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曖昧な指示がAIの出力にどう影響するか?
AIにプロンプトを入力する際、「曖昧な指示」を与えると、出力が予測しにくくなり、期待通りの結果が得られないことがあります。その理由を理解するために、AIの仕組みを踏まえて解説します。
1.AIは「推測」で文章を生成している
GPT系AIは、入力されたプロンプトに基づいて「次に来る単語の確率」を計算し、最も可能性の高い単語を順に選んでいくことで文章を作成します。
人間のように「意図を深く理解して、最適な答えを導き出す」わけではなく、「確率的にもっとも適切そうな単語」を並べていく仕組みです。
👉 つまり、「曖昧な指示」を与えると、AIは複数の可能性を考え、その中から確率的にランダムな選択をすることになります。
2.曖昧なプロンプトの具体例と影響
①曖昧な指示の例
❌ 「良い文章を書いてください」
✅ 「小学生向けに、分かりやすく環境問題を説明する短い文章を書いてください」
→ 「良い文章」の定義が曖昧だと、AIは何を基準にすればいいのかわからず、ランダムな出力になります。一方、対象読者(小学生)や目的(環境問題の説明)を指定すると、AIが適切な単語や表現を選びやすくなります。
②具体的な例を出さない
❌ 「〇〇について説明してください」
✅ 「〇〇のメリットとデメリットを、それぞれ3つずつ挙げて説明してください」
→ ただ「説明してください」と言うと、AIはどのような角度で説明すればよいのか判断できません。
「メリット・デメリットを3つずつ」と指定することで、AIの出力が具体的になり、期待した結果に近づきます。
③曖昧な形容詞を使う
❌ 「面白い話を作ってください」
✅ 「5歳児向けの、動物が主人公の楽しい冒険物語を書いてください」
→ 「面白い」は主観的な表現であり、AIにとっては基準が曖昧です。
「5歳児向け」「動物が主人公」「冒険物語」など具体的な条件を示すことで、AIの出力をコントロールできます。
3.曖昧な指示がAIの「確率選択」に与える影響
AIの出力は 「温度(temperature)」 や 「トップK(top-k)」 などの確率制御パラメータによって変化します。
曖昧なプロンプトでは、AIが高い確率で次の単語を決められず、選択肢が広がるため、出力がブレやすくなります。
例えば:
「明確な指示」→ 確率が高い単語が明確で、一貫性のある出力
「曖昧な指示」→ 確率がばらけて、ランダムな単語選択になりやすい
4.どうすれば曖昧な指示を避けられるか?
✅ 「対象・目的・形式・条件」を明確にする
曖昧なプロンプト
明確なプロンプト
「この製品の説明を書いて」
「この製品の特長を3つ挙げ、それぞれ簡潔に100字以内で説明して」
「歴史について教えて」
「18世紀のフランス革命の原因を3つの観点から説明して」
「英語を教えて」
「旅行で使える英会話フレーズを10個教えて」
👉このように、「具体的に何を、どのように出力すべきか?」をAIに伝えることで、より正確で望ましい回答を得ることができます。
5.まとめ
AIは 確率に基づいて単語を選ぶ ため、曖昧なプロンプトでは一貫性のない出力になりやすい
指示が曖昧だと、AIが推測を多く行い、ランダムな結果になりやすい
「対象・目的・形式・条件」を明確にすることで、期待した出力を得やすくなる
次回は、「明確な指示」と「コンテキストの提供」の重要性に関して解説していきます!