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出力の精度を上げるためのプロンプト改善テクニック
AIの出力精度を向上させるためには、プロンプトの設計を工夫することが重要です。以下のテクニックを活用することで、より望ましい出力を得られるようになります。
1.明確かつ具体的な指示を与える
AIは曖昧な指示に対しては適当に補完して回答を生成します。そのため、意図した出力を得るには、できるだけ具体的に指示を出すことが重要です。
✅ 改善例
曖昧なプロンプト
👉「この文章をわかりやすくしてください。」
(AIは「わかりやすい」の基準を持たないため、どのように変えるべきかが不明確)
改善後のプロンプト
👉「この文章を小学生にも理解できるように、簡単な言葉に言い換えてください。」
(対象読者を指定することで、適切な出力が得られる)
2.出力フォーマットを指定する
AIは出力形式を明示しないと、自由なフォーマットで回答します。一貫性を持たせるために、出力のフォーマットを指定しましょう。
✅ 改善例
自由なフォーマットのプロンプト
👉「AIの仕組みについて説明してください。」
(文章の構成や長さが予測しにくい)
改善後のプロンプト
👉「AIの仕組みを以下のフォーマットで説明してください:
1.AIの定義
2.AIの動作原理(例:ニューラルネットワーク)
3.AIの活用事例」
(箇条書きで整理された出力が得られやすくなる)
3.コンテキストを提供する
会話の流れを意識し、AIが適切な解答を出せるように背景情報を与えます。
✅ 改善例
コンテキストなしのプロンプト
👉「この文章を要約してください。」
(文章がどのような用途で使われるのか不明)
改善後のプロンプト
👉「この文章はニュース記事の要約として使います。200文字以内で、重要なポイントのみを抜き出してください。」
(要約の目的と制約を明示することで、適切な出力を得られる)
4.ショットを活用する(Zero-shot,One-shot,Few-shot)
AIに学習例を提示すると、精度の高い回答が得られます。
✅ 改善例
Zero-shot(例なし)
👉「新製品のレビューを書いてください。」
(どのような文体・内容が適切かわからない)
One-shot(1つの例を提示)
👉「新製品のレビューを書いてください。例として以下のフォーマットを参考にしてください。
例:
『製品名:〇〇〇〇
評価:★★★★★
レビュー:この製品は〇〇が特徴で、非常に使いやすいです。』」
(出力のスタイルが統一される)
Few-shot(複数の例を提示)
👉「以下のようなスタイルで、新製品のレビューを書いてください。
例1:
『製品名:A社のスマートウォッチ
評価:★★★★☆
レビュー:デザインが洗練されており、機能も充実しています。ただし、バッテリー持ちがやや短いです。』
例2:
『製品名:B社のイヤホン
評価:★★★☆☆
レビュー:音質は良いが、装着感が合わない人もいるかもしれません。』
この形式で、新製品Cのレビューを書いてください。」
(学習例が増えることで、より期待通りの出力が得られる)
5.ステップ・バイ・ステップの指示を出す(CoT:Chain of Thought)
複雑な問題では、AIに「考える過程」を指示することで、より正確な結果を得られます。
✅ 改善例
単純な質問
👉「235×47は?」
(AIは計算を間違える可能性がある)
改善後のプロンプト
👉「235×47の計算過程をステップごとに説明しながら解いてください。」
(AIが論理的に手順を追って計算するため、正確性が向上する)
6.否定的な回答を避ける工夫をする
AIは「わかりません」「できません」と答えることがありますが、言い方を工夫することで有益な回答を引き出せます。
✅ 改善例
NGなプロンプト
👉「宇宙の果ての先には何がありますか?」
(未知の情報なので「わかりません」と答える可能性が高い)
改善後のプロンプト
👉「宇宙の果てについて、現在の科学ではどのように考えられていますか?仮説を紹介してください。」
(AIが可能な範囲で推論し、情報を提供しやすくなる)
7.制約を設ける(長さ・スタイル・語調)
出力の長さや文体を指定することで、より意図に沿った回答を得られます。
✅ 改善例
制約なしのプロンプト
👉「AIの歴史について説明してください。」
(長すぎたり、詳細が不足する可能性がある)
改善後のプロンプト
👉「AIの歴史を3つの時代に分けて、各時代を100文字以内で説明してください。」
(情報量をコントロールできる)
8.まとめ
✔ 明確な指示を与える(対象・目的・形式)
✔ フォーマットを指定する(箇条書き・表・段落)
✔ コンテキストを提供する(背景情報・用途)
✔ ショットを活用する(例を提示)
✔ ステップごとの指示をする(CoT)
✔ 否定的な回答を避ける工夫をする
✔ 長さ・スタイルを制限する
これらのテクニックを活用することで、AIの出力の精度を大幅に向上させることができます。
次回は、AIの思考プロセスであるCoT (Chain of Thought)に関して解説していきます!