臨床推論 Case33
Am J Case Rep, 2024; 25: e941221
【症例】
25歳 男性 既往なし
【現病歴/現症】
⚫︎ 軍事訓練の予防としてペニシリンGを施行したところ右臀部と下肢痛を出現した
⚫︎ 運動や体動で痛みは増悪する
⚫︎ 患肢の筋力低下と臀部筋組織の触診に圧痛を認め、他の部位に異常は認めず
⚫︎ 使いすぎによる筋痛と判断し、イブプロフェンと免荷指示して帰宅とした
⚫︎ しかし増悪し再度受診された
⚫︎ 臀部に腫脹と著明な疼痛、圧痛あり
⚫︎ WBC12370 CRP11.3mg/dL CK971U/L
⚫︎ MRIは以下の通り
What’s your diagnosis ?
【診断】
ペニシリンGによる薬剤性筋炎
【経過】
⚫︎ 抗生剤は使用せず、NSAIDsと他の支持療法で自然に改善した
⚫︎ 2週間で訓練できるほど状態は改善した
【考察】
⚫︎ ペニシリンGの筋肉投与は軍人の間でA群溶連菌に対する予防で使用されることがある
⚫︎ 時に注射部位への過敏反応をきたすことがある
⚫︎ 筋炎には感染症、自己免疫、悪性腫瘍、薬剤、毒素、代謝、内分泌などがあげられる
⚫︎ 細菌性はブドウ球菌、連鎖球菌、ウイルス、HIV、寄生虫など
⚫︎ 薬剤性はスタチン、フィブラート、アゾール、抗腫瘍薬、TNFなど
⚫︎ PCGによる報告はまれ
・7歳男児がリウマチ熱治療中に発症した
・25歳男性が同様のプレゼンで単発性の筋炎を発症した報告がある