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臨床推論 Case83

JAAD Case Rep. 2020 Oct; 6(10): 1091–1094.
PMID:32837990

【症例】
40歳 男性 既往なし

【主訴】
口唇浮腫 眼瞼腫脹

【現病歴/現症】
⚫︎ 受診前日から口唇と眼瞼の腫脹、びまん性にかゆみを伴う皮疹あり

⚫︎ これらの皮疹は移動性で数時間だけ持続する
⚫︎ 背部から広がって、数時間で四肢に広がった
  顔面や頭部はスペアされている
⚫︎ 眼瞼は自然にその日中に改善したが、口唇は持続した
⚫︎ 食べ物と薬は関係なく家族歴もない
⚫︎ 4年前に抗生剤でびまん性の皮疹を認めたことがある

⚫︎ よくよく聞いたところ5日前からmildな乾性咳嗽と微熱と呼吸苦あり
⚫︎ 微熱に対して2日間アセトアミノフェンを内服したが症状は改善せず
⚫︎ アセトアミノフェンは定期的に内服しており、過去に副作用を経験したことはない
⚫︎ BT37.4℃ BP118/67mmHg RR22bpm Sp97%
⚫︎ ラボはほとんど正常 Dダイマー15と高値

What’s your diagnosis ?








【診断】
COVID19関連の蕁麻疹、血管浮腫

【経過】
⚫︎ コロナ検査でPCRが陽性になった
⚫︎ Xpで両側下葉に浸潤影あり典型的なCOVID19肺炎像であった
⚫︎ 心電図はS1T3Q3あり 
⚫︎ 造影CTは血管浮腫があるため実施せず、肺塞栓としてヘパリン治療した
⚫︎ コロナはアビカンとプラケニル、蕁麻疹にはデザレックスを処方した
⚫︎ 蕁麻疹は3日ほどで改善し、発熱と呼吸苦は5日で改善しDダイマーは1.01と落ち着いた
⚫︎ その後蕁麻疹や血管浮腫の再燃は認めなかった

【考察】
⚫︎ COVIDはさまざまな皮膚症状を呈することがある

⚫︎ COVID716例の皮膚症 (J Am Acad Dermatol. 2020 Oct;83(4):1118-1129. )

⚫︎ 機序ははっきりしていないが、他のウイルス同様肥満細胞が活性化するのではないかと言われいてる
⚫︎ これまで蕁麻疹の報告は多いが血管浮腫をきたした症例は稀である

⚫︎ COVID19の蕁麻疹はACEと関連しているのかもしれない
  ACEはCOVIDが肺に侵入する際に関連してくる
⚫︎ ACEはbradykinin receptor1のリガンドであるdes-Arg9 bradykininを阻害しする 
⚫︎ そのためACE2阻害は過度にブラジキニン経路が活性化する
  それによって血管透過性が亢進し血管浮腫が生じる
⚫︎ これはウイルス感染がARDSや肺水腫を起こす機序と同じである

⚫︎ 他の感染症同様に蕁麻疹を見ればCOVID19を鑑別に挙げる必要あり

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