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始まりはそれぞれが感じていた「もや~ん」を話し合ってみたところからだった
エーピーコミュニケーションズのDE&Iの歩みについて、振り返って書いてみようと思います。
私たちがダイバーシティについて考えるようになった、始まりの話です。
それぞれが感じていた「もや~ん」
当社の副社長である永江はがんサバイバーです。
自身ががん患者として、誰もが何かにおいてのマイノリティになる可能性があることを身をもって体験しており、
当社の中でも働きづらさを感じている人がいるかもしれない
もしそうであるならば、誰もが生き生きと働ける組織にしたい
そう考えていました。
一方、私は永江のような崇高な信念はなかったのですが、採用担当として多様な属性の候補者と接する中で、
私たちの会社は何かのマイノリティの人にとっては居心地の悪い組織なのかもしれない・・・もや~ん
そう感じる場面がたびたびありました。
そして、他のメンバーからもこうした「もや~ん」が出てきて、それが積み重なってきたのですが、それを主管として対応するぞ!という部署がありませんでした。
課題がぼんやりしていたこともそうですが、私たちのHR組織は、人事・総務・採用・組織開発というように機能ごとに分かれており、なんだか一つの部署で解決できないような内容だったのです。
そこで、「もや~ん」を抱えるメンバーが集まりディスカッションをすることになりました。
これが、2021年の出来ごとです。
私たちのありたい組織って?
最初は、それぞれが感じている「もや~ん」を個別の課題として捉えていました。そして、その解決策について議論している間は、コンプライアンスや労務の観点からの意見が多く出ました。
でもなんか違う。ルール決めてそれを浸透させて解決するような内容じゃないんだよな。
そこで改めて、
私たちのありたい組織ってどんなんだっけ?
そう議論のお題を変えたところ、ダイバーシティという言葉が多く使われるようになりました。
そして議論を重ねる中で、ありたい組織の姿はまだぼんやりしていたものの、
無知によって相手を傷つけることはあってはならない。
そのために私たちは社員全員でダイバーシティを学ぶ必要がある。
という点においてはメンバー全員の意見が一致したのでした。
・・・でも、その一歩をどう踏み出したら良いんだろう?
東京レインボープライド2021への協賛
そんな時、たまたま目にしたのが東京レインボープライド(以下、TRP)2021の案内でした。
テーマに深く共感した
TRP2021のテーマは、「声をあげる。世界を変える。」でした。
テーマ決定の背景に
憲法や法律といった大きな枠組みのものから、日常生活の中で不自由に感じている学校や職場、地域の小さなルールまで様々なものがあります。 ルールが変わることで、LGBTQだけではなく、すべての人が生きやすい世界に変わっていくことが、あるべき未来の姿
という一文があり、私たちはそれに深く共感したのです。
会社としてのスタンスを明確にしたかった
取引先はどう捉えるだろうか?
TRPに協賛するか否かの議論の一つに、このテーマがありました。
当社には、お客様と直接仕事をする社員がたくさんいます。
中にはダイバーシティに重きを置いていないお客様もいらっしゃるかもしれない。でも、これから私たちがダイバーシティを進めていく中で、そういったお客様とのやり取りで当社の社員に嫌な思いをさせたくない。
これは永江の強い想いでもありました。
そこで、このイベントへ協賛することでダイバーシティに対する私たちのスタンスを社内だけでなく社外にも宣言したいと考えました。
そうすることで、同じような考えを持つお客様とお取引をさせていただくだけでなく、パートナー企業様にも、安心して社員を預けて頂けるのではないかと思ったのです。
全社員向けに研修をしてもらえた
また、TRPの協賛プランに、研修がセットになっているプランがありました。
全社員がダイバーシティについて学ぶ必要があると考える私たちにとっては、まさに絶好の機会だと思いました。
LGBTQをきっかけに社員がダイバーシティについて考える機会になる。そう考えたのです。
何度も議論を重ねて協賛を決めた
とはいえ、すぐに協賛すると決めたわけではなく、何度も何度も議論を重ねました。
なぜTRPなのか?
社員や取引先はどう捉えるだろうか?
私たちの協賛はウォッシュにならないだろうか?
様々な意見がありましたが、
私たちは今、組織を変えていくために、一歩を踏み出す必要がある
その想いがメンバー全員一致したため、協賛することに決めたのでした。
協賛ページに企業ロゴが載った時、個人的には少し恥ずかしさを感じたのも事実です。
当時はTRP協賛企業も今ほど多くなく、名だたる企業に並ぶ当社のロゴがけっこう目立つ。。。エーピーコミュニケーションズって何の会社だよ。。。
でも、協賛したことや研修に対しての社内の反応はというと、私たちが予想していた以上に良いものでした。
研修の事後アンケートでは「定期的にこういった研修を実施してほしい」という声が思いのほか多く、社員のLGBTQを含めたダイバーシティへの関心の高さを感じました。
一方で「強制的な感じを受けた」という声もあり、思想のようなものを押しつけられていると感じる社員も一定いることがわかり、これは対話を継続していくことが必要なんだろうなと漠然と感じました。
当時の研修の様子がこちらです。
そして「ダイバーシティを考える会」の結成
TRPへの協賛を経て、私たちの会社としてのスタンスが明確になりました。私たちが目指す組織の方向性はまだぼんやりしたままでしたが、
無知によって相手を傷つけることはあってはならない。
そのために私たちは社員全員でダイバーシティを学ぶ必要がある。
これに向き合い続けることの大切さをを感じ、私たちの取組みを継続することを決めました。
こうして社内ワーキンググループである「ダイバーシティを考える会」が正式に発足したのです!
・・・
次回は、今も継続して全社員受講必須となっているアンコンシャスバイアス研修をスタートした経緯について書こうと思います。
IT業界のジェンダーギャップ解消プロジェクト #ジェンダーアライ部
今回は『女性優遇≠ダイバーシティ』著者鈴木達也氏に、数値目標にこだわることの危険性や、DE&I情報開示の重要性、DE&I推進における非金銭的インセンティブの重要性や効果などについてお話しいただきます!