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臨床推論 Case115

Clin Nucl Med 2020;45: 131–132
PMID:31876810

【症例】
64歳男性 

【主訴】
発熱 脱力 食欲低下

【現病歴/経過】
⚫︎ 3日前からの発熱、脱力、食欲低下のため受診された
⚫︎ 問診では何が原因なのかはっきりせず
⚫︎ 診察でも局所の所見なし
⚫︎ ラボは炎症反応高値と白血球減少を認めた
⚫︎ CTやエコーで炎症の原因となる病変は特定できず
⚫︎ エンピリカルにオーグメンチンで治療開始した

⚫︎ 後日血培からStreptococcus constellatusが検出された
⚫︎ フォーカス不明であったのでday10にPET検査を実施した

What’s your diagnosis ?






【診断】
陰茎海綿体膿瘍

【経過】
⚫︎ PETではCTでlowになっている陰茎海綿体に一致して集積あり
⚫︎ 治療はCTRX28日+CLDM9日を行った
⚫︎ 3ヶ月後に少し硬結や瘢痕が残ったが感染兆候は消失した

【考察】
⚫︎ PETは臨床的に隠れたフォーカスを見つけることができる
⚫︎ 53例のフォーカス不明の敗血症患者に対してPETをとったところ方針が変わった(ドレナージした、手術した)症例は13例いた(PloS One.2013;8(6):e66132.)

PETでフォーカスが判明し椎体の手術となった症例

⚫︎ またフォーカスがわかっている状態でPETを施行したところ更に違う臓器の転移を検出できうる
⚫︎ PETを施行した群の方が再発、死亡率が低かったという報告もある

⚫︎ 陰茎海綿体膿瘍は1/3は保存的に治る
⚫︎ しかしドレナージ、陰茎切除が必要になることがある

⚫︎ 原因として報告があるのは以下の通り
・ 陰茎への注射
・ 陰茎の骨折
・ 陰茎の人工物
・ 腹腔内や直腸の膿瘍からの波及
・ 齲歯からの転移
・ 持続勃起症
・ 術後
・ 外傷後

⚫︎ 症状は発熱、疼痛である
⚫︎ まれなものとして持続する勃起や閉塞による尿閉を伴うことがある

⚫︎ 臨床医にとって見逃してしまう疾患の一つである
⚫︎ 特に寝たきり、挿管されている患者では想起することが難しい

⚫︎ 画像も難しい(自分には)

Radiopaediaより


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