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臨床推論 Case16

Int Med Case Rep J.2014; 7: 133–137.
PMID:25246811

【症例】
既往のない生来健康な53歳女性

【主訴】
胸痛

【経過】
⚫︎ 突然発症の胸痛とWBC高値、発熱のため入院して精査した
 熱は39℃、WBCは19200であった
⚫︎ 当初はウイルス感染と肋軟骨炎の診断でNSAIDsで退院となった
⚫︎ しかし症状は改善せず微熱は続いていた
⚫︎ さらに血培でS.aureusが生えたため再入院となった

⚫︎ VCMで治療開始し感受性を見てCTRXに変更となった
⚫︎ mildな心雑音ありIEと考えられたが、TTEでは疣贅なし
  TEEは実施されず
⚫︎ 単純CTでは胸骨が骨破壊or骨髄炎の所見がついた
⚫︎ 胸骨部は体表からは発赤はないが著明な圧痛あり
⚫︎ MRIを施行

・T2で前胸壁の皮下脂肪の信号増強
・胸骨柄および胸骨体の上部での骨膜で造影変化あり
・T2で同部位の浮腫像あり

What’s your diagnosis?







【診断】
黄色ブドウ球菌による胸骨骨髄炎

【経過】
⚫︎ 6週間CTRXで治療した
⚫︎ CRP、血沈ともに正常化した
⚫︎ 背景疾患を調べたがHIVやB,C肝炎は陰性でANAは320倍であったためリウマチ疾患があったかもしれない(と本文に書かれていたが・・・)

【考察】
⚫︎ primary careに1%は胸痛でこられ、1.5%はACSである
⚫︎ またアメリカの119million医療圏での救急では胸痛の8-10%でMIだった報告あり
⚫︎ 今回のような特発的な胸骨骨髄炎はまれ
⚫︎ 胸骨骨髄炎は心臓術後の報告が多い
⚫︎ 他に免疫不全やIV drug userの報告もちらほらある
⚫︎ 子供の特発性の報告もあり

⚫︎ 胸骨骨髄炎の治療は広範囲に膿瘍があればデブリする
⚫︎ また術後感染に対して高気圧酸素療法使用によりICU滞在期間、死亡率が減ったという報告あり

⚫︎ 以下は結核による胸骨骨髄炎の画像(J Bone Joint Surg Br. 2007 Jun;89(6):817-20.)

T2で胸骨の破壊と浮腫を認める

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