血液ダメ男が出産に立ち会った話

　近年、立ち会い出産を希望している夫婦が増加していると聞きます。ただ、リクエストされた男性にとっては邪魔にならないか、やらかして一生恨まれないか等、色々不安のあるイベントですよね。私もそうでした。
　ただ実際に体験してみると、出産がどれだけ苦しいものなのかを身近で感じ、妻と子供がより愛しくなる貴重な機会で、立ち会わせてくれて本当にありがとうという気持ちになりました。
　これから立ち会い出産を迎える方のお役に立てればと、その感想を残します。

いきなり始まった立ち会い出産

　午前１時に陣痛が始まり病院に駆け込みました。ただ、子宮口の大きさは１cm程度で今日中には生まれない可能性が高いと言われ、一度帰宅。午前10時に病院の受付に戻ってきた際は、陣痛室でベッドに横になり痛みに耐えている妻の姿を想像していました。が、少し待たされた後に通されたのは陣痛室ではなくLDR室（分娩から回復まで通しで行える部屋）で、目に入ったのはベッドの上で四つん這いとなり「痛い！痛い！」と叫んでいる妻の姿でした。存在に気付いた妻から「背中さすって！」と言われコートを脱ぐ隙もなく私の立ち会い出産はスタートしました。

出血を気にしているヒマすらない

　自分、昔から血が苦手で、生物の授業で「血小板」という単語が出ただけで手に力が入らなくなってしまう人間です。実際、今こうして血を想像して文章を打っているだけでメチャクチャ気持ち悪くなってきています…。
　そのため、血を見てぶっ倒れてしまわないか本当に心配していました。70kg近い男が分娩室で倒れて動かなくなるとか、迷惑この上ないですからね。両親学級でも「気持ち悪くなったらすぐ休むように」と助産師さんが説明していたので、それなりに起こることのようですし。
　しかし、それは完全な杞憂でした。基本的に枕元に立たされるので、血の大部分はタオルで隠れていて対して見えませんでした。加えて、とてつもない痛みに耐えている妻を目の前にすると、少しでも彼女の役に立ちたいという気持ちが頭を支配してしまうんですね。水を飲んでもらって、団扇で扇いで、手を握ってとしていたら血のことは頭からも視界からも消えていました。

出産の瞬間は最高の瞬間

　気が付けば２時間経過という頃、ベッドが分娩台の姿に変わり、応援の看護師さんや助産師さんもやってきて最終局面に。そこから１時間程でしょうか、タオルの向こうに青白い小さな頭と臍帯に巻かれた体がシュルっと姿を現しました。
　一呼吸置いた後、看護師さんから「生まれましたよ」の声。その瞬間、苦痛に耐えていた妻の顔が菩薩のような穏やかな笑顔になりました。この瞬間はもう、最高でした。
　立ち合い出産でなければ、この素晴らしい瞬間は味わえないと思います。これから出産を控えてる方、是非ご検討ください！

【経験談】靴下とブランケットが役に立ちました

　当日中には生まれない可能性が高いとの話から、病院の廊下で一晩過ごしても大丈夫なようにブランケットと着替えを用意していたのですが、これが思わぬ形で役に立ちました。
　まず靴下。３月ということもあり、病院内とはいえ下半身に何も纏わない状態で数時間過ごすと非常に寒いようでした。そのため持っていた靴下を履かせたのですが、これが本当に暖かかったらしく、出産後までお礼を言われました。
　次にブランケットです。いきむ時にベッドと体の間に隙間ができ、負担になっていたので、折りたたんだブランケットを挟みました。少しでも体への負担を抑えたい時ですので、こちらも役に立ったようです。
注）もちろん、使っていいかどうかは司令官（助産師さん、妻など）の合意を得てからにしましょう！