臨床推論 Case25
Clin Med(Lond).2022 Jul;22(4):370-372.
PMID:35882480
【症例】
既往のない42歳女性
【経過】
⚫︎ 3日前からの高熱、咽頭痛、頸部腫脹のため受診
⚫︎ BT38.6 BP120/70 HR114
⚫︎ 血液は以下の通り
⚫︎ 甲状腺膿瘍として抗生剤加療された
⚫︎ エコーは以下の通り
⚫︎ ヘテロで低エコーな陰影を認めた
⚫︎ 甲状腺シンチでは局所の取り込みあり膿瘍or甲状腺炎の診断
⚫︎ 1週間抗生剤治療したが改善なし
⚫︎ 穿刺吸引したところ膿瘍は引けず
⚫︎ 病理ではリンパ球とマクロファージの浸潤、濾胞変性を伴うコロイド結節を認めた
What’s your diagnosis?
【診断】
亜急性甲状腺炎
【経過】
⚫︎ 抗生剤はやめてNSAIDsのみで経過をみた
⚫︎ 徐々に症状、ラボ改善し2ヶ月後には結節は消失した
【考察】
⚫︎ 甲状腺膿瘍は全甲状腺疾患の0.1-0.7%を占める
⚫︎ 亜急性甲状腺炎は1/10000とわりと見かける疾患である
⚫︎ 亜急性甲状腺炎は甲状腺濾胞に巨細胞が浸潤し、濾胞が腫れて皮膜が引き伸ばされて痛くなる、また破壊されてホルモンが放出される
⚫︎ 甲状腺膿瘍は錐体洞瘻や第3,4気管支弓異常などの局所のの解剖異常で発生する・そのため小児科に多い
・成人では橋本病、癌、免疫不全、FNA後、高齢などで生じる
・ブドウ球菌、連鎖球菌が多いが結核の報告もある
・急激に進行するため適切な治療をしなければ致死率12%である
⚫︎両者の鑑別は難しい
・両疾患とも著明なESR上昇を呈する
・亜急性はWBC上昇は軽微、膿瘍は著しく上昇する
・甲状腺膿瘍は83%で甲状腺機能は正常であった
・エコーでは厳しい
・FNAによる病理、穿刺、培養が両者の鑑別に役立つかもしれない
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?