「朝露」

というわけで。
人生において全員通る事を避けられない
二大行事、

「運動会」

「失恋」

運動会はまぁ、やってたすよ僕も
脇目も振らず高ぇ網に玉ぶち込んでたし、
優勝しても賞金なんて出ねぇのに…
とでも思ってそうなテンションで校庭を包む

「赤組ガンバッテクダサイ」

を受けながら走ったりもした。

「失恋」
きっと各々、様々な時期で一度は経験した事があると思う。

「付き合ってる時は"この人しかいない"と思うかもだけど、安心しろ女なんて星の数ほどいるからサ。」

慰められる時は決まり文句みたいに言われたし、世間的にも一番オーソドックスな宥め方だと思う。


けど僕はいつも思っていた。

その数多の星の中から見つけた
唯一の一等星だったんだよ

ってね。


キザな言葉過ぎて口には出せないし、
実際に言ってるやつ見たらすかさず

黒羽快斗かよ…

と小馬鹿にしてしまうだろう。

でも本当に思っていた。

昨日の事の様に情景は
脳裏に浮かんではまた融解する。

月明かりに彩色される君も、
秋風に紛れて逃げてくその香りも、
疲弊を隠すその無垢な笑顔も、
朝露に透過されて映る君も、

僕は少しでも長く見ていたかったよ。

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