見出し画像

確実な情報を求める際のプロンプト設計

AIに正確な情報を出力させるためには、適切なプロンプト設計が不可欠です。AIは確率的に単語を生成するため、場合によっては事実とは異なる「ハルシネーション(幻覚)」を引き起こすことがあります。これを防ぎ、より信頼性の高い情報を得るためのプロンプトの工夫を紹介します。


1. 出典を要求する

プロンプト例
「第二次世界大戦の原因を教えて」
「第二次世界大戦の原因を、出典を明示しながら説明してください」

出典を要求すると、AIは「信頼性が高い情報を提示する必要がある」と認識し、一般的な知識ではなく、より明確な情報を出力しようとします。ただし、現在のGPT系AIはリアルタイムの情報検索ができないため、適当な出典を捏造する可能性もある点に注意が必要です。

対策:
「出典がなければ『出典不明』と明記してください」と追加すると、AIが捏造するリスクを軽減できます。
・AIが出典を示した場合でも、ユーザー側で必ず確認することが重要です。


2. 確定的な表現を避ける

AIは「確実な事実」を認識しているわけではなく、確率的に「もっともらしい文章」を作るモデルです。そのため、確定的な表現を使うと誤情報が生まれやすくなります。

プロンプト例
「2024年のノーベル文学賞受賞者の名前を教えて」(情報が未確定の場合、AIが勝手に創作する可能性がある)
・✅ 「2024年のノーベル文学賞の受賞者が発表されていれば教えてください。発表されていない場合は、その旨を記載してください」

このように「情報がなければその旨を明示する」よう指示することで、ハルシネーションのリスクを抑えられます。


3. 特定のデータソースを指定する

情報の信頼性を向上させるために、「どの情報源をもとに回答してほしいか」を指定すると、より正確な回答を得やすくなります。

プロンプト例
「最新の経済動向を教えて」(ソースが不明確)
・✅ 「IMF(国際通貨基金)やOECDのデータに基づいて、最新の経済動向を説明してください」

AIは訓練データから得た知識をもとに回答するため、実際にその情報源を参照しているわけではありません。しかし、「特定のデータソースを参照する」という指示を与えることで、AIが信頼性の高い情報を優先的に出力しようとする傾向があります。


4. 逐次確認型の対話を活用する

一度に確定的な回答を求めるのではなく、段階的に情報を確認するアプローチも有効です。

プロンプト例
1.「2023年の世界GDP成長率のデータはありますか?」
2.「その情報の出典は何ですか?」
3.「そのデータの算出方法についても教えてください」

このようにAIに段階的な質問をすることで、誤った情報を防ぎ、ユーザー自身がファクトチェックしやすくなります。


5. リアルタイム検索ツールの活用

GPT系AIは、学習データのカットオフ以降の情報を持っていません。そのため、最新情報が必要な場合は、リアルタイム検索が可能なツール(Google、Bing、AIのWeb検索機能など)を活用するのが最適です。

例:
・「最新の株価動向は?」 → Web検索を活用
「今朝のニュースの要約を教えて」 → ニュースサイトを直接確認


6.まとめ

確実な情報を求める際には、以下のようなプロンプトの工夫が重要です。

✅ 出典の明示を求める
✅ 確定的な表現を避ける
✅ 特定のデータソースを指定する
✅ 逐次確認型の対話を活用する
✅ リアルタイム検索ツールを併用する

これらのテクニックを駆使することで、AIのハルシネーションを抑え、より正確で信頼性の高い情報を得ることができます。
GPTの無料プランでは、リアルタイム検索に対応していない等のこともあるので、使用しているAIがリアルタイム検索に対応しているのかを確認しておくことも重要です。

次回は、ファクトチェックをどう行うか?に関して解説していきます。

いいなと思ったら応援しよう!