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境界線(短編小説)
この世には、さまざまな境界線がある。
結婚しているか、していないか。
彼氏がいるか、いないか。
多様性になった時代でも、恋愛の境界線は大学生にとって大きい。
私には、好きな人がいる。
小学校から一緒で幼なじみの彼は、いつしか恋愛対象になっていた。
大学のまわりの友人は皆彼氏がいて、なんですぐに彼氏が出来るんだろうと思う。
私にそんな器用さは無い。
親友から恋になって何年経つだろう。
彼と話せるのが楽しくて、早く登校した。
部活中に窓の隙間から見る校庭を走り回る彼が好きだった。
好きなアーティストのCDを貸合いっこした。
2時間おきくらいにLINEのやり取りをした。
修学旅行で同じ班になり1つのかき氷を一緒に食べた。
インスタを始めた時、彼が私を仲の良い人にしか見せないストーリーに入れてくれていて嬉しかった。
小学校から高校までずっと一緒だった彼とはたくさんの思い出がある。
思い出がありすぎて。
それを壊すのが怖くて。
私は逃げた。
告白出来なかった。
いや、しなかった。
今のままで良いと思った。
友情と恋愛の境界線。
そこを越えられなかった。
そうしていくと、好きなのかどうか分からなくなった。
好きでも、幼なじみとしてなのか、異性としてなのか。
そして、付き合いたいのか。
でも、大学で違う都道府県になり、改めて考えると好きなんだと思った。
そして、今日、久しぶりに彼に会う。
高校を卒業して以来。
お互い20歳になり、同窓会が開かれることになった。
「久しぶり」
と懐かしい声がして振り返る。
そこには、以前と変わらない、でも大人になった彼の笑顔があった。
私は、いつか境界線を超える日が来るのだろうか。