見出し画像

天皇陛下より結局弁当よ

娘のこんちゃんはダンスを習ってる
学校の後にダンス教室に行くのは、そこそこ時間ギリギリなわけです

次の日はこんちゃん、弁当デーだったから
待ってる1時間で3歳のなっとくんと近くのイオンだなと考えながら
ダンスの駐車場へ到着

遅れそうだから急いで車内でこんちゃんが着替えていると、
外から「コンコン」とノック
見るといかつい警察っぽいおにいさん

「えっ車内で着替えはNGですか?!
えっでもそんなことで逮捕っすか?」
そんなことを思いながら窓を開けると、第一声
「陛下に会われますか?それともダンス教室ですか?」

横を向くと歩道には国旗を振ってるたくさんの人
そういえば今日は天皇陛下がうちの地域に来てる日だった
テレビで見たことある空気感を横目で見つつ
警察の人へ視線を戻す

「ダンスです!また1時間後に迎えに来ますので」
元気にそういって、ハイさよならをしようとしたら
「すみません、1時間後は入れないかもしれないんですよ~」
いかつい警察っぽいお兄さんはバツが悪そうに言った
えっどゆこと?

聞けばどうやら天皇陛下の車がもう1時間以上遅れてて?
陛下が来るときには国道全面禁止にする決まりなんです?
いつ来るかわからないので、1時間後に車が通れるかどうか・・・だと?

はーそうですか、そうですか
国で一番偉い人だし?まぁわからんくもない
(ダンス教室の前で旗フランでもいいじゃんと思いつつ)
でも私お弁当の材料を買いに行かないと明日お弁当作れないのよ
しゃーない、歩くか

「じゃあ歩いて行って帰ってくる感じにします
ほら、あそこの道渡ったイオンに行きたいので」
歩行距離はそこまで長くないけれど
3歳のなっとくんを連れて歩くのは結構めんどい
でもまぁしゃーない
天皇陛下のためだ

「あーすみません、歩行者も全面禁止なんです~」
いかつい兄ちゃんが語尾を伸ばして伝えてくる
はぁ?歩行者までも禁止とな?
はじめはバツが悪そうな表情に見えた警官が
今は笑った表情に見える

確かにね?阿部首相が打たれたときなんて
偉い人の警備って、ホントちゃんとやってほしいなって
切に願ったし(阿部氏の顔がスキだったの)
天皇陛下にだって、一度くらいお目にかかりてーって思ってるよ?
尊敬もしてるし、できるなら協力する
警察の人が仕事を全うしてくれていることに
常日頃感謝も忘れてない

ただ、な?
明日こんちゃんは
ハロウィン期間しか売ってないキティちゃんのはんぺんを食べることを
とても楽しみにしてるんだよ!
月に何回かしか作ってあげれない弁当に、私は力を注ぐんだよ!
それを何時に来るかわからない
天皇陛下の車を待つというよくわからない業務のために
あきらめろと?
じゃあ、明日の弁当はどうすんだ!
誰か作ってくれるというのか?

いろいろな思いを感じつつ、少しイラついた私は
攻撃色を放ちつつ次の言葉を出そうとした
その瞬間

「国の決まりなんです、ご協力ください」

間髪を入れない警官の相槌
急に私のHPは削られた感じがした
常日頃犯罪と向き合っている彼らは
私の微力の殺気をも感じたんだろう
その証拠にニコニコしている目の奥は
ぜーんぜん笑っていなかったもの

結局私は駐車場から出ることをあきらめ
1時間車でなっとくんとだらける時間を過ごしたのです
その間天皇は無事に国道を走りすぎ
警官たちはそそくさと帰っていきました

ダンス後、他のママにこれを話したら
「いや、確かに天皇には一生で1回会えるか会えないかだし?
尊い日なんだということはわかる
だがしかし、天皇より弁当だよな、主婦はw」
という話で大盛り上がり
国のトップを捕まえて、なんてこと言うんだ私たちはとさらに盛り上がる

天皇陛下訪問よりも明日の弁当に必死になれる
こんな平和な国が世界にどれだけあるだろう
こんなことでバカのように笑えるうちらは、なんて幸せ者なんだろう
天皇陛下も喜んでくれるといい

そんなことを考えながら結局夜の20時まで
買い物に費やした一日でした








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?