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物欲クロニクル③

ヘビーデューティな古き良きアメリカを探す旅
 L.L.Bean編
第3回目の今回はL.L.Beanについて語りたい。

L.L.Beanは1912年に森林地帯が州面積の9割を占めるアメリカはメイン州で産声をあげた。
創業者はレオン・レオンウッド・ビーン(Leon Leonwood Bean)、彼の名前がそのままブランド名となっている。
  レオン・レオンウッド・ビーンは狩猟に出て足を痛めたことをきっかけに、滑りやすかった当時のハンティングブーツを改良し画期的なブーツを考案した。
それが現在も同社のアイコン的アイテムとなっているメインハンティングシューズ(ビーンブーツ)である。

メインハンティングシューズ

メインハンティングシューズはその後、若干の改良が加えられながらもほぼ原型を保ち、現在もメイン州ブランズウィックにある本社工場で製造されている。

メイン州本社工場で作り続けていることを示すタグ。どこか誇らしげだ。
ビーンブーツとの違いはソール。
メインハンティングシューズは湿地でのグリップを良くするため柔らかめのソールであることに対し、ビーンブーツはタウンユース用でやや固めのソールとなっている。

私は主に積雪期にゴム長靴代わりに使用しているが、雪道におけるグリップ力は正直よろしくない。
ただし耐久性は抜群でアッパーのゴムがひび割れてくるといったトラブルはない。
私の所有する物はセカストで状態の良いものに出逢えたこともあって、6,000円ほどとお値打ちに手に入れることができた。
新品購入だと現在は円安の影響で4,0000円ほどとなっている。
状態の良い中古品の球数も多いので探すのにそれほど苦労はしないだろう。
アッパー一体のソールはすり減ったらメーカーアフターサービスでの交換が可能だ。
一生付き合えるヘビーデューティなブーツと云えよう。

アメリカが誇るヘビーデューティなアウターと聞いて真っ先に思い浮かぶものに、FILSONのマッキーノクルーザージャケット、SIERRA DESIGNSのマウンテンパーカ、そしてL.L.Beanのハンティングジャケットがあげられるだろうか。

L.L.Beanのハンティングジャケット

前者二つが現在も頑なに本国アメリカ製を貫いているのに対し、L.L.Beanのハンティングジャケットは現在東南アジア製となっている。その点は少し残念なところだ。
私が所有するこの二着はいずれも古着で購入したもので、タグのデザインから1970年代に製造されたものであることが推測できる。

L.L.Beanの前にmade byの表記が無く後にFREEPORT MAINEと続くことから70年代の物だと推測できる。
こちらも同様か。
タグから見る年代(ネット引用)
こんなのも楽しい。

この時代の製品は本国アメリカはメイン州の本社工場で製造されている。
ディテールを紹介すると、いずれもコットン100%のダック地で、襟元と袖口にコーデュロイがあしらわれている。左側の一着にはゲームポケットと呼ばれる狩猟で射止めた獲物を入れておく大型のポケットが備えられている。

ゲームポケットは背面側からアクセス。
内側はゴム引きされている。

血が染み出さないよう内側はゴム引きされていて、背中側の開口部から射止めた獲物を投げ入れる仕掛けとなっている。右側の一着はライナーがウールブランケットとなっていて少し寒い季節に対応する仕様であることが推測できる。
ポケットはハンドウォーマーと一体化した機能的なもので、下側のポケットの雨蓋を兼ねている。
そのポケット内部には散弾銃のカートリッジ入れが付いている。

散弾銃のカートリッジ入れの付いたポケット内側。

すべてのディテールは「ハンティング」のために考え抜かれたもので、デザインのためのデザインなどまったく見当たならない。
かなり野暮ったい見た目は好みの分かれるところであると思うが、ジーンズやワークブーツといったものとの相性は良いように思う。
この年代の物であってもコンディションの良い古着が数多く存在していて、根気よく探せばミントコンディションに近い状態の良い物に出逢うこともできるだろう。
おそろしく丈夫な作りで、普段着使いで破損するなんてことはまず考えられない。
一度手にすればまさしく一生物となるだろうう。

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