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臨床推論 Case162

Eur J Intern Med. 2019 Jan;59:e1-e2.
PMID: 29754937.

【症例】
21歳 女性

【主訴】
呼吸苦

【家族歴】
肺塞栓症

【現病歴/現症】
■ 
呼吸困難, 低血圧(83/46mmHg), 頻脈(152拍/分), 上腹部痛で救急外来を受診された. 右上腹部に鈍い痛みあり.  その他の身体所見は異常なし.
■ ラボ:Dダイマー, NT-proBNP, トロポニンT, AST,  ALTの上昇あり.
■ 心電図:S1Q3T3パターンを示した.
■ エコー:右心房と右心室の拡張, 下大静脈の血栓, 不均一な肝実質が認められた. ■ 心原性ショックと肺塞栓症が疑われたため, アルテプラーゼとエンオキサパリンによる血栓溶解療法が行わたところバイタルは改善した.
■ 造影CT検査は以下の通り. 



What's your diagnosis ?




【診断】
肺塞栓症に伴う急性うっ血性肝障害.

【経過】
肺動脈造影CTで両側肺塞栓症を認めた. さらに‘kissing liver and spleen sign’を伴う巨大な肝腫大が検出された. (赤矢印). 黒矢印は鬱血による門脈周囲浮腫を示す.
■ 患者はICUに入院し, エノキサパリンで治療された. ラボデータは正常化し抗凝固療法はリバーロキサバンに変更された.
■ それ以降の血栓症のイベントはみられなかった.

【考察】
■ 
‘kissing liver and spleen sign’は, 肝臓, 脾臓, またはその両方の重度の腫大を示す.
■ これは肺塞栓症で起こることがある.
■ 肺塞栓症は, 重度の肝腫大の原因の一つであり, 急性右心不全→急性肝不全を引き起こすことがある.
■ 肺塞栓症における急性肝不全の予防するために, 早急な診断および治療が必要である. 

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