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Ad Astra

NASAの現長官(トップ)であるジム・ブライデンスタインは、よくAd Astraという言葉を使います。星の彼方へという意味ですが、月、火星、そしてその先を目指している今のNASAを象徴する言葉だと思います。

PLAN Bがジェームズ・グレイ監督を迎えて製作した映画『Ad Astra』は、まさに地球から、月、火星、そしてその先への旅を、今までにないリアリティで描いています。特に地球と月を結ぶ定期便や、都市と化した月面基地は、NASAの描いている構想が大分精度よく形になっているのではと思います。宇宙軍による月面の領土争いも含めて。

ブラッド・ピットが演じる宇宙飛行士ロイは、本作でとても長い距離を旅します。それもワープなしで!その旅路で起こる様々なアクシデントを、異常な程の冷静沈着さで乗り越えていくのも見どころの一つですが、道中で彼が果てしない孤独と対峙するところも、ある意味本作のハイライトと思います。父との記憶、別れた妻との記憶が、孤独感と相まって反芻され、閉鎖環境の息苦しさ、長時間の無重力状態などが、ロイの精神をより不安定にさせます。

深宇宙への旅は、物理的な時間・距離だけでなく、精神的にも深いところに連れていかれるのです。

それにしても、20世紀フォックスは、よくぞ映画のタイトルを『アド・アストラ』のままで日本劇場公開してくれました。パンフレットが物足りなかったことには目をつぶります。もし邦題をつけるとしたら、「父をたずねて45億km」ですかね。年配の方々にヒットしそうです。または「無限の彼方へ、さあ行こう!」とすればトイ・ストーリーファンも取り込めそうです。それか無難に「ドリーム」とすれば間違いないですね!

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