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臨床推論 Case161
Med Princ Pract. 2011;20(5):483-4.
PMID: 21757942.
【症例】
34歳 女性
【主訴】
呼吸苦 倦怠感
【既往/治療歴】
鉄欠乏性貧血:内服はせず, 過去に輸血と鉄剤静注歴あり
【現病歴/現症】
■ 2ヶ月続く倦怠感, 動悸, 呼吸困難のため救急外来を受診された.
■ 診察:顔面蒼白で収縮期雑音を認めた. 肝脾腫やリンパ節腫脹はなかった.
■ ラボ:
WBC 4000/μL Hb 6.4g/dL PLT 1.8万/μL
網状赤血球1.1% MCV61 fl フェリチン1 ng/dl
■ 末梢血塗抹:小球性, 低色素性, 大小不同を認めた.
■ 骨髄検査:巨核球減少, 赤芽球低形成, 鉄染色陰性を認めたが, 原発性の骨髄疾患を示唆する他の所見はなかった.
【経過】
■ 1日目に赤血球2単位輸血, 3日目に鉄剤静注した. 10日目には血小板数は正常化した.
■ 以降安定して経過していた.
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What's your diagnosis ?
【診断】
鉄欠乏による血小板減少症
【考察】
■ 鉄欠乏で血小板増多はcommonであり, 血小板減少の報告は少ない. 最近の後ろ向き研究で, 鉄欠乏性貧血患者の2.1%に血小板減少を認めた.
■ 男Hb<13g/dL, 女性Hb<12g/dL, フェリチン<15ng/dLを鉄欠乏性貧血として貧血患者の血小板数を調べたstudy. (Platelets. 2009 Sep;20(6):401-5.)
▫️ベースのキャラは血小板は30万前後と正常値
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▫️血小板増多は10%, 低下は2%ほどいる.
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▫️血小板数は貧血のマーカーとだいたい相関する.
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■ 正確な機序は不明だが, 血小板産生の鉄依存性酵素の活性変化と関連するかもしれない. 動物実験モデルにより, Karpatkinらは血小板産生に鉄が必要なことを示した.
■ 本症例では, 鉄補充後に血小板数が一過性に増加した後, 正常化したが, これは以前にも報告されている.
■ 鉄補充だけで治療可能な病態なので, 鉄欠乏と血小板減少を呈する患者では, 血小板減少の一般的原因を除外した後, "鉄欠乏性血小板減少症"を念頭に置くべきである.