかへ行っても、食べ終わった友達が追いかけてくれた。

たった、1時間のランチ。
おなじ境遇の人に話を聞いてもらい、ていねいなごはんを座って食べて、外の空気を吸った。
それだけ。

でも、帰りの車。
次男に、うんと優しい声が出た。

分かってもらえた。

それだけで、こんなに軽やかになれるんだ。


◇◇◇


ちょうど帰宅したころ。
遠方の妹から、LINEが届いた。

彼女もまた、育児に悩み、仕事復帰と慣らし保育に、四苦八苦の毎日だ。

悩みがぽつぽつ送られてくる。
わたしはつい、なんとかしたくて解決法ばかり提示してしまうが、今日友達がしてくれたように、共感の言葉を書いて投げる。

駆けつけられる距離ではない。
わたしが妹にできるのは、こうしてLINEで話しを聞くだけ。


一通りのやりとりがすんで、最後、妹から短文が飛んできた。

「なんか、ぐずぐず言ってごめんね」


わたしは、なんと返せばいいか分からなくて、手を止め、しばらく返信をやめた。

なぜ、妹は謝らないといけないんだろう。
わが子のために、こんなにがんばっている彼女は、たとえそれがうまくいっていなくても、責められる立場ではないはずなのに。


なかなか良い返しが思いつかなくて、

「ぐずぐず言うの、だいじよね」

と返した。


わたしも今日、ぐずぐずしたから。
でも、そのぐずぐずは、友達が聞いてくれた。
だから、軽くなった。

苦しみも、育児のたいへんさもなんにも変わっていないけれど。
まちがいなく朝よりも、みなぎっている。


だから、ぐずぐず言うの、だいじだよ。

我慢しなくていいからさ。
いつでもLINEしてきてね。

そんな続きを言う前に、妹からお別れのスタンプが飛んで来て、今日の話は終わってしまった。

◇◇◇


明日もまた、育児はつづく。
わたしだって、明日はまたぐずぐずだろうし、妹もきっとそうだろう。

ぐずついた天気とおんなじだ。
すぐには晴れない。
じわりじわりと、雲は漂う。

でも、雲の隙間から、時折青空が見えるように。
ぐずぐずもすこしずつ吐き出して、たまにでいいから空を見たい。

そしていつか、雲が流れたら。
そこには、遠くまで高く続く大空が、うんと広がっているのだろう。


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