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AI自身に考えさせるself askとは?

前回は、チェイン・オブ・ソート(CoT)に関して説明しました。
今回は、AI自身に考えさせるようなプロンプトを説明します!

1.さらに強力な手法-self ask-

CoTに加えて、**Self-Ask(自己質問法)**を使うと、より深い推論が可能になります。
Self-Ask」とは、AI自身が次に考えるべき疑問を自ら作り、段階的に解決していく方法です。

CoTとセルフアスクの違い

CoT(思考の連鎖)
方法:ステップ・バイ・ステップで考えさせる
特徴:人間が「分解の仕方」を指示する
弱点:分解の仕方が適切でないと間違いやすい

セルフアスク法(Self-Ask)
方法:AIが自ら次の疑問を作りながら解決する
特徴:AIが「分解の仕方」を決める
弱点:不明点を自ら掘り下げるため柔軟性が高い


→ CoTは人間が「考え方」を教えるが、セルフアスクはAI自身が「考えるべきこと」を決める。


2.self ask +CoTで推論が深くなる理由

理由①:問題を自動で適切なサブタスクに分解できる


CoTだけだと、「人間が決めた手順」に従うだけなので、分解の仕方が不適切だと間違いやすくなります。
 しかし、セルフアスクを使うと、AIが「どんな疑問を解決すればよいか」を自分で考えるため、より適切な分解が可能になります。

例:歴史の質問
Q:
「フランス革命が起こった主な原因は?」

CoTのみ(固定の手順で進む)
1.フランス革命が起こった時期を確認する。(1789年)
2.社会的な要因を挙げる。
3.経済的な要因を挙げる。
4.政治的な要因を挙げる。

問題点
→ もしAIが「社会的要因」を十分に考えずに進むと、誤った結論に至るかもしれない。

セルフアスク+CoT(AIが自分で疑問を作る)
1.「フランス革命とは何か?」→ 定義を確認
2.「フランス革命前の社会はどうなっていたか?」→ 身分制度を調べる
3.「経済の問題はあったか?」→ 財政危機や重税を確認
4.「政府の対応は?」→ ルイ16世の政策を分析
5.「これらの要因はどう関係しているか?」→ 総合的に考察

🔹セルフアスクを使うと、AIが「まだ考えるべきことがあるか?」を判断しながら進めるため、より深い分析ができる。


理由②:不明点を補完しながら進められる

セルフアスクでは、AIが「自分にとってまだ情報が足りないか?」を考えながら疑問を作るため、情報不足のまま結論を出すミスが減る。

例:科学の質問
Q:
「なぜ空は青いの?」

CoTのみ
1.空気中の分子が光を散乱させる。
2.短い波長の光(青)が強く散乱される。
3.だから空は青く見える。

問題点 → AIが「なぜ短い波長の光が強く散乱されるのか?」を説明しない可能性がある。

セルフアスク+CoT
1.「光が散乱されるとはどういうことか?」→ レイリー散乱を調べる
2.「なぜ青色が強く散乱されるのか?」→ 波長と散乱の関係を説明
3.「夕焼けはなぜ赤いのか?」→ 角度による光の散乱の違いを考察

🔹途中で不足している情報を補完しながら進められるので、より正確な推論が可能。


理由③:未知の問題にも対応しやすい

CoTは「決められた手順」に沿って考えるので、未知の問題や複雑な質問には弱い
しかし、セルフアスクを使うと、新しい視点で追加の疑問を作れるため、未知の問題にも柔軟に対応できる。

例:哲学的な質問
Q:
「自由意志は本当に存在するの?」

CoTのみ(固定手順)
1.自由意志の定義を説明する。
2.哲学的な立場(決定論 vs 自由意志論)を紹介する。
3.脳科学的な研究を紹介する。
4.最後に結論を述べる。

セルフアスク+CoT(柔軟に進む)
1.「自由意志とは何か?」→ 概念を整理
2.「もし自由意志があるなら、それはどのように証明できるか?」→ 証拠を探す
3.「もし自由意志がないなら、それはどう説明できるか?」→ 反証を探す
4.「どんな実験が自由意志の有無を調べているか?」→ リベットの実験を考察
5.「哲学的な議論と科学的な研究は一致しているか?」→ 総合的に分析

🔹AIが「次に何を考えるべきか?」を適切に判断しながら進めるため、より深い推論が可能になる。


3. Self-Askを促すプロンプト例

「次に考えるべき重要な質問を自分で考えてください」
「答えを出す前に、どの情報が足りないかを判断してください」
「疑問を分解し、それを1つずつ解決してください」


4.まとめ

  • AIは本来、論理的思考をしないが、適切なプロンプトで論理的な回答を引き出せる。

  • **チェイン・オブ・ソート(CoT)**を使うと、AIにステップ・バイ・ステップで考えさせることができる。

  • **Self-Ask(自己質問法)**と組み合わせると、さらに精度が上がる。

このように、CoTは「ヒトがAIに思考のフレームワークを提供する技術」で、その思考を「AIに論理的に考えさせる方法がSelf-ask」だと理解すると、実際に使いやすくなるでしょう!

CoTだけではヒトによる分解が不適切だと間違いやすくなります。これにself-Askを加えるとより精度が高く論理的な回答をしてくれるようになります。

次回は、ハルシネーション(幻覚)を防ぐには?AIの限界を理解するといった内容を解説していきます!


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