ふたご
こんばんは。Disneyだいすきはねやんです。
今回は小説について。
いつも小説を読まない人が小説を読んだと報告してきた。
「珍しいこともあるもんだな、漫画ばかり読む人が読む小説なのだからおもしろくないわけがない。」
そう思って軽い気持ちで読み始めた。
SEKAI NO OWARIというバンドはすごく好きだけれど、フルネームでメンバーの名前が言えるわけではない。saoriちゃんのインスタはフォローしているけれど、私の頭の中でsaoriはいつもローマ字変換されているので、タイトルと名前を見ただけではまさかあのsaoriちゃんが書いた本だなんて思わなかった。
読んでいくと自分と少し重なる部分があってしんどくなることもあって一気に読み進めることはできなかった。
月島は相談に乗るのが得意な誰かさんに似ているし、振り回されていろんな感情になった過去の辛く楽しかった記憶も思い出された。
だから、しんどくなったら窓の景色を眺められるように極力電車の中で読むようにした。そして、色々想像した。自分と照らし合わせた。
私の周りに今まで発狂した人はいないし、なっちゃんのようにすぐイライラする人でもない。だけど、どこか似ている気がした。
この本は、今と過去の私のごちゃ混ぜられた感情でなっちゃんたちのバンドが結成されるまでを描いた物語のように思えた。
「全然一緒じゃないよ。私の方が絶対辛かったんだから」saoriちゃんにそう言われそうだし、似ているというのも失礼な気もするれど何度考えても似ていると思う。
もしも私たちがふたごであったなら。
あなたと論点をあわせられて、説明に困らせることがなかったのかもしれない。
もしも私たちがふたごであったなら、あなたと話をすることが怖くなかったのかもしれない。
もしも私たちがふたごであったなら、こんなに辛い思いをしていないのかもしれない。
でも、もしも私たちがふたごであったなら、同じ目標を持っていろんなところへ出向き、喜びや悲しみを分かち合うことができなかったんだろうと思う。
もしも、私たちがふたごであったなら。
もっと優秀でフッ軽な人生だったのかもしれない。
もしも私たちがふたごであったなら、会いたいと寂しくなる夜を過ごさないのかもしれない。
でも、もしも私たちがふたごであったなら、こんなにも幸せな気持ちになって今日あった出来事を共有したいと思ったり特別な思い出を創れる喜びを感じたりすることはないんだろうと思う。
気づいた時には、こくりと頷いてしまう。
何だかわかる。その気持ち。
この小説を読み終わった時に、一つの曲が私の脳裏によぎった。
この曲を初めて聞いた時、なんで深瀬さんはこんなにも悲しそうに歌うのだろうか。saoriちゃんはその様子を見てなんで涙が込み上げてきているのだろうか。そう思った。
この曲は深瀬さんがすきなHawaiian6のMAGICという曲を日本語歌詞をつけてカバーした曲で知られている。
この小説を読んだ後に初めて歌詞を見たけれど、深瀬さんはこの曲を聞いた瞬間にこう思ったんじゃないかと思う。
「まるで自分と彩織ちゃんのようだ」って。
「だいすきなバンドのカバーで自分にとってずっと心の支えであった人の歌詞を書けたらなんて素敵なんだろう」そう思ったんじゃないか。
そんな気持ちでカバーした曲がMAGICなんだと思う。
1番の歌詞はそのままsaoriちゃんのことを書いた歌詞だと思う。
ここは中学の時の深瀬さんとsaoriちゃんの出会いのシーンだと思う。
小説にはなっちゃんが月島に声をかけたシーン。この時に月島は確信したんだと思う。この人なら大丈夫ってことを。
ここは、月島が留学に行くシーン。なっちゃんは月島がアメリカに行くことを悲しく辛く思ったし、伝えなかったけれどアメリカに行って欲しくないとも思った。だけど、月島の決断は堅かったので、月島がいなくても一人で自立して生きていけるように月島のことを考える回数を減らしたり、ピアノに向き合う時間を増やした。
なっちゃんは、月島は自分がいなくても楽しく生きていけると思っているみたいだったけれど、この歌詞を見てそうではなかったのかなと思った。
月島はなっちゃんにもっと頼ってほしかたのではないか。行かないでって言って欲しかったのではないか。
書き出したらキリがないくらい、このMAGICという曲がふたごに出てきた月島となっちゃんを想起させる。
深瀬さんが頑張って生きた過去を知っているから、saoriちゃんは歌っている深瀬さんを見て、過去の自分たちを思い出して、泣きそうになっているんだと思う。
喧嘩ばかりしていて絶対に一緒に活動はできないと思っていた二人だったから、SEKAI NO OWARIというバンド名にしたのかなと思うとなんだかほっこりした。
言葉はすごいパワーを持っているなと改めて感じた小説だった。
教えてくれてありがと。
自分の言葉で誰かの心を動かせる日になりますように。